噂通りのタイミング。
11GBというハンパ感
NVIDIAのビデオカードにおいて、常に最上位に君臨するのが「TITAN X」という名称になるのだが、今回発表された「GeForce GTX 1080 Ti」は本来ならその下位に属する製品になる。だが、発表された「GeForce GTX 1080 Ti」は、性能的には「TITAN X」を超えるものであった。
使用されているコアは“GP102”のダイで、基本的には「TITAN X」と同等である。しかも搭載しているCUDAコアの数も全く同じなのだが、違いはそのコアの駆動クロックにある。
若干だが「GeForce GTX 1080 Ti」の方がクロックが高めに設定されているため、処理の面で高速化している。
また、メモリ周りにも違いがあり「TITAN X」はROP数が96基だったのに対し、「GeForce GTX 1080 Ti」は88基と減ってしまっている。これにより、メモリインターフェース幅も「TITAN X」が384bit幅だったのに対し「GeForce GTX 1080 Ti」は352bit幅と減ってしまっている。
だが、それでも性能は「GeForce GTX 1080 Ti」の方が上回っているとしているのだが、その理由は使用しているメモリであるGDDR5Xの動作クロックが10GHzから11GHzと10%向上しているからである。
これにより「TITAN X」がバス帯域幅が480GB/sだったのに対し「GeForce GTX 1080 Ti」は484GB/sと結果的に上回る事となり、全体的なパフォーマンスは「GeForce GTX 1080 Ti」が上という事になるという。
但し、ビデオメモリ量は「TITAN X」が12GBに対し「GeForce GTX 1080 Ti」が11GBと1GB分少なくなっている。これは接続するメモリチップのインターフェース幅の問題でこうなっているので、結果的に両者の性能のバランスを取った、という感じに見えるかもしれない。
価格は699ドル
今回発表された「GeForce GTX 1080 Ti」の価格は699ドルという価格設定となった。
「TITAN X」の価格が1,200ドルだった事を考えると破格とも言える価格だが、気になるのはこの下位に属する「GeForce GTX 1080」の価格が599ドルと100ドルの差しかない事である。
100ドルの差が小さいかと言われれば決して小さいわけではないが、従来の高付加価値ビデオカードでの100ドル差という数値は、決して大きいわけではない。
そのあたりを考えてか、NVIDIAは「GeForce GTX 1080」の価格を499ドルにすると発表した。
どちらかというと、私からすると「GeForce GTX 1080」が499ドルになった事の方が朗報とも思えるのだが、そう感じる人は意外と多いのではないかと思う。
これに合わせ「GeForce GTX 1070」の価格は見直されるのかどうかはまだ分からないが、正直、バランスを取らないと不釣り合いに思えるのだが…今の所、1070の価格改定のアナウンスは出ていない。
AMDの動きにも要注意
この「GeForce GTX 1080 Ti」の情報が開示されたのとほぼ時を同じくして、AMDの次期ハイエンドGPUもその名称が明らかになった。
「Radeon RX Vega」という名称が、Game Developers Conference 2017というイベントで公開されたのだが、このイベントでは仕様の詳細な説明はなかった。
但し「Radeon RX Vega」は広帯域キャッシュコントローラを搭載し、ゲーム内のフレームレート向上を狙ったものになるという事は紹介され、新世代の3Dゲームがスムーズに動作する事がアピールされている。
こちらの価格がどの程度になるかによっては、市場での「GeForce GTX 1080 Ti」や「GeForce GTX 1080」の価格はまた変わってくるように思われる。
今年はAMDの勢いがCPUだけに留まらずGPUでもスゴイので、市場への影響がどの程度でるのか等、読めない部分が非常に多い。
NVIDIAも、今「GeForce GTX 1080 Ti」を発表したが、おそらく1年と経たずして次の新アーキテクチャGPUを投入してくる可能性があり、しばらくは市場は落ち着かない様相を見せるのではないかと考えられる。
個人的には…消費者に優しい、それでいて納得のできる高付加価値製品が投入される事が望ましいのだが、市場に競争がないとそれらが生まれないので、CPUのようにGPUの市場でもAMDが大暴れしてくれる事を切に願いたい。