以前書いたが、私自身はハイレゾ音楽はまだ早いと思っている。
それでも時代はハイレゾ
私は自分の部屋の環境などいろんな事を考えた時、まだ私にはハイレゾ音楽は早いな、と感じている。実際、再生環境が整っていないというのもあるし、仮にヘッドフォンを使う状況であっても、そのヘッドフォン自体がハイレゾ音源を再生するだけの性能をもっているか怪しいと思っている。
使っているヘッドフォン等の機材は決して悪いものではない、と自負はしていても、そう思うのである。
だが、時代は徐々にハイレゾに移行しているというのはよく分かる。
最近、音楽配信サービスサイトなどで、過去の曲をハイレゾ化して配信を開始する話を良く聞くし、その楽曲数も格段に増えてきている。
となると、いつまでもハイレゾに行かない、というのも問題のようにも思えてくるわけで、自分でハイレゾ音源を再生できる環境として、コストをかけずにすませるにはどうすれば良いか? という事を模索する必要があるな、と思うワケである。
実は、昨年の夏頃から、3号連続でDigiFiという雑誌が、ハイレゾ音源の再生が可能な付録を付けていたのだが、案外コレが低価格で済ませられる機器だったりする。
だが、3つのユニット(あるいは4つ)を連結して使用するシステムであり、あまりスマートなものではなかったと言えるし、既存のアンプ等を接続しようと考えると、さらにやっかいなシステムになりそうだったので、今回私はDigiFiを買わなかったのである。
では他にどういう手段があるか?
いろいろ考えてみたのだが、一つの答えが先日のimpress AV Watchに掲載されていた。
Raspberry Piを使用する方法である。
Raspberry Piがサウンド再生機に
もともと、Raspberry Piは英国で開発されたARMプロセッサ搭載のシングルボードコンピュータで、汎用的な要素を多分に持っている。教育用コンピュータという側面を持ち、開発したラズベリーパイ財団が推奨する開発環境が存在するものの、基本的にはARM Linuxで動作する汎用コンピュータ、という位置付けである。
つまり、汎用的に何でも使える用途としてのコアシステム、という事である。
よって、拡張ボードにはカメラを搭載したものやモニターを搭載したものなど、いろいろなものが存在し、その中の一つとしてDAC機能を搭載したものも存在している、という事である。
impressのAV Watchで紹介された内容は、まさにこのDAC機能を拡張したシステムの紹介であり、これで比較的手軽にハイレゾ音楽の再生環境が得られるとしている。この画像の製品はRaspberryPi B+モデルで、他にもAモデル、Bモデル、A+モデルというものがある。Aモデル系はBモデルよりも省電力ではあるが付加機能が少ないなど特徴があるので、注意である。
但し、このDAC機能を拡張するボードというのが、企業が正式製品として公開しているものではなく、個人が開発した「IrBerryDAC」というボードであるという所に問題がある。機能的な問題ではなく、キットとして販売されていて、自分でハンダごてなどで電子部品を実装したりしなければならないのである。
まぁ、それでもそんなに大きな拡張ボードではないため、ハンダ付けが出来れば何ら問題はない、と見た感じ思えた。
それでも初心者は難しい?
前述した通り、Raspberry Piはモデルによって機能が異なっているだけでなく、当然ボードのコネクタ等も異なる。
一番やっかいなのは、Raspberry Pi BとRaspberry Pi B+でも異なるというところで、拡張ボードによっては取付けができない、という事もある。
AV Watchの記事で紹介されていた「new_western_elec」というサイトにも記載があるが、1月末にようやくRaspberryPi B+用のIrBerryDACボードが完成したようだが、再生できるハイレゾ音源の周波数がRaspberryPi B用ボードの384k/32bitとは異なり、192/24bitとなっている。
よりハイレゾを求める場合は、RaspberryPi BとIrBerryDAC 384k/32bitの組み合わせでないとダメ、という事である。但し…RaspberryPi Bボードが今入手できるかどうかはわからない。
個人で販売されているIrBerryDACボードだが、ほとんどの電子部品は実装されているため実際に自分で実装しなければならないのはオーディオ出力端子ぐらいのものである。
何だ、手軽じゃないか、と思えるかもしれないが、実はそれだけ規定の出力しか得られない。もちろん規定の出力だけでも十分というのならそれでも問題はないが、この拡張基板には電解コンデンサなどを追加実装できる部分があり、そこに電解コンデンサを追加する事でより音質向上が狙えたりする。
問題は「狙えたりする」という事。つまり、やってみて上手くいくかどうかはわからないという事だ。ソケットをつけていろいろ組み合わせで…というやり方もあるかもしれないが、そもそも電子部品というのはデジタルのクセ(こういう言い方が正しいかどうかはわからないが)に、実装の仕方によって音が変わるという、実にアナログ的な所もあるため、そういう事が嫌いでなければ問題ないが、慣れていない人では「楽しい」と思えるかどうかは保証できない。
やはりお手軽ではないか?
AV Watchの記事のように汎用品を使った方法もあるが、やはりお手軽はとなると専用品を使う方が楽である。
当たり前と言えば当たり前かもしれないが、専用品を使えば接続して設定して終わり、というだけの事である。ま、その設定が難しい、という人もいるかもしれないが。
しかし汎用品を使う場合は、音楽用デバイスとして成立させるまでにも手間がかかる。これは致し方ない所だ。
そう考えると、些か敷居が高い(コレ、日本語として正しい表現じゃないんだけどね…意味は通じると思う)と言える。
専用品となると…今度は価格がねぇ…。
やはりハイレゾは私からするとまだ早いという事かもしれない。
普通に今までの規格のCDとか販売されている現状では、もっといろんなパターンで音楽業界全体がハイレゾ化しないと、普及するまでに時間はかかるのかもしれない。
極端な話だが、ビデオ業界でもようやくBlu-rayが定着しはじめた、という段階。一足飛びにBlu-rayが一般化していたのはアニメ分野だけで、一般作品のBlu-ray化は作品自体は販売されていたものの、一般化は最近になってからである。…普通の人はあまり高画質とか高品質に無関心なのかね…。
つまり、音に関しても同じ。
プロやアニメ好きなマニア達は別としても、普通の人からするとその音質が44k/16bit(CD音源)であろうが、YouTubeで配信されるレベル(最近は高音質だけど)であろうが、ニコニコ動画で流されるレベルであろうが、関係ない、といえる。実際、ウチの会社の人でもそういう人が多いという事を私はつい最近知った。要するに聞こえればそれでいい、という事なのかもしれない。
こういう状況下で、果たしてハイレゾ音楽が一般化するのか? という疑問、その状況への対策はプロの方々の仕事だとして、私としてはそうしたハイレゾ分野に対してどれぐらい低コストで導入できるのか? その導入レベルは高すぎないか? という所に注目したいワケで、ココが進まないとハイレゾは一般化するのが難しいと思っている。
日本全体の消費環境がかなりハイレベルになっているため、人々が既にコレで十分、と思っている品質レベルに達した状況が、今は巷に溢れているのかもしれない。
その状況でさらに上の品質をを持ってきて「さらにコチラの方が美しく綺麗です」と言われても、それがコスト的に安さを感じないのであれば、今の日本人は従来のもので満足してしまう状況が出来上がってしまっているように思う。
例えば、液晶テレビなどもそうである。フルHDを見て4Kを見て、たしかに4Kの方が美しく綺麗でも、その製品価格を見たときに乗り移るか? というと、ほとんどの人は4Kには行かない。少なくともフルHDの製品と同額程度にならないと、製品切替はしないだろう。
そういう意味ではハイレゾ音楽はテレビよりも移行がさらに難しいように思う。
つまり、私はそういう切替を促すような状況を待っているワケであり、そのキッカケをより早くキャッチしたい、と考えているワケである。
とりあえず、今回いろいろ調べて見たが、模索するレベルで終わりそうである。
まだハイレゾ化に向かうにはちょっと早い、というのが最終的な結論。
それでも確実にその機運は高まっていて、いろんな方法がある事はよくわかった。
挑戦できるレベルになれば、またいろいろ調査して、今度はやってみてもイイかな? というものに出会える事に期待したい。