一時期期待した事もあった。
無線LANが飛ばない時の一手
通常、PLCというと「プログラマブルロジックコントローラ」という、リレー回線の代替装置として開発された制御装置の事を言うのが一般的なのだが、実はもう一つ「パワーラインコミュニケーション」という呼び方ができる、通称“電力線搬送通信”を意味する言葉でもあったりする。
電力線搬送通信とは、言葉の通り、電力線、つまり電気を送電している配線に通信信号を乗せ、LANのように通信ネットワークを構成する技術の事で、日本では2001年に最初の研究会を総務省が開催し、電柱から建物への屋外PLCを検討していた。
ところが、既存の無線通信、特に短波帯の通信に与える悪影響から、一度この技術に関してはトーンダウンしてしまい、実用化されるまでにその後約5年もかかった。
2006年12月に、屋内に限って2MHzから30MHzの周波数使用を認める項目を追加する省令改正をしたのを受けて、2006年12月製品が流通したワケだが、登場した直後には、コンセントでLANが組めるのか、と個人的には結構期待した技術でもあった。
だが、結局無線LANの方が実用度が高く、その後無線LANの技術向上もあり、その後PLCアダプタを見る事はあまりなくなり、私自身、この製品の存在をすっかり忘れていたのだが、ここに来て、第3世代のHD-PLCアダプタ製品がI-O DATAから発売されたという情報を聞き、非常に懐かしく感じた。
規格値240Mbps
今回I-O DATAから発売された「PLC-HD240E」という製品は、親機と子機の2台セットで価格は14,000円という製品である。アダプタは単品でも販売され、その価格は7,550円になる。通信速度は規格値240Mbpsで、無線LANが届きにくい場所でもネットワークが組めるというのがウリになる。
速度240Mbpsという速度がどれくらいの速度かというと、現在無線LANではGbitを達成している事を考えれば、決して早い速度とは言えない。しかし、無線通信が混線している中でも確実に200Mbps程度の通信ができるという事を考えれば、使い道も見えてくる。
ただ…恐らくその時は普通は有線LANを引いてしまうのが一番の解決策なわけだが、どうしても有線LANが引けず、無線LANも電波が届かないという時には、こうしたPLCが役に立つ、というレベルの製品である。
設定も簡単で、親機と子機をそれぞれコンセントに繋いで、セットアップボタンを押すだけで通信ができ、また子機の増設もできる。
セキュリティに関しても、セットアップした機器間意外では通信ができないAES128bitの暗号化機能も持っているが、そもそもPLCは配電盤で大幅に信号が減衰するため、隣の家などへはほとんど伝送される事はない。
流石に第3世代ともなると、そういったセキュリティ関係もちゃんとした製品が登場してきたワケだが、問題はどれぐらいの需要があるのかが全く分らないという事である。
できれば、こうした技術は消えないで残って欲しいと思うのだが、需要がなくなれば製品も発売されなくなるわけで、結構深刻な問題なのではないかと思う。
I-O DATA PLC-HD240E 製品情報
http://www.iodata.jp/product/lan/plcadapter/plc-hd240e/
せめて1000Base-Tくらいの速度が出ると…もっと利用価値が出てくるんじゃないかと思うが…難しいのかな。