いよいよ日本でもApple PayによってモバイルSUICA対応に。
便利なだけにわからない事も多い
Apple Payはクレジットカードなどの電子マネーをスマホで纏めてしまおうという主旨でサービスが開始されているが、iPhone7シリーズからその対応カードの中に「FeliCa」が加わった。
FeliCaが加わったことで、今までAndroid一択だったモバイルSUICAがiPhone7シリーズでも利用できるようになり、今まで以上に利便性が向上した。
ただ、一つ勘違いして欲しくないのは、Apple Payが利用できるのはiPhone7シリーズだけではない、という事。
基本的にはApple PayそのものはiPhone6シリーズ以降で利用可能で、FeliCaを採用している電子マネーのみ、iPhone7シリーズ以降で利用可能というだけの話である。
だから、一部のクレジットカードでもQuicPay対応カードなどであるならば、iPhone6でもそのサービスを利用できる。何もiPhone7シリーズの専売特許というわけではないのである。
ただ、交通機関カードであるSUICAが利用できるというポイントは非常に大きい。特に東京での電車移動を主体にしている人であれば、SUICAはほぼ必須カードと言えるし、そのSUICAにおいてオートチャージを利用している人であれば、それがiPhone7シリーズで利用できるとなると、今まで以上に利便性は上がることになる。
そもそもApple Payとは何であるのか?
また、FeliCaとは何なのか?
Apple Payで利用可能なサービスとは何なのか?
この辺りが明確に解っていないと、本当の意味での便利さを享受することはできない。
モバイルSUICAをiPhoneで
ではiPhone7シリーズでモバイルSUICAを利用するにはどうしたら良いのか?
やり方は単純である。アプリを立ち上げて、今まで使っていたSUICAをiPhone7にかざすだけである。こうする事で、今までのカードの情報をiPhone7に取り込み、iPhone7側でモバイルSUICAが利用可能になる。
ちなみに情報を移動させた後のSUICAは再利用できない。いや、正確に言うと、モバイルSUICA上でカード情報を削除しない限り利用できない。つまり、カード情報を削除する際には、今まで使用していたSUICAに情報を戻すことができるのである。これは一応覚えておくと良いかも知れない。
また、カード型のSUICAの入手時に支払った500円のデジポットは、モバイルSUICAでもそのまま引き継がれ、ちゃんとチャージ料金に500円が含まれた形で移行する。
それと、他にも覚えておきたい事として、フィーチャーフォンやAndroidでモバイルSUICAを利用していた人が、iPhoneへ機種変更する場合は、いったん機種変更手続きをしてサーバーへデータを預けて、iPhone側でカードデータの取り込みを行う前にサーバから預けた機種変更データを受け取らないといけない。
元々のデータの認証等の問題から、手続きが結構難しい話なので、JR東日本から提供される情報をよく理解した上で移行するようにしたいものである。
SUICAはかなり特殊
Apple Payで利用するSUICAでは、残高をチャージしたり、JR東日本が提供するアプリで定期券を購入したりする事ができる。
基本的にApple Payで決済する時には、Touch IDによる指紋認証を行わなければならないのだが、SUICAに限りその指紋認証は不要になっている。これは「エクスプレスカード」という仕組みが用意されている為であり、自動改札で瞬時に決済を行う必要があることからこの仕組みが用意された。
というのは、SUICAでは仕様上決済速度が0.2秒で完了させなければならないと要求しているのだが、ロンドンの交通局が要求しているクローズドループでは0.25秒、オープンループで0.5秒を仕様としていて、日本のJR東日本の要求性能が断然厳しい条件になっている。
この仕様の違いが、今までiPhoneにFeliCa対応機能が搭載されてこなかった理由の一つなのだが、もっと恐ろしいのは、海外で実際に電子決済で交通機関を利用してみると、実際の決済速度はさらに遅く、酷い時には5秒近くかかっている場合もあったりするというのである。
もし新宿駅のラッシュ時にそんな状況が出来てしまお芋のならば、改札口で大渋滞を引き起こす事になる。
そこで、この問題を解決する「エクスプレスカード」という仕組みが用意され、Touch IDなしで改札を通れるようにした、という事である。
まぁ…要するに日本の無線通信技術と電子決済技術が世界より抜きん出て優れていて、海外では日本の要求仕様は厳しすぎると考えられている事実が、今まで壁を作っていたという事である。
ちなみにJR東日本が要求する0.2秒という決済速度は、1分間に60人が改札を通過できるラインだそうで、海外ではその半分の通過タイミングでも十分らしい。
この違いが、日本をガラパゴスにしていた一つの原因かもしれない。
クレジットカードの場合
Apple Payの本来の形はどちらかというとコチラ。
クレジットカードを予め登録しておいて、それを個人認証で利用するというのが本来の姿と言っても良い。
SUICAの対応は、その機能の一つでしかなく、メインは別の所にあるのだが、まぁ、日本ではSUICAがどうしても支流に考えられてしまう傾向がある。
それも致し方ないのかも知れないが、今回の国内サービス開始によって、日本でのApple Pay対応可能なカードは、以下になる。
イオンカード(一部不可)、オリコカード、クレディセゾン、JCBカード、トヨタファイナンスTS CUBIC CARD、Viewカード、三井住友カード、楽天カード、dカード(NTTドコモ)、au WALLETクレジットカード、ソフトバンクカード、三菱UFJニコスカード(今後対応予定)
大凡、有名どころは対応しているが、iDやQuicPayで支払える場所であればどこでも利用可能になる。
注意したいのは、JCBカードやマスターカードは利用できるがVISAカードは未対応だという事。つまり、例えば楽天カードでもJCBサービスを使えるカードなら何の問題もないが、VISAカードサービスを利用できるカードの場合、最悪使えないケースが出てくるという事である。
これはVISAカードの方針によるもの(らしい)で、今後の動向が気になるところである。
こうしたクレジットカードを複数登録する事ができ、それを一台のiPhoneで纏めてしまえるというのは、実に痛快かつ便利な話である。
自分はiPhone7じゃないから…という話は前述したように気にする必要はなく、少なくともこのクレジットカードでの利用はiPhone6シリーズ以降であれば利用できるので、iPhone7シリーズでなくてもクレジットカードのまとめ機能は使えるという事をもう一度ここで明言しておく。
ただ、もっとも利用頻度が高くなるのがモバイルSUICAである事もまた事実。
こればっかりはiPhone7シリーズでないと利用できないので、SUICAで使いたい…という人は、iPhone7シリーズの導入を検討するか、Apple Watch2の導入を検討するのが良いだろう。
Apple Watch2でもこの機能が利用できるという事は、比較的忘れられがちではあるのだが、Apple Watch2単体でモバイルSUICAでの決済は対応できるので、コチラも選択肢の一つになり得る。
但し、Apple Watch2でモバイルSUICAを使用したい人は、Apple Watch2を右手に装着する事になる、という事を先に言っておく。
というのは、日本の自動改札は右側に配置されているセンサーで認証させるからである。通常、腕時計はほとんどの人が左手に装着していると思うが、左手では物理的にスムーズな認証というわけにはいかないので、要注意である。
以前、私もApple Watch2でモバイルSUICAが良いのではないかと考えた事があったのだが、実は問題があったという事に気付き、それを考えるとApple Watch2よりはiPhone7シリーズへの移行の方が現実的なのかもしれないな、と思ったりしている。
ま、私は来年以降に発表されるiPhoneに期待しているので、それまではApple Payは封印という感じではある。
そこら辺は、人によっての考え方での運用なので、よくよく考えて利用して欲しいところである。