情報としては遅すぎる話をするワケだが…
本体内蔵手ブレ補正がイイのだ
最近のデジカメには手ブレ補正がほとんど搭載されている。
一眼デジカメの場合でも、本体に手ブレ補正があるか、レンズ内に手ブレ補正があるかの違いはあるものの、ほとんどが対応している。
それぐらい写真を撮る敷居が昔より下がっているわけだが、それでも本体内に手ブレ補正を入れるという事は、技術的に結構難しかったりする事も多くて、ペンタプリズムを搭載している一眼レフデジカメでは結構レンズ内手ブレ補正という機種が少なくない。
レンズ内手ブレ補正は、交換レンズの全てのその機構が入っていないと使えないという最大の弱点があるわけだが、本体内に手ブレ補正の機構が内蔵されている機種はオールドレンズでも手ブレ補正が使えるという、ものすごい大きなアドバンテージがある。
但し、この手ブレ補正はレンズの焦点距離に合っていないと効果があまり期待出来ない。
OlympusのOM-Dシリーズは、この手ブレ補正機能の所に焦点距離を入力する事ができるようになっていて、この焦点距離をレンズと合わせれば複雑な機構を持っていないオールドレンズでも手ブレ補正がバッチリ効いてくれる。ちなみに電子接点でカメラ本体がレンズの焦点距離を自動で認識する最近のレンズ(特に純正レンズ)は、こうした焦点距離の設定は一切不要。便利な時代である。
5段分の脅威
この強力なOlympusの手ブレ補正だが、最新機種E-M5 Mark IIでは5段分という驚異的な能力を持っている。
この「段」という表現を理解するのはとても難しいので、私自身も明確にならない部分も多いのだが、この手ブレ補正はシャッタースピードと関係していると言える。
基本的に35mm判換算で焦点距離分の1秒以下のシャッタースピードで撮影すれば手ブレは防げると言われて(もちろん絶対ではない)いる為、35mm判換算で100mmの焦点距離なら1/100秒以下のシャッタースピードであれば手ブレしない。逆にシャッタースピードが1/125秒だったり1/250秒だったりすると手ブレするのである。
手ブレ補正機能は、このシャッタースピードの段階を緩和してくれる機能で、小さい側からいくと、1/8000秒、1/4000秒、1/2000秒、1/1000秒、1/500秒、1/250秒、1/125秒、1/60秒、1/30秒、1/15秒、1/8秒、1/4秒、1/2秒、1秒、4秒、8秒、15秒、30秒…と大体こんな感じで推移する(もちろん厳密には違うというケースもある)。
E-M5 Mark IIは、5段分の手ブレ補正機能がある、という事は、例えばオートで被写体を捉えた時に、カメラが1/125秒というシャッタースピードを選択していたとしたならば、なんと1/4秒というシャッタースピードと同じくらいラフに撮影してもブレない、という事である。
もっと知ると病み付き?
この手ブレ補正の事を調べていると、今度は絞りとの関係も気になってくる。
というのは、シャッタースピードは1段変わると光量も1段変わるからだ。
具体的に言うと、1段上がる(速くなる)と光量は半分になる。つまり1/60秒のシャッタースピードを1/125秒で撮影すると光量は半分になるワケである。
逆に1/60秒のシャッタースピードを1/30秒のシャッタースピードで撮影すると光量は2倍になる。
この光量は何に関係するかというと、写真の明るさに影響を及ぼす。一眼デジカメはこの辺りの機構は銀塩フィルム時代と極端には変わらない。
だが、もう一つ光量に影響を与えるものがある。それが「絞り」である。
絞りとは、交換レンズ内にある複数枚の絞り羽根で出来た光の通る穴の事を言う。絞ればレンズの中心部分を使う事になり、一般的に被写界深度は深く(全体的にピントが合いやすく)なる。絞り羽根を開放するとレンズ全面を使う事になり、被写界深度は浅く(ピントが合わない部分は明確にボケる)なり、周辺部分が歪曲しやすくなる。
光量の話に戻るが、レンズの絞りを1段絞ると光の量は半分になる。逆に1段開くと光量は2倍になるわけで、この絞りの段刻みとして、1、1.4、2、2.8、4、5.6、8、11、16、22、32と推移する。よくレンズにF値というのがあるが、その数字である。例えば私が標準ズームレンズの神レンズと思っているM.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PROは、焦点距離12mm~40mm(35mm判換算で24mm~80mm)の全域でF2.8という光量を最大で得られるレンズ、という事になる。ちなみに絞るとF22まで絞れる為、段階としては、6段分の絞りができる事になる。
このように、光量を調節する機能としては、前項のシャッタースピードと絞りでコントロールできるワケだが、この関係を理解すると撮影の幅が一つ…いや、大きく広がる事になる。
例えば、オート撮影でカメラ側がシャッタースピード1/60秒、F4.0と判断したとしよう。
この場合、シャッタースピード1/125秒、F2.8で撮影すると、光量はほぼ同じになる。シャッタースピードを1段速くして、絞りを1段開放したワケである。同じように、2段変化させると、シャッタースピード1/250秒、F1.4となる。
この違いで何が生まれるかというと、光量は同じだがレンズをどんどんと開放しているという事。つまり、写真の明るさは同じだがより綺麗なボケを得られるように推移しているという事だ。逆に言うと被写界深度をどんどん浅くしているため、ピントの合う部分を狭めているだけ…という言い方もできる。
だから逆に、先程と同じ条件ならシャッタースピード1/30秒 F5.6で撮ると同じ光量で被写界深度を深くした画、つまりより全体的にピントが合う画が撮れる事になる。2段分なら1/15秒 F8になる。
こうした変化をマニュアル操作で行う事で、写真の全体イメージを変化させる事ができるわけである。
だがそれだけでは終わらない
シャッタースピードと絞りを理解すると、画作りに対してかなり自由にコントロールができるようになるのだが、デジカメ時代ではもう一つ、光量を大きく変化させる事ができる機能かある。
それがISO感度である。
ISO感度は元々フィルムの感光能力の事を指していた。フィルムの外装や箱などに「ISO100」とか「ISO400」とか書かれていたのだが、これは数字が大きいほど感光能力に優れる、という特性を表していた。
この感光能力は高くなると解像度が落ちていくという性質があり、基準が国際規格で決まっている。だからISOと名に付くワケだが、この基準に沿った感光能力をデジカメでも採用しているワケである。
銀塩フィルム時代は、フィルム毎にこのISO感度が固定だったため、事実上撮影時には露出(明るさ)はシャッタースピードと絞りで設定していたと言える。ところがデジカメ時代になると当然フィルムのような縛りがなくなったため、撮影毎にISO感度を変える事ができるようになった。
つまり、デジカメ時代の露出は「シャッタースピード」「絞り」「ISO感度」の3要素で変化させられるようになったワケである。
ある意味、とても自由度が上がったかわりに、とても複雑になった、とも言える。初心者がフルオート設定で撮影したがるのもよく分かる話である。…いや、私もその一人だが。
ちなみに…ISO感度は低ければ低いほど高解像度を得られると言われているが、実はデジカメ時代では低ければ良い、という話ではないと知っておいた方が良い。
低感度の場合、確かにノイズは少なくなるが、ハイライト部やシャドー部の白飛びや黒つぶれが出やすくなったり、全体的な発色、コントラストがどぎつくなる傾向になる。だから被写体やその周辺状況によってはこうした問題が浮上する事になるため、あからさまに低感度が良い、という事ではないとだけ覚えておくと良いだろう。
話を戻すが…
かなり話が横道に逸れたが、E-M5 Mark IIの手ブレ補正がどれだけ強力か? という事がおわかり戴けだだろうか?
先程、私が神レンズと言ったM.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PROは6段分の絞り変化のレンズだと言ったが(正確には1段の半分という設定もあるためもっと細かいハズ)、絞りによる光量変化とシャッタースピードの光量変化が同じ推移だと考えれば、このレンズの83%ぐらいの光量コントロールに対しての補正が可能、という事である。もっとも、この比較は実際の手ブレとは異なる為、ブレに対しての性能という表現とは異なるのだが、他機種で考えてみれば同じ事である。例えば3段分の能力だとすれば、M.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PROの50%をカバーする事になるわけで、83%との数字的比較が容易になる。他と比較する時の一つの目安になる事は間違いないだろう。
5段分の手ブレ補正は静止画撮影だけでなく動画撮影でも利用できる。しかも動画時には電子手ブレ補正も使えるため、かなりブレのない動画撮影ができるハズである。
実際、この手ブレ補正がどれぐらいのものかなどはYouTubeなどで実機を使った撮影動画などがアップされているため、どれぐらい凄いのかという事を見てみると良い。
E-M1の時にもスゴイと思ったがそれ以上の効果で、画面が動きに対して吸い付いていくような感覚に陥る。
流石に歩きながらの動画撮影だとブレもわかるが、それでも極力押さえ込もうとしているE-M5 Mark IIの手ブレ補正性能には脱帽ものである。
うーん…考えれば考えるほど魅力的だな。
私ももう、手ぶれ補正の無いカメラは厳しいですねーw
オールドレンズを買い始めて、更にボディ内手ぶれ補正の有り難みを実感してます。
私の持ってるカメラの手ぶれ補正は3.5段分。
それでもあれだけ違うとなると、5段って言うのは凄い。
いやはや、便利な時代になったものですね。
そう言えば、E-M5MarkⅡでは手ぶれ補正の手動入力に25mmは追加されたのかな…?
NOKTON25mmF0.95使うとき、25mmが無いんで一番近い24mmを選んでるんだけど、出来ればピッタリがあると良いな。
フォーサーズやOMマウントレンズに無い焦点距離なんかな…?
それはおいといて、個人的にはかなり欲しいカメラなんですよね。
発売後3ヶ月位で価格が安定するって聞くから、夏が危険な季節になりそうですねw
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ウチのE-M1は4段分の手ブレ補正だけど、実は効いてるなぁという実感がない。実際、かなり効いてるんだろうけど。
あまりにも当たり前に使えてる機能なんで、意識してないんだよなぁ。
ちなみにフォーサーズにはちゃんと単焦点でも25mmはあります。OlympusからもPanasonicからも出てます。
ただ、手ブレ補正の焦点距離入力に「25mm」があるかどうかは未確認。ウチのE-M1で一度確認しないとダメだな。なかったかもしれんが。
E-M5 Mark II、私も欲しいけど、チタンブラックの可能性があるのでは? と考えてると、中々手が出ない(爆)
レンズとの色合いの事を考えると、そのままブラックを買う方が良いのかも知れないけど、限定とかで
発売されると間違いなく悩む事になるんでw
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