Project Scorpio、すっかり忘れてた(爆)
逆転を狙うProject Scorpio
Xboxの新型としてXbox One Sが登場してしばらく経つが、正直言ってXbox One Sの利点と言えばUHD Blu-rayが再生できる、というぐらいで、その他はXbox Oneと変わらない、という印象でしかなく、今の所私には購入という選択肢はない。
そもそもXbox One Sは、PS4でいうならば廉価版の新型が登場した、というぐらいの感覚でしかないから、そもそもXbox Oneが欲しいと思わない限りはなかなか購入というプロセスに続いていく事は難しいと言える。
恐らく、それは私だけではなくほとんどの人が同じ方向に向かっているのではないかと思うのだが、実はMicrosoftはPS4で言うところのPro版を計画していて、その名が「Project Scorpio」という事を、あまり多くの人は知らないかも知れない。
一応、ゲーム関係の情報サイトでは前々から情報は出しているが、大きな発表のわりに出てくる情報があまりないため、いつの間にか忘れてしまっている、という人も多く、未だ話題にはならないレベルの新型と言える。
その「Project Scorpio」の情報がここ数日で大きく出てきた。
未だ最終製品名は未公表ながら、技術的な所は大体見えてきたという感じで、そこから見えてくるスペックは、後出しならではの高性能。当然PS4 Proを超えてくる事になるのだが、それでも次世代機とは呼べない新型である事が見えてきた。
360平方mmの巨大プロセッサ
Project Scorpioが搭載してくるコアは、PS4と同じくAMDのJaguarコアのカスタム版になる。新アーキテクチャではなく、あくまでもJaguarコアの延長上である。もちろん最新版のJaguarコアなので、Jaguar Evolvedと呼ばれる改良版をベースとする事になるのだが、基本はこのコアに独自アーキテクチャを加えての搭載になる。
このJaguar Evolvedベースのコアを2.3GHzで駆動させたものをメインコアとして搭載すると見込まれていて、同じJaguarコアベースのPS4 Proの2.1GHzと比較しても、性能は上回ってくる事が予想できる。
また驚きなのは、内包するGPUがAMDのPolarisアーキテクチャだという事。コイツと同等のCompute Unit数を10基、シェーダプロセッサ数で言うと2560基搭載するコアになるというから驚きで、GPUの性能だけで言えばPS4 Proと比較しても1.43倍の性能を持つ計算になる。
演算性能で言えば、6.0TFLOPSという性能を持つ事になり、大幅な性能進化を遂げる事が予想されている。
ここまでだけでも、相当に強力なコアを搭載してくると思われるだけに、これなら互換性すっ飛ばして次世代機にすればいいのに…と思わなくもないが、あくまでも互換性重視でProject Scorpioは計画されているようである。
メモリは12GB
Xbox Oneの時は、DDR3メモリを使用する関係から、高速キャッシュを搭載して対応する等の方法でメモリアクセス速度を確保していたが、Project Scorpioでは搭載するメモリがGDDR5に変更となり、メモリ帯域はとんでもなく進化する事になった。
メモリバス帯域幅は最終的に326GB/sとなり、GDDR5メモリのデータレートは6.8Gbpsに到達する。これによってXbox Oneと比較して帯域幅で4.8倍というアクセス速度を手に入れ、容量も12GBと1.5倍に拡大した。
ライバルであるPS4 Proは容量8GBであり、メモリバス帯域幅も218GB/sなので、Project Scorpioのスペックは相当に高いと言える。
結果としてこのようになったのは、もちろんProject Scorpioが後出しハードだからと言ってしまえばそれまでの話なのだが、そもそものコンセプトの違いという面も考えねばならない。
PS4 Proはあくまでも基準がPS4にあり、3Dモデルやテクスチャといったアセットも標準PS4と共通仕様のまま、4K体験を体現するものになっている。だからレンダリングのターゲット解像度もフルHDの2倍の画素数を使って4K表現を行うという、擬似的4Kに留まる。
しかし、Project Scorpioはネイティブで4Kに対応するため、全てのデータが大型化する。
つまり、最低でもフルHDの4倍の精度をデータで持っていないとネイティブでの4K体験はできない。となれば、当然搭載すべきメモリ量は増える事になる。Project Scorpioが大量のメモリを搭載する事になった背景には、このような理由があるのである。
目指すはWindowsコンソール?
前々から思っていたのだが、そもそもMicrosoftはPlayStationのようなプラットフォームを必要としているのだろうか?
Windows Storeというものがあり、そもそもPCというハードウェアの上でWindowsというプラットフォームを持つMicrosoftは、その上でゲームコンソールを持てばPlayStationと同じことができたハズである。
それが何故かXboxというコンソールを作り、内部ではDirectXで繋がっているという不思議な構成で今まで続けてきていた。
私にはこの構成が不思議でならず、素直にWindowsのゲームコンソールとしてXboxを持ってくるだけで良かったのではないか? と常々思っていた。
そうなると、共通ハードウェアで動作するゲームプラットフォームという姿とは異なる事にはなるが、サービスとしては同一のものになる。よりわかりやすい形だと思うが、ここにきて、Project Scorpioの姿を見ていると、ようやくその形に進んできたのかな、という感じがしてきた。
というのは、Windows10のAnniversary Updateで、Xbox StoreとWindows Storeが統合したからである。これによって、どちらかのStoreで購入したコンテンツを双方で利用可能になり、いわゆる垣根がなくなった。
となると、まさにXboxはWindowsコンソールの側面を持つハードウェアになったと言える。
Project Scorpioのハードウェアスペックを見ると、最小構成のWindows10 PCよりはずっと高性能なPCに見えるし、これをそのままWindowsコンソールという位置付けにしても、何ら不都合はないわけで、ひょっとしたら今後Xboxの立ち位置は変わってくるかも知れない。
時々思うのだが、最近のゲームハードウェアは性能が向上した事によって、PCと変わらないスペックを持ち、違うのは搭載しているOSやファイルフォーマットだけ、という感じになり、あえて区別する必要がなくなりつつあるのではないかという事である。
事実、PlayStationフォーマットのデータは、Windows上でバイナリの確認はできるワケで、それができるという事はフォーマットそのものに大きな違いがないという事を意味している。
Project Scorpioが、Windows機の標準コンソールになる日も実はそう遠くないのかも知れない。