AMDから遂にFijiコアのGPUが発売された。
何が従来と異なるのか?
こうした事に興味のある人は、すでに自分で調べきってしまっているとは思うが、AMDから発売された最新GPUは、今までのGPUとはアプローチが異なっている。
簡単にそのあたりを説明すると、GPUコアそのものに違いがあるわけではなく、違うのはGPUがアクセスするメモリに大きな違いがある。
コアそのものは、GCN(Graphics Core Next)アーキテクチャを採用し、28nmプロセスで製造されている事を考えると、ホントに従来と違いがない。最大の違いというのは、VRAMにGDDR5メモリではなくHBM(High Bandwidth Memory)を採用したことであり、そのHBMも従来のビデオカードのようにGPUから離れた所に配置されているのではなく“Fijiコアの真上に覆い被さるように4層で組み込まれている”という違いがある。
つまり、同じコアパッケージにメモリも含めて収められている、という事であり、それらを含めたFijiコアパッケージは、従来のGPUよりも遙かに大きなものとなっている。
搭載されたHBMは、4層各層で1GB、各1,024bit、合計4,096bitのメモリインターフェイスとなっている。GeForce GTX980で256bitのメモリインターフェースである事を考えると、とんでもない帯域を持つメモリと言えるが、動作クロックがGDDR5に比べて遅い為、メモリ帯域幅そのものは512GB/secになる。まぁ、それでも従来よりずっと速いワケだが。
それでその性能は?
最近のGPUの性能が伸び悩んでいるのはメモリ帯域幅に原因がある。
そう言われ続けた結果、このFijiコアが登場したとも言えるのだが、それではその性能は実際問題どれぐらいになるのだろうか?
impress PC Watch
初のHBM搭載ビデオカード「Radeon R9 Fury X」を試す
上記にそのレビューが掲載されている。
結論から言うと…思った程スゴイ事になっていない、という事である。
これならばNVIDIAも大慌てになる事はないな、と正直私は思ってしまった。
たしかにアプローチとしては新しいし、考え方としても悪くはないと思う。メモリ速度が足りないならコアに直結させてしまえ、という考え方は実にシンプルでわかりやすい。
しかし、問題はそうする事で搭載できるメモリ量にコスト的問題がのし掛かってくる、という事である。
もしFijiコアのようなHBMで8GB以上を搭載したなら、それこそ価格はとんでもない価格になってしまっていただろう。
そう考えると、NVIDIAのMaxwellコアはとんでもなくワットパフォーマンスに優れたコアだと改めて思い知らさせる。
正直、FijiコアのRadeon R9 Fury Xが登場する事でNVIDIAが慌て始め、価格を下げてくるのではないか? と淡い期待をしていたのだが、そんな価格操作はまず起きる事はないと言えそうだ。
うーん、GeForce GTX980クラスの性能がもっと手軽に手が出せる価格帯になってくれればなぁ…。
コレ、何度読んでもコードネームのfijiと製品名のFuryが混じってFujiと読んでしまいますw
グラフィックカードの性能は、一時期ムーアの法則に沿っていたけど、流石に頭打ちですかね。
fijiコアは興味あるけど、今使ってるカードでもDirectX11対応してるし、当分様子見ですかね。
…高いし (´д`)
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ムーアの法則に関しては、私はもうそれに準じていないと思っています。
微細化が進んで消費電力が下がり、下がったから搭載トランジスタ数を増やして性能が向上する…を繰り返してムーアの法則は性能指標が上がっていきますが、ナノに入った頃からリーク電流というものが問題になって消費電力が下がらなくなり、性能向上が頭打ちになりました。
それを解決するために、IPCを上げるのではなく、マルチコアという選択肢を採ったわけですが、マルチコアだから消費電力の考え方がその時点で変わってしまっています。
であるなら、もうムーアの法則に従っているとは言いにくいのではないか? と私は思います。
特にGPUは最初からマルチコア化で進化していますからね…電力消費が劇的上昇しはじめた頃から、もうムーアの法則外にいるのではないかと…。
私はNVIDIAならMaxwellが一つの帰結点ではないかと思っています。
次はもっとワットパフォーマンスが高いようですが、その時には次の大きな技術進化の中だと思います。
Radeon R9 Fury Xはまさしくその大きな技術進化から生まれたものなので、今後のドライバ対応と技術進化に期待したいところです。
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