ここ最近、妙に忙しい。もちろんそれは仕事の事であって、プライベートな事ではないのだが、私の勤め先の期の終わりが9月という事もあって、かなり忙しい。
やることは山積み
ウチの会社は製造業だが、いわゆる一般産業機器の低迷でここ数年、業績があまりよろしくない。全く良くないとは言わないが、以前ほどの勢いがないのは、多分特例を覗いて他の製造業も同じではないかと思う。
今、国は「エネルギー産業」「航空機産業」「医療機器産業」を成長産業区分としている。
このウチ、独自に設計したりできる産業は「航空機産業」を除いた2分野で、ウチの会社では製造できるサイズの問題から、主力を「医療機器産業」に向ける事を2年前に決めた。
だから、医療機器産業に参入するための薬事法や規定に関して2年前からいろいろ覚え始めたのだが、その中心としてハンドリングしているのが私であり、2年経って未だ会社にその仕組みを導入できないでいる現実は、私の無能ぶりを周りにアピールしているようなものであり、心苦しい所である。
だが、言い訳ではないが、会社の基幹システムに絡む問題を、私単独で進められるハズもなく、結局は通常業務を運用している人が主力にならないと、こうしたシステムの導入は覚束ない。私が無能ぶりを発揮しているのは、まさにこの「人を運用する」という部分にある。
言い換えれば「リーダーシップ」という言い方ができるかもしれないが、今の私にはそれが決定的に欠落しているワケである。
なので、システムを実現できない以上、私が単独でできる範囲は可能な限り私が対応しなければならないわけで、必然的に私の業務が超過気味になる。
さらに、現状の部門間をまたぐ維持活動の責任者なんてものをやってたりするので、期が変わるこの9月は、やるべき事がとんでもない量へ膨れあがる。
そんな状況の中、今までは何とかやりくりしてきたが、そろそろ限界点を突破しそうな雰囲気になってきた。
最優先事項は?
医療機器産業への参入に関して、立ち上げなければならないシステムはもちろん優先事項なのだが、最優先事項はやはり現時点での会社を維持する活動になる。
9月は防災訓練の時期でもあるため、避難訓練のプログラムを作成したり、その訓練の為の行動フローを作成したりしなければならない。この防災訓練というのは、常日頃からいつでもできるようにしておかねばならないのだが、訓練そのものは毎日やっている事でもないため、意外なまでに「何をしなければならないのか?」を知っている人がいない。
だから、役割を割り当て、その役割に対して何をしなければならないかなどを特定し、周知しなければならない。これらを構築して各部門へと落とし込み、実際の防災訓練を行うわけだが…これはまぁ上手くいかなかったりするのである。
一度大きな災害を経験すると意識がガラリと変わるのかも知れないが、そういう経験がないと、真剣さが全く足りない。結局、システムを見直して簡単かつ円滑に行う為の指針を、誰かがつくらねばならないわけで、今は私がそれを担っている。まぁ、今の忙しさに拍車をかける一番の原因はコレになる。
また、ウチの会社はISO 9001という品質マネジメントシステムを運用しているが、これに関しても期が終わる事によって…というか、ウチの会社で決めている事として、期末には済まさねばならないものがある。
それが内部監査というもので、会社の各部門の活動が円滑に稼働しているか? 問題がないか? 問題がある場合、どのように解決しているか? などを監査するのである。これはISO用語でいうと「監視・測定」と呼ばれるプロセスの一つである。
このISOの管理をする業務をウチの会社ではISO委員会という組織で運用するのだが、去年、委員会活動を見直すという名目で、ISO委員会は解散した。…が、なぜかその委員会の事務局だけは残され、現時点でその事務局メンバーは私一人が在籍している。
つまり…内部監査のプログラムや監査そのものを私が中心になって運用しなければならないわけで、これが通常業務にのし掛かってくる。もう自分で何をやっているのかわからないぐらい、プログラムの作成やチェック項目の選定、行われているハズの是正確認など、やるべき事が多い。
これらの業務に、さらに加えて産業廃棄物調査が今年は回ってきているため、そちらも何故か私が対応する事になった。
ハッキリ言うと…コレって総務の仕事じゃねーのか?(-_-;)
いや、総務にこの調査が県から通達されても、結局は私か産廃を実際に手配している人のところにこの話が回ってくるだけか…。
私はいったい何の業務をしている?
元々、私はこの会社に入った時には営業職だった。
ただ、元々私は営業職経験者というワケではなく、このBlogでは再三言ってきた通り、プロデュースという業務をしてきた。比較的営業とは似ているというものの、考え方そのものが異なる部分があるワケで、この会社に勤め始めた頃は営業職でありながら、見えているものがちょっと違う…というような営業だった。
私が見ているモノが違う、という事を経営者が気がついたのは、私が就職してから10ヶ月後くらいではなかったかと思う。全体的に見直した方が良い会社の仕組みが多数ある事に関して、経営者から意見を求められた事で、何となく察しが付いた。
その時、少しは遠慮してモノを言えばよかったのかもしれないが、ここぞとばかりに私は足りていない事やダメな事、必要な事などを立て続けに並べ、それに必要な要素を羅列した。
今思えば、私の会社における立ち位置が一気にわからなくなったのは、これが原因ではないかと思う。
それ以降、私は会社の品質マネジメントシステムに絡む業務をよく言われるようになり、そしてそれを決定的にしたのが、その年のISO 9001の外部審査、いわゆる第三者監査である。
初めてではあったが、内部監査で私が所属していた部門以外を受け持った際、どうしても納得のいかない流れで、業務の目標がすげ替えられていた事に気付いた。この部分に関して、私は明確な理由を説明する事を求め、目標を変更するにあたりその変更に妥当性が必要である事を報告書に纏めた。
この内部監査の報告書が第三者機関の監査員の目に止まったようで、この点に関して監査員が経営者に報告したのか、その後、私は主としての業務がISO関係に集中するようになった。
しかし、勘違いしてはいけないのは、ISO 9001とは会社の品質マネジメントシステムの事である以上、別段特別な事をする事ではない。いつも行う業務が正しい手順の中で行われているか? という事を監視し、もし手順通りでないのであれば、手順を変更するのか? それとも業務を手順通りに正すのか? という事を確認、検証していくだけの事である。
しかし、この仕組みそのものを理解している人が少ない事もあって、どうも社員全体に浸透していないのが現状で、会社側からは私にこれらを浸透させろ、と言っているのだろうと思う。
…これでもう私の業務は完全に営業ではないワケで、気がつけば営業に片足をツッコミながら、ISO関係の取りまとめ、そして今度はそれに繋がる環境マネジメントシステム(ISO 14001)まで見ろと言われ、そして今度はそれに繋がる安全衛生管理まで見るという状況になった。コレが今の状況である。
他にも当時は会社の印刷物の制作と管理もやっていたが、それに関しては今は後任として後輩が割り当てられたため、その業務分は軽くはなったが、その分今度は医療関係の品質マネジメントシステムであるISO 13485を構築する事になった。
…結局私は会社の業務システムである品質及び環境マネジメントシステムから逃れられない状態にある、というのが今の姿である。
品質マネジメントシステムいろいろ
ではどうして今この品質マネジメントシステムが必要なのか?
コレは、実は国内での仕事をするだけであるなら、必要はないと言える。日本人は業務システムをシステム化したり文書化したりしなくても業務を遂行する事ができるからだ。
しかし、世界を見れば、異なる人種が混在する国があり、多文化故に常識というものが常識という言葉だけで片付けられない側面がある。それ故に、業務を完全に文書化し標準化する必要がある。
ISOの9000シリーズはそうした側面から生まれたシステムで、業務を文書化し標準化させ、自らが決めた手順通りに業務を行っているという事を外部に宣言するシステムと言える。もちろん外部に宣言するだけでなく、会社の業務を確認する上でもわかりやすくするという側面もあるが、ISO 9001はまさしく自らが決めた業務を自らが監視・測定し、正しく管理された状態で遂行されているかを確認する仕組みである。
ISO 13485は、それに医療に拘わる法規制を加え、さらに必要となるEvidence、つまり証拠となる記録を明確化、さらに業務をトレースする事ができるように、それらに拘わる手順を文書化する事を求めた品質マネジメントシステムである。ISO 9001で求められる文書化は22項目(諸説ある)と言われるが、ISO 13485で求められる文書化は47項目にも及ぶ。
ISO 9001はそれでも自らが決めた業務に対してのシステムでしかない為、昨今その意味を失いつつある。というか、ISO 9001のシステム上でなくても、独自のシステムの上で、そうした業務管理ができる会社が増えてきた、と言っても良いかもしれない。
しかし、医療に関しては非常にハードルが高く、拘わる法規制や規格であるISO 13485の要求事項を満たす事が大変という事もあり、また国によっても法規制の内容が若干異なってきたりする事もあって、その理解がとても難しい。
日本国内で言えば、厚生労働省が第169号、通称QMS省令というISO 13485に準じた国内のQMSシステムを発令しているが、これに準拠していれば日本国内での医療機器に拘わる製造は行う事ができる。しかし、QMS省令に則っていたとしても、それでUSAに医療機器を販売する事はできない。USAにはFDAという規格要求事項があり、それに準じていないとUSAでは医療機器を販売する事ができないのである。
日本のQMS省令は、今年の11月25日には新QMS省令として改正された省令が施行される。
今は、この切替に医療関係者は奔走している。ウチの会社はまだ本格的に医療関係の業務を行っていない為、私は奔走している…という程の事ではないが、今まさに構築しようとしているシステムに変更が生じていて、私の理解が追いついていない状態である。
で、結局私は何をする人?
毎回、これで悩むのである。
気がつけば自分の業務はISOに傾きつつある事はわかるのだが、それに留まらず、さらに範囲を拡大しつつある事実にぶつかる事が多々ある。
それでも実の所所属は未だに営業管理部である。営業職でもなく、管理業務をしていないにも拘わらず(…ある意味管理してるのかもしれないが)、部門は変わらずである。
しかも最近は、各部門長が行っている部門長会議にまで出ろと言われ、挙げ句の果てに各種委員会にも参加している。
…私の通常業務って何? 所属ってドコ?
毎回これの繰り返しである。
会社でやるべき事があるなら気にしなくてもいいのに…という人もいるかもしれないが、何を成したか? という成果を問われると私には残してきた成果が非常に見えにくい。企業に勤めている以上、そこには何かしらの成果があり、そしてその成果を評価されるから、人はモチベーションが上がる。しかし私はその評価が得られるだけの成果が出ない。もともと総務職の人やそれに準ずる人は、ずっとこんな思いを感じて仕事をしているのだろうか?
少なくとプロデュース業をしていた時は、ダイレクトに数字で成果が見えていただけに、今の状態になかなか慣れず、また耐えられない自分がココにいる。
にも拘わらず、今忙しくてしょうがない。
忙しいのに、成果が出ない。
何をもって成果とするのか? 私にはまだまだ理解できない領域である。