新海誠監督の作品は独特の雰囲気がある。
私が初めて新海監督の作品をちゃんと見たのは、たしか“ほしのこえ”だったと思う。
もっと前から新海監督の作品があるのは知っているが、最初から最後までちゃんとみたのは“ほしのこえ”が最初。
正直言うと、この当時の新海監督作品はまだまだ荒削りだったと思う。というか、得意な部分とそうでない部分がハッキリしていたのである。
背景の美しさや構図、そしてその効果はとても個人作品とは思えない程の作品だが、人物の描写は今一つだった。ま、それは私がそう思っているだけの事かもしれないが。
だが“雲のむこう、約束の場所”“秒速5センチメートル”と、回を重ねる毎にそうした部分も変わっていき、全体のクォリティの高さは確実に上昇していったのは間違いない。ま、汚い話をするならば、回を重ねる毎にかけられる予算が増えただけの事なのかもしれないが。
そんな裏を読むような話は別にしても、この新海誠監督の作品には独特な雰囲気があり、その登場人物の心の描写、そしてその描写をも取り込んだかのような美術は、観る者を圧倒する。
嘘だと思うなら観てみるといい。多分、普段見ている作品とは全く違った感覚が見て取れるハズ。静と動、そして同じ動でも緩と急の動きが観る者を圧倒する。
そんな新海監督の最新作がBDとなって発売される。
“星を追う子ども”の詳細は公式ページを見てもらうとして、発売れるBDの情報を。
今回発売されるのは、BD・DVDの通常版とBD-Boxの限定版の2種類。
通常版はDTS-HD MasterAudio 5.1chとリニアPCM 2chの音声を収録し、英語、中国語含む3カ国語を収録したもの。
限定版はこの通常版に特典ディスクを加えたもので、特典ディスクには、監督・キャストインタビューのロングバージョン(通常バージョンは通常版にも収録)と、メイキングドキュメンタリーを収録している。さらに熊木杏里“Hello Goodbye &
Hello”のPVも収録していて、さらに、Box封入特典として劇場フィルムカットと漫画版「星を追う子ども」2作品第1話お試しBOOK(新海監督と2名の漫画家による対談記事収録)と、オールカラーイメージボード集、そしてブックレットが付属している。
今回はファンタジー作品となっていて、前作の青春ものとはまた違った作風となっている。
第一作と第二作はSF作品だった事を考えると、随分と多彩な作風を展開してきたな、と思えるが、これらの作品群に一つだけ共通するものがある。
それは人の心の揺れ動きが実に繊細だという事。激動に揺れるというよりは、小さくそれでも確実に揺れ動いているという感じはどの作品にも共通して言えるのではないかと私は思っている。
それが新海ワールドなのかもしれないが、ジャンルが変わっても伝えようとする静と動は確実に存在し、そして観る者を魅了する。
気になる人は見てみるといい。
どこか他作品と異なるこの世界は見てみない事には分からないのだから。