先日、AMDが次世代GPUが2.5TFLOPS超のGPUをそろそろ出してくるというような事を書いたが、本日Radeon HD 5800シリーズとして発表された。
年内には市場投入されるようだが、いち早くプレスには通達されたようで、テクニカルライター達を騒がせている。
実際の性能がどれくらいになったのかは各PC系サイトのベンチマークで確認してもらいたい。ここでは概要だけ記載していく。
実際に搭載されたトランジスタ数はEyefinity披露の場では“20億個”と言われていたが、より正確には“21.5億個”搭載され、Radeon HD 4800シリーズの9億5,600万個から実に2.24倍のトランジスタを搭載した事になる。
これによって得られるパフォーマンスだが、Radeon HD 4890と比較して150%~170%程度の向上であり、実際に倍増したトランジスタ数と比較して無難な結果といえる。
だが、これだけのパフォーマンスを発揮していながら消費電力は従来と変わらず…というより、従来よりも低いところをマークしているのは大きく評価できるところ。
価格も、予測ではあるが初登場時で4~5万円程度と、費用対効果もかなり良い製品と言える。
このような超級GPUがAMDから登場したとなると、気になるのはNVIDIAの動きだ。
AMDは汎用コンピューティングに割り振るトランジスタの殆どを演算に回したために、これだけの性能をマークする事ができたワケだが、NVIDIAはGeForce GTX 280登場時から、汎用コンピューティングに力を注いでおり、それ故にGPU内に制御系のトランジスタを配置、その結果ダイサイズが大きくなっているという状態だ。
当然、次世代GPUも汎用コンピューティングに力を入れてくると思われるが、AMDがめざましい処理能力を見せつけてきたのをどう受け止めているのだろうか?
それに詳しい事は分からないまでも、次世代GPUの開発をしている中でAMDの情報が多少なり入ってくれば、方向を修正したりしていた可能性もある。
実際に出てくるまでは分からないにしても、Windows 7が来月発売となる今の状況で、NVIDIAが何もせずにそのままという事も考えにくい。
AMDが今回Radeon HD 5800シリーズで採ったような戦略は、AMDがIntelに対抗できるCPUメーカーであるからこそ可能になったと言える。
NVIDIAは単独でCPUとGPUの両面の敵と戦わねばならない。
そう考えると、やはり汎用コンピューティングから目をそらすわけにはいかない。IntelのLarrabeeが登場したとき、NVIDIAは汎用コンピューティングの道でLarrabeeと戦っていく必要があるからだ。
しかし、そういう状況下であっても、GPUという面でRadeon HDと戦っていかなければならないのも事実で、NVIDIAの次世代GPUの方向性はこういう意味でも興味深い。
現時点で、GPUとしてはNVIDIAがAMDより一歩リードしていると私は見ている。それは主だったゲームプログラムがNVIDIAのドライバに最適化されているからだ。
しかし、AMDもそれをただ見ていたワケではないし、最近ではRadeon HDに最適化しているゲームも見られるようになってきた。
今回のAMDは単純にGPUとしての性能に磨きをかけてきた。
それだけに向上する性能はめざましいものがあった。
果たしてNVIDIAはこうしたAMDの動きにどう対応してくるのだろうか?
Windows 7発売までに、何らかの動きを見る事ができるのだろうか?
とても興味深い話である。