5月16日に、docomoはヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qとコラボしたスマートフォン“SH-06D NERV”を公開した。
初めてその個体を見たときは…ああ、かつてのヱヴァケータイの新しいのね…ぐらいにしか思わなかったのだが、よくよく考えてみるとこれがスマートフォンだという事を考えると、今回のコラボモデルは実に興味深い。
というのは、メカニカルな部分がほとんどないスマートフォンでのコラボモデルは、そのデザインで「らしさ」を魅せるのが難しいからだ。あえて「らしく」みえる部分があるとすれば、背面くらいなものである。
実際、製品画像を見ても…
裏面のデザインには「らしさ」は存分に見えるが、表面がほぼ画面のスマートフォンでは、本当の意味でコラボしている部分はガワではなく中身のソフトウェアだという事がよくわかる。
2009年に発売された初代ヱヴァケータイ“SH-06A NERV”は、いわゆるフューチャーフォンタイプだったため、デザインという点で「らしさ」を出すのは容易だったが、スマートフォンはさすがにこの程度が限界といえる。
一応、こうしたコラボモデルは作品とリンクしている事をウリにしているため、製品設定というものが存在する。
その設定とは「NERV幹部に支給される端末の“流出品”であり、NERVの意識決定などを行うコンピューターの「MAGI」にアクセスできる端末という事らしい。また本来、一般職員や民間人は手にできない端末なのだが(MAGIにアクセスできるんだからそりゃそうだw)、非正規のルートから流出したことで購入可能になったという背景を持つ。
まぁ立派な設定である。
こうした“遊び心”があるのは分かる。
というか、コラボモデルなのだから設定の一つや二つないと真実味がない。
そういう観点で見れば、今回の“SH-06D NERV”もヱヴァケータイとしては納得のいくモデルと言える。
だが、前述したようにプロダクトとして見たとき、スマートフォンでのコラボモデルは味気ない感じがする。
それはスマートフォンという仕様上どうしようもない話なのだが、結局は中身のソフトウェアで「らしさ」を伝えるしかない。
そういう意味では“SH-06D NERV”はソフトも「らしさ」を追求している事は間違いない。しかし、もしこの中身のソフトウェアを別のスマートフォンで実現する事ができたなら、多少見た目は違うものの、ほぼ同一の追体験を別のAndroidスマートフォンで感じる事が出来てしまう。
ま、そういう事態は起きないとは思うが、Androidという共通OSの上で走っているガジェットであるならば、そうした抜き出しがあり得ないと言い切れるだろうか?
そしてもう一つ、私が“SH-06D NERV”で気にしている事が、Android OSのアップデートをどうするのだろう? というもの。
Androidスマホは全ての機種で同じOSのバージョンで使われていない事は知っているが、最新のOSで使えないデメリットがどこまでのものか…それを考えると、Androidを使用したことのない私からすると、安心できない一つの要素となってしまう。
ま、私はiOS端末を主体としていくだろうから、あまり注視するアイテムではないのだが、この“SH-06D NERV”を欲しいと考えるiPhoneユーザーがいたとしたら、多分そんな不安を感じるのではないかな? と思ったりする。
結局、Androidを使っている人からするとそこまで不安要素はない、というかもしれないし、Androidとはそういうものだ、という認識ならそれすら気にならないのかもしれない。
ま、一種のコレクターズアイテムであるから、趣味の領域を出ないスマートフォンだが、好きな人からすれば欲しいアイテムだろう。
予約は6月16日からで、発売は6月29日となっている。
ドコモオンラインショップでは限定3万台のうち3,000台が販売されるそうだが、ここでは予約受付は無く、発売日以降に1日あたり1,000台ずつ、3日間で合計3,000台が販売されるという事らしい。
予約するにしても店舗によって割り当てられている台数が異なるとの事なので、欲しい人は早い内に動いた方がいいだろう。
3万台という数字が果たして少ないのか? それとも多いのかはわからないが、iPhoneなら瞬殺台数である。どうしても欲しい人は要注意かもしれない。