Microsoft系の情報を専門に扱うPaul Thurrott氏という人が、自身のWEBサイト上に掲載した情報によると、Microsoftが2015年4月に「Windows 9」をリリースする計画であるらしい。
この計画については、今年の4月頃に開催予定のMicrosoftの開発者会議「BUILD 2014」で発表されるらしく、ラピッドリリースサイクルを採用してからは初となる大型アップデートとなる。
いくら世間に合わせてといっても早すぎない?
個人的にはものすごく早すぎると思う。
タブレット端末やスマートフォンの発売に合わせた早期対応を見越したラピッドリリースという事らしいが、普通のUltrabookにも搭載されるOSでこの速さの更新となると、実際に使っている側からすると、その機能を使いこなす前に新しいOSプラットフォームへ移行していく事になる。
WindowsXPが優れていたのは、人の習熟という部分において時間を十分採る事が出来たという事であり、その為にWindowsというシステムは、ある種絶対的なシステムになったのではないかと私は思っている。
しかし、今のMicrosoftはその「習熟する」という部分を置き去りにしているように思えてならない。
たしかに、世間では2 in 1のノートPC&タブレットというWindowsマシンが今後増えていくだろうとか言われているが、それを見越してのWindows8.1ではなかったのか?
そもそも、Windows8.1ですらInstant Goがまともに動いていない事実もあるし、OSばかりが先行してしまっても、使えない人を増やすだけのように思えてならない。
Windows8.2ではなくWindows9
もう一つ気になるのが、Windows8.1から8.2になるのではなく、Windows9になるという事。
カーネルの変更があったため、Windows8.1ですら8とは異なるOSだ、という人もいたのだが、メジャーアップデートを意味するWindows9という名称を使うという事は、従来と同じ考え方でいうならばOSのアップデートにもある程度の価格を覚悟しなければならないという事になる。
Windows8.1ですら習熟していない人が、Windows9を使うとは思えないし、仮にWindows9に圧倒的に使ってみたいという機能があったとしたならば、Windows8.1とは何だったのか? という事になる。
まるでVistaの再来か? とまでは言わないが、酷い扱いである。
Vista以前を使っている人なら、Windows9が出たタイミングで移行する人もいるだろうが、Windows7を使っている人がWindows9へ行くという事は私としては考えにくい。
こう言っては何だが、私はWindows7はWindows8以降より使いやすいと思っているし、PC然としたスタイルで使うなら、Windows8以降より圧倒的にWindows7の方が使いやすいという人が多いように思う。
結局、Windows8以降のOSはタブレット端末だったり、スマートフォン端末だったりするデバイスで使う分には良かったかも知れないが、結局キーボード必須という状況下で使うOSとしては非常に中途半端なOSのように思えてならない。
iOSがOS Xと異なるOSであるように、PC然としたスタイルで使用するOSとタブレット然としたスタイルで使用するOSとでは、使いやすさの基準が異なるように思う。
だからこそ、2 in 1で使用できる端末の時に困るワケだが、実際問題、Windows8以降の恩恵をより多く受けたのは2 in 1で使用する事ができる端末のみのように思えてならない。
タッチパネルモニターが普及しない事には…
ハッキリ言って、Windows8以降がデスクトップで流行らない最大の理由は、タッチパネルを採用したデスクトップ用モニターが非常に選択肢が狭いという事に尽きると思う。
私は自作PCだから余計にそう感じるのかも知れないが、モニターメーカーがタッチパネルで高精細なモニターを発売していれば、もっとWindows8以降の普及は促進していたように思える。
メーカー製ノートPCをメインで使っている人なら、最初からタッチパネルが使える状況にあるかもしれないが、メーカー製含むデスクトップPCの大部分は、タッチパネルでの運用が行われていない。
結局はいつもと同じ使い方になるわけで、それではWindows7の方が使い勝手が良いと言われても仕方が無いのである。
前日、2014年は4K元年になるのでは…という記事を書いたが、そのタイミングでタッチパネル化を並行して進めないと、デスクトップでWindows8以降を使う意味はホントになくなってしまう。
Microsoftはこの辺りをちゃんと認識しているのだろうか? とちょっと疑問に思えてくる。
それとも、海外ではタッチパネルのモニターが普及しているのだろうか?
脱Windows促進になる事はないのか?
時々ふと思う事がある。
今でこそWindows全盛がそのまま続いている感じではあるが、今後Windowsは頂点に立ち続ける事ができるのだろうか?
使う側が使いやすい環境を得られるのがもっとも普及する一つの指標だと思うが、Windowsはその指標の上に立っているとはちょっと思えなくなってきている。
ゲームの世界では、Steam OS機がいよいよ姿を現し始めた。Linux上で動作しているSteamをコアシステムとしてゲームをプレイできれば、Windowsはそもそも不要になる。
これと同じように、ビジネスの世界で新たなOSが登場し、これが安定的に使えるようになったなら、Windowsを必要としなくなってしまうのではないだろうか?
Windows自体があまりにも早いアップデート間隔をとりつづけ、習熟する前にシステムが変わり、ましてそれが有料で提供されるとしたならば、それこそ脱Windowsを促進してしまうように思えてならない。
人々にとって必要なのはOSではなく、その上になりたつサービスであり、それが安価でかつ安定的に手に入る環境が他に存在してしまったなら、Windowsは今の地位を維持する事などできようはずがない。
とりあえず、まだ確定した情報ではないものの、2015年4月にWindows9が発表される可能性は高い。
その時、乗り換える事になるのか?
手持ちのVAIO Duo 13は絶対的にWindows8.1を使い続ける事になるとは思うが、デスクトップに使っているWindows7をアップデートする可能性も低い、と見ている。
今の所必要性を感じないし、Windows7でも十分に思える。
Microsoftは、そうした使う側の心理を理解した上で、どのように新OSを売り込んでいくのかをもっと明確にした方が良いと思う。
供給方法も、その価格も、必要性も、いろんな側面から見て、Microsoftがユーザーに提示するものは多いのではないだろうか?