AMDがAPUとして一つの最終形態と言ったKaveriだが、その後継Carrizoが登場する。
Excavator
現行APUのKaveriに搭載されているx86アーキテクチャ“Steamroller”の次に来るのが“Excavator”である。このExcavatorは、従来のアーキテクチャの延長上にあるものだが、基本的にはパフォーマンスCPUコアとなる。つまり省電力型という事だが、この世代ぐらいになると既にデスクトップ型とノートPC型のCPUコアに違いがなくなっていると言える。これはIntelも同じ方向性であり、デスクトップであっても省電力で当たり前な時代がやってきている。
Carrizoは、このExcavatorにAMDのGPUであるGCNを組み合わせ、さらにサウスブリッジのFCHを組み込み、SoC(System on a Chip)として製造される。
具体的な性能の上昇幅はわからないが、x86系コアが新しくなる事でパフォーマンスアップがある事は間違いないだろう。
搭載されるCPUコアは最大4基で、ターゲット消費電力は15~35W、製造プロセスは28nmになる。この辺りはどうしてもIntelが先行しているだけに見劣りしてしまう部分である。
それでも、CarrizoはKaveriの電力比で2倍を達成しているという。つまり、同じ消費電力なら2倍の性能を持ち、同じ性能なら半分の消費電力になる。
恐らくだが、デスクトップ版としてのCarrizoはパフォーマンスに振り、ノートPC版は消費電力にフィーチャーしたモデルが提供されると予測される。
幅広い層を狙うメーカーに…
APUという存在は、あらゆるメーカーに対しては随分と優しいコアだと言える。
1チップでCPU機能とGPU機能を提供できるのもそうだが、APUはそれぞれの機能がかなり高いレベルで実装されている。
Intelももちろん同じ方向性を持っていて性能でいえばさらに上を行くのかも知れないが、APUの最大の利点はHSA(Heterogeneous System Architecture、つまり異種混合技術)によりCPUとGPUをハードウェア的にもソフトウェア的にも同等に扱う事ができる事であり、これによりかなり効率的にデータ処理ができる。しかも搭載しているGPUコアはAMDのGNCであり、GPGPUとしての活用も本格的にできる。つまり、APUを基準にソフトウェアサービスを展開する事によって、幅広い層に対して訴求できるようになるという強みがあるわけだ。
昔は、ディスクリートGPUが必須というゲームソフトなども多かったが、APUの登場によって本格的に単純な構成でハイエンドなタイトルを実現できるようになりそうである。
残念なのは…
このCarrizoだが、性能だけ見ているとAPUでPCを構成する上でとても楽しみなコアになるのだが、現時点でFPGAパッケージで提供されるような予定がない。もちろん今後はわからないが、現時点では超薄型ノートPC、またタブレットという層をターゲットにしているようで、自作PC派からすると残念な状態である。
もしSocketFM2+対応のCarrizoが出てくれれば、今よりも低消費電力かつ高効率なPCを自作できるようになるのだが…。
先日、KaveriのA10-7800を使ったサーバを考えてみたが、性能と消費電力のバランスで考えると、Carrizoの方が断然有利になる事は間違いないし、できるならCarrizoで組みたいところである。
まだ発売もされていないものではあるが、AMDにはぜひ自作PC派の意見も取り入れてSocketFM2+仕様を出してもらいたいものである。