AMDからPolaris版Radeon Pro Duoが発表された。
より現実的か?
AMDより、Polarisアーキテクチャを採用したプロ向けDual GPUビデオカード“Radeon Pro Duo”が発表された。
昨年にも“Radeon Pro Duo”が発表されたが、そちらはFijiアーキテクチャ版であり、今回発売されたものと内部が異なる。
Fiji版では、その搭載メモリがHBM(High BandWide Memory)を採用していたが、今回のPolaris版ではGDDR5に変更されていて、さらにGPUアーキテクチャが異なる事から、Stream Processorも8,192基から4,608基へと減少している。
この事から、処理能力は大幅に変わり、Fiji版では16TFLOPSだった処理能力は11.45TFLOPSとなり、メモリインターフェースも4,096bit×2だったものが256bit×2へと変更になっている。但し、メモリに関してはデータレートは1Gbps程度から7Gbpsへと上昇している為、帯域は速度で稼ぐという方式に変更になっている。
この事から価格も変わり、Fiji版では1,500ドル程度だったものが、999ドルと低価格化している。発売時期は5月末としている。
個人的に言えば、より現実的な価格になったかな、という感じがしないでもない。
TITAN Xと比較すると?
大体、このようなハイエンド製品が登場すると、ほとんどの場合はライバルとの性能差を宣伝文句にするのが常套手段だが、今回はあまりそういうのを大々的にしていない感じがする。
Dual GPU化している事で、消費電力が大幅に上昇した事で、シングル構成のライバルとの比較はしたくない、というのが本音なのかもしれないが、その影にはやはり次世代アーキテクチャのVegaがちらついているからではないかと思う。
というのは、AMDは依然としてVegaが今年の第2四半期にローンチされるという事を説明しており、その通りであるならば、Radeon Pro Duoの発売から1ヶ月以内にVegaが発表されるという事になる。そうなると、消費者側の期待はどうしてもソチラに向いてしまうのは避けられないのではないだろうか。
Vegaに関しては、AMD幹部のインタビュー等で「Vegaの性能はTITAN Xpと肩を並べるものになる』と答えている事から、相当に自信があるような感じで、登場するコアであるVega10には、HBM2を搭載しStream Processorも4096基になるらしい事が分っている。
同時期に登場するだろうVega11の事についてはほぼ分らないが、モバイル向けとメインストリームデスクトップ向けに投入されるとされていて、Vegaアーキテクチャが幅広い層に投入される事も大体見えている。
つまり、AMDの本気はVegaアーキテクチャが登場してから、という感じに聞こえてくるワケだが、こういった経緯から、何となく今回発表されたRadeon Pro Duoは、Vegaの影に隠れてしまいそうな製品にしか聞こえてこない。
Vegaを心待ちにしている人は、おそらく相当数いるはずである。