NVIDIAからIntel向け新チップセット“nForce 780i SLI”が発表された。
nForce 780i SLIは前モデルの680i SLIから大幅に進化した…と書きたいところだが、実はほとんど変わってない。
何しろ、構成されるチップセットが2つから3つになり、そのウチの2つは基本的にナニも変わっていないのだから、ほとんど同じと言っても過言ではない。
その新たに追加されたチップは“nForce 200”というPCI Expressスイッチチップで、これがPCI Express 2.0に対応し、ノースブリッジに接続される。
しかしながら、nForce 200とノースブリッジの接続自体はPCI Express1.0で接続されるため、帯域速度が落ちる…と本来ならそうなるわけだが、ノースブリッジをオーバークロックして動作させているため、帯域はほぼ問題ないレベルになっているらしい。
基本的に680i SLIと同じという事で、使用できるメモリもDDR2までで、これから先のDDR3には未対応。一応DDR2-1066には対応しているらしいが、ファームウェアはまだ不安定な様子。
どっちにしても、何となく“やっつけ的”な作り込みと私的には感じる。
じゃあ、このチップセット搭載マザーを使うとナニが利点なのか?というと、3-way NVIDIA SLIに対応しているというところに尽きる。
3枚のGeForce8800GTXもしくはUltraを接続し、従来のSLIから比べても格段の3D描画能力が実現した…という事らしいが、そもそもその構成を享受できる人がどれだけいるのか?という疑問には触れていない。
ハッキリ言ってしまえば、3-way NVIDIA SLIしか追加点がない。
FSB1,333MHz対応というのも前モデルと同じだし、ホントにnForce 200の追加だけが今回のネタになってしまっている。
それでいてチップセット価格が安くない。
だからこのnForce 780i SLI搭載マザーボードは4万円台半ば~5万円前半という価格帯になるらしい。
そこまでハイエンドでありながら、前モデルとほとんど変わらない性能。
一体誰が買うというのだろうか?
…まぁ、世界にはプロゲーマーと呼ばれる人がいるわけだが、そうした人にしか買ってもらえない製品じゃないかと思う。
私的には、ここまで進化しないのなら、もっと680i SLIを低価格化してほしいところである。
680i SLIはおそらく未来を先取りしたチップセットだったと思っている。
IntelのP965と同じ世代でありながら、FSB1,333MHzにメーカーが対応させていたところも大きかった。
しかし、今IntelのX38マザーが登場している現状で、このnForce 780i SLIはどれだけのアドバンテージがあるのか?というと、ハッキリ言ってない。
逆に構成されるデバイス世代は下回っている(DDR3に未対応)。
普通に考えて、こんなチップセットに5万円を出費するだろうか?
ホント、つまんないモノを作ったなぁと思ってしまう。
辛口かもしれないが、PCマニアがNVIDIAに求めているのは廉価モノではないハズだ。
GeForce8800GTXが登場したとき、私を含めほとんどのPCマニアは驚嘆したに違いない。
NVIDIAの技術力の高さとチャレンジ精神は絶賛されたハズだ。
しかし、その後に出てきた製品群は、そうした絶賛された精神とはかけ離れたものだ。
NVIDIAに妥協は似合わない。
どうせならIntelのX38を超えるチップセットを出して欲しかった。
私は少なくともそう思っている。
AMDのPhenomもそうだったが、どうも最近Intelのアドバンテージを崩せないメーカーばかりになってきた。
Athlon64を出していたころのAMDのパワーを最近感じることがない。
それだけIntelという企業が巨大で、圧倒的な技術力を持っているという事なのかもしれないが、鋭角で尖った製品を他メーカーが出してくれないと、またしてもIntel一色の世界になってしまう。
いや、もうIntelの色ばかりの世界なのかもしれないが…。