BRIXといえば、ギガバイトがIntelのNUCに対応して発売したシリーズ、というイメージが私にはあり、そしてその中身も実にIntel NUCに挑戦的な感じだったと思っている。
Intel製より小型でありながら高性能。BRIXはまさにそうした製品の方向性を持っていた。
高さ2倍で冷却ファン大型化
見た目で言うと、BRIX Proは高さが2倍ほどに高くなっている。
ケースサイズは114.4×111.4×62mmと、BRIXの107.9×114.6×29.9mmより遙かに大きい。
この理由は単純で冷却ファンの大型化ともう一つ、2.5インチストレージ内蔵可能という事に尽きる。
冷却ファンの大型化は、言うまでもなく搭載するCPUの性能が高性能化しているからに過ぎない。
まだBRIX Proは発売日も未定で、その仕様もまだ正式決定とは言えない所もあるとは思うが、搭載するCPUの上位版は4コア8スレッド動作に対応するCore i7-4770R(3.2~3.9GHz)であり、搭載するGPUはIris Pro Graphics 5200となる。下位版は4コア4スレッド動作に対応するCore i5-4570R(2.7~3.2GHz)だが、正直コレでも十二分な性能ではないかと思う。
どちらにしてもかなり高クロックで動作する事から分かる通り、従来のBRIXのサイズではその筐体の低さから十分なCPUクーラーが装着できなかった。そこで冷却の為のヒートシンクとファンを組み込み高さを倍加させたようだ。
冷却の為の吸気口がザックリとケース側面に網としてデザインされているのは、何か潔い感じだ。
背面には逆に排気口が用意されていて、このサイズのケースとしてはかなり空調は良い方かもしれない。
2.5インチストレージが1基そのまま入る
高さが倍加したもう一つの理由が2.5インチストレージがそのまま1基入るという事。
写真はまだ試用版で320GBのHDDが入っているようだが、恐らくは9mm厚の2.5インチドライブが内蔵できるものと思われる。12.5mm厚が入るかどうかはわからない。
この底面のドライブだが、マザーボードから出ているSATAポートと接続されるのだが、マザーボード上のSATAポートは独自仕様のようで、専用の接続ケーブルでこの底面マウントまで引かれている。
ま、この辺りは自作PCユーザーなら何の問題もなく取付けられるだろう。
必要最低限の背面ポート
背面は実にシンプルである。
HDMIとミニディスプレイポート、Gigabit Ethernet、USB3.0×2、電源とこれだけである。
前面にはUSB3.0×2とヘッドホンジャック(SPDIF兼用)だから、たったこれだけの外部I/Fである。
だが、コレで十分かもしれない。
一応、内部にはフルサイズのmSATAスロットが1本、ハーフサイズのmini-PCIeスロットが1本用意されていて、このハーフサイズには、標準でIEEE 802.11ac/a/b/g/nおよびBluetooth 4.0対応の通信モジュールが装着されている。
ストレージはmSATAを使用するとして、モニター接続端子があれば、他はすべて最近ならUSBで賄う事が可能だ。しかも速度的にも十二分なUSB3.0である。
これだの揃っていれば、このサイズで十二分な活躍ができるというものである。
しかし、このBRIX Pro、実は注意すべきところがある。
使用するCPUでノートPCと同等のフォームファクタである事は明白かもしれないが、使用できるメモリはSODIMMなのだが、駆動電圧は1.35Vに限られる。
つまり、使用メモリはDDR3Lという事になる。ローパワー仕様である所は注意だ。
従来と同じDDR3の1.5V駆動メモリを挿しても認識しないので間違えないようにしたい。
メインPCとして使用する事も十分可能
これだけの性能を持っていれば、当然メインPCとして使用する事も可能だ。
私が所有するVAIO Duo 13よりも強力なCPUを搭載しているし、メモリも16GBまで認識する。
mSATAの128~256GBのSSDを搭載して、こちらにOSをインストール、底面の2.5インチスロットには1GB以上のHDDを搭載してやれば、データの格納に関しても問題はないだろう。
搭載するIris Pro Graphics 5200は、最近の3Dゲームですら標準クラスの処理は難なく熟すだろう。VAIO Duo 13でもFF14は標準品質で何ら問題なく動作している事を考えれば、十分すぎる性能を持っているハズだ。
それでいて114.4×111.4×62mmというコンパクトサイズに収まるのだから、実に小さなメインPCと言えよう。
ま、ここまでの性能が必要ないというのなら、BRIXやIntelのNUCでもいいのだが、私が問題視したいのは、データの格納に関してだ。
VAIO Duo 13に関しても、私は普通使用するデータのほとんどを128GBのSDカードに保存している。
内蔵のSSDの消耗を防ぎたいという考えからそうしているのだが、SSDをHDDのように扱えない感じがしてSSDのみ搭載しているPCというのは、どうも扱いにくい感じがしてならない。
そう考えると、BRIXやIntel NUCは基本的にmSATA接続のストレージのみになってしまうため、USBを利用した外部ストレージが基本的なデータドライブになると考えられる。
しかしBRIX Proは2.5インチHDDを内蔵できるという強みがあるため、筐体一つで通常使用可能なPCになる。
BRIX Proは実に私が求めていた小型フォームファクタと言える。
まだ具体的な発売日や価格が不明だが、どんな用途にも耐えられるだけの性能を持つBRIX Proは、誰にでもオススメできる製品ではないかと思う。
ま、ノートPCの方が良いという人の方が最近では多いかもしれないが、据置タイプには据置タイプの使い勝手があるわけで、そうした一つの選択肢と考えるとするならば、オススメできる製品と言えよう。
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