先日からYouTubeをよく観ている。内容はS660である。
見た目より中身
ココだけの話、私はS660(エスロクロクマル)のスタイリングがあまり好きではない。全く嫌い、とまではいわないが、まだ前身であるBeat(ビート)の方が好きである。しかし、部分的には好きな所もあり、全体を見たときには相対的にそんなに嫌いというわけではない。
S660はビートの名を継ぐことはなかったが、そのフィーリングについては間違いなく後継車であり、スピリッツは受け継がれていると思う。
しかし、中身を見れば見るほど、ビートとは別モノなのではないかという気もしてくる。
既に市販が始まっているS660だからこその豊富な動画レビューを観ることで、その片鱗が見えてくるのではないかと思い、ここ最近YouTubeでS660の動画をよく観るようになった。
そうした動画を観ると、ドライバーによって三者三様の意見が出てくるわけだが、全ての人に共通して言える事は、軽自動車としては随分と剛性の高いしっかりしたボディをしている、という事である。
私自身、ビートに乗っていた時にも「随分と剛性感が高いな」と思った事があるが、S660はそれ以上の剛性感だという。逆にそれだけの剛性感を与えていてもビートよりは軽く作られている(総重量という意味ではなく装備含めての比較として、である)わけで、改めて最近の技術力の高さを実感する。
また、エンジンに関してはビートの後継という感じではなく、それでいてトルクフルなエンジンに仕上がっているという。これは当たり前の話で、ビートはNA(自然吸気)エンジンだったところをターボエンジンにした結果と言える。ただ、ビートはSOHCだったが、今回はDOHCとカムが2つになった事によるレスポンスの良さが吹け上がりの良さに繋がっているのかもしれない。
ハンドリングに関しても軽自動車という感じではなく、実にシッカリと作られているようだ。前のビートも軽自動車としては良い出来だったかもしれないが、ここらへんはボディ剛性の向上などの結果も合わせて総合的にカッチリしてきているのではないかと思う。
全体的に見て、ビートより中身は向上している…単に時代が新しくなったというだけでなく、総合的にビートのイメージを現代に合わせてチューニングした…そんな感じの車のようである。
シフトフィールは変化した?
私がビートに乗っていた時、もっとも感動したのはそのシフトフィールである。
とにかくショートストロークで、カチッカチッと決まるシフトが気持ちよく、公道を走り出してスピードがある程度乗ったなと思ったら、もう既に5速に入れていた…なんていう感じだった。
実際、2速と3速をダブルコーンシンクロとして高回転に対応させた5速MTは、当時はNSX以上に小気味よく決まるシフトと言われていた。
今回、S660のMT仕様は6速となり、ビートの時に感じた頭打ち感はなくなっているかもしれないが、シフトノブを見ると、ビートの時より長めのシフトに見える。実際に握ったわけではないから解らないが、ショートストロークという面でいうと、若干スポイルされているのかもしれない。
ただ、ドライブすればカチカチ決まるシフトであろう事は、動画からよく見て取れる。HONDAのこの系譜にある車は、やはりシフトフィールが命という事ではないかと思う。
CVTの進化にMTも折れる…
ビートは5速MTしか選択肢がなかった。
当時はAT限定免許を持つ人よりも普通にMTが乗れる免許が一般的だった事もあって、それが問題になる事はなかったが、今ではAT限定という人も多くなり、今回のS660はCVTの選択肢が与えられた。
ちょっと前ならATはMTより燃費が悪い、という便利で楽だけどデメリットもある、というのがオートマチックの通例だったが、CVTはもはやMTと比較してデメリットがほぼなく、逆にメリットまである始末。MTのメリットと言えば、シフトフィールが楽しいという事と車をコントロールする上で自由度が高い、という事ぐらいしかなくなってしまった。実際カタログスペックで見てもCVTの方が燃費が3km/Lほど良くなっていて、もはや人間の感覚の部分以外でメリットがない状態である。
そういう事も含めて、動画では「CVTでも楽しい」とか「CVTも良く出来ている」とか「Sportモードにするとメーター周りが赤くなりテンションが上がる」など、良いぞという事をレポートしているようだが、スポーツタイプを乗るならば、やはり自分自身の意思で自由にコントロールできるMT仕様がデフォルトだろ? と私は言いたい。
私と同じ世代…もしくはもっと上の世代なら、間違いなく同じ感覚だろうとは思うが、動画を観ていて迷わずCVTを選ぶ人がいて「ああ、これも時代なのか…」とちょっと感じた。
確かにCVTは電子的に制御している事もあって、いろいろとメリットが多いのも事実。MTではそういうメリットを失う事になるわけで、MTにも革新的な電子的メリットを導入できるように検討してくれ、と言いたい所だが、現実にはそういう訳にもいかず、楽しい感覚を取るか、電子的メリットを取るかの二択は今後も迫られる事実になるのではないかと思う。
欲しいけど…買えない…
魅力的なS660だが、その価格はもはや軽自動車の枠では収まらない。軽く200万円オーバーは当たり前で、乗り出し価格で言えば230~250万弱くらいの価格になってしまう。
そう考えると、S660は軽自動車という枠組みで考えない方が妥当であり、ケータハムのスーパー7のような純然たるスポーツカーという感覚で購入するのが正しい買い方のように思える。
しかし排気量が…という人もいるかもしれない。確かに軽自動車枠の排気量ではあるのだが、そもそも660ccで64馬力以上を叩き出す車は日本の自動車メーカーのお家芸みたいなものであり、パワーを出し切って楽しく走るという意味では、64馬力でも申し分ない走りができるハズだ。
また、今回はターボエンジンという事もあって、マフラーをJASMA認定の抜けのよいものに交換すれば、おそらく簡単に80馬力くらいは出るのではないかと思う。
また、これは前々から噂になっていた話だが、S660はベース車輌でしかなく、海外向けにさらに幅広&排気量増量の車がでるのではないか? と言われている。
海外向けだと800ccもしくは1000ccくらいの排気量になるのではないかと思うが、そうなると100馬力仕様なんてのも出てくるかも知れない。
そうなれば、名実共に普通車へと格上げになるわけで、場合によってはそれによりNDロードスターと張り合える車になるかもしれない。
長年、ロードスターと同じ土俵で戦える車がない、という状態が続いていたワケだが、そこにS660系の車が切り込んでいくかも知れないと考えると、それはそれでまた感慨深いモノがある。
どっちにしても気軽に買える価格ではない。
今は動向を眺めつつ、今後の展開具合を影から見守る事にしよう。
S660の外装デザインに関しては、側面とグリルの一部以外はビートの後継っぽさを感じませんでした。
正直言うと、ロードスターNDの方が好きですね。
シフトフィールやエンジンフィールに関しては、電子制御部分が増えているはずだから、先代の様には行かないでしょうね。
走りを重視するならその辺もこだわって欲しい所ですが、それで一般の人に売れなくなったら本末転倒だし、難しいですね。
私は車に関わらず、メカものは機械式が好きです。
今では電子制御が当たり前のメカニズムでも、バネや歯車等でそれを実現していたじだいのものが好きです。
今、同じものを作ろうとすると、コストが嵩んでとんでもない価格になるんでしょうけれど、可能なら完全機械式(電源無しでも動く)に魅力を感じます(機械式腕時計様に)。
最近のメカものは使い勝手やコスト、性能を良くするために機械式から離れていく傾向が強く感じます。
…って、メリットしか感じませんがw
便利になって嬉しいもの気になりませんが、趣味性の高いものはメカ成分の高いものを残して欲しいなと思います(車はまだMT車かつキャブレター式等が残ってますが)。
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S660、こんなデザインの車があってもいいかな? とは思うけれど、ビートの後継車という感じには思えないというのが正直な感想。
ただ、ビートの系譜にある車だろうな、とも思う所もある。
それは64馬力という出力を使い切って公道を走れるという事。峠道なんかだと、この非力なパワーと低いトルクを最大限に使って走らないと速く走れない。如何にコーナリングでスピードを落とさずに抜けていくか? といった、走る事に対するフィーリングは、間違いなくビートの、いや、もっと根源にあるS600の系譜にある車だと思う。
また、F-1がそうであるように、時代に合わせた最新技術を組み込んでいるという部分もスポーツマインドから考えると当たり前といえば当たり前なのかもしれない。
ただ一つだけ思う事。
S660はCVTじゃなくデュアルクラッチがよかったなぁ、と。
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