日本ほどAppleの動向が目立つのも珍しいような。
新型MacBookなど
Appleが新型MacBookを発売した。MacBookはモバイルノートという区分けの製品で、MacBook Proとは立ち位置が異なる製品である。
新型MacBookは、CPUをSkyLakeからKaby Lakeへと刷新し、SSDを50%高速化、メモリ容量は最大で16GBという構成を取れるようになった。
下位モデルはCPUにCore m3を搭載し、メモリ8GB、256GBのPCI Express SSD、2,304×1,440ドット12型液晶ディスプレイを搭載したものになる。
対して、上位モデルはCPUをCore i5、ストレージを512GBのPCI Express SSDに変更したもので、その他は共通である。
どちらもBTO対応で部分的に強化したりダウングレードしたりできる。
あくまでもモバイルノートという立ち位置なので、駆動時間を10~12時間確保し、重量も920gにまで落としている。Macとしては軽い方かも知れない。
軽いと言えば、MacBook Airがあるが、こちらも新型が発売された。
重量的には実はもうAirの方が重くて、1.35kgある。
搭載するCPUは世代交代がなく、Broadwell世代のクロック向上版を搭載している。但し、BTOで選択できるCore i7は従来と変更がないものになる。
上位機種と下位機種ではSSDの容量のみが異なり、下位は128GB、上位が256GBというカタチ。真新しさではMacBookの方に軍配が上がるといえるだろう。
他にも、MacBook Proの新型が発売され、こちらもMacBook同様、CPUはSkyLakeからKaby Lakeに刷新され、13インチモデルはSSDの容量やタッチバーの搭載/非搭載でグレードが4つに分かれる。
上位機種の15インチモデル搭載型は2機種存在し、どちらもタッチバーは搭載しているが、搭載するCPUやSSDの容量等で分けられている。15インチモデルの最大の特徴は搭載しているGPUがディスクリートGPUで、Radeon Proが搭載される。
据置き型でいくと、iMacも今回新型が発売され、大きく分けて21.5インチモデルと27インチモデルが存在する。
どちらも下位機種、中位機種、上位機種が存在し、搭載するCPUやストレージ容量、搭載するGPUのグレードが異なる。現時点では6グレードが設定されている。
新製品にざわつく
Macの新製品情報はこれだけに留まらず、他にさらなる上位製品としてiMac Proなる製品が発売される。予定は12月だという。
このiMac Proは今回「チラ見せ」として紹介されただけのもので、具体的な仕様は公開されたものの、まだ発売は先になる。
筐体は27インチiMacと同じだが、筐体色はブラック系で、CPUにはXeonが採用され、8コア、10コア、さらには18コアが選択できるという。ECCメモリを最大128GB搭載可能で、ストレージは3GB/sの4TB SSDが搭載可能で、GPUとしてはRadeon Vegaを採用し、ディスプレイは5Kモニターになるという。
他インターフェースは余り変わり映えはしないが、Macとしては初の10Gbit Ethernetが採用されているという。
最小構成で4,999ドルというから、標準的な構成にしても6,000ドル近い内容になるのではないかと予想するが、今までのiMacと全く異なる製品になる事は間違いない。
この他にもiPad Proの新製品が発表され、12.9インチモデルと9.7インチモデルだった製品ラインナップが、12.9インチと10.5インチという内容に変更された。
最大の変更点はディスプレイがHDR対応となり、120Hz表示に対応した事で、この120Hz表示は消費電力が増す事になるが、表示している内容に合わせてフレームレートを変化させる事で、バッテリーの消費を抑えるという仕組みになっている。
面白いのは、映像作品で24Hz表示だと、リフレッシュレートも24Hz表示されるというところで、動体に合わせた内容でフレームレートが変化するという。
搭載するコアはA10X Fusionで、高性能コア3個と高効率コア3個のヘテロジニアスコア構成を取る。またGPUも12コア搭載し、以前のA9Xと比較してCPU能力で約3割、GPU能力で約4割向上しているという。
iPad Proは格安となったiPadとは真逆の進化を遂げ、より高性能化を目指したシリーズとなっているようである。
本命はHomePod
だが、こうしたMacやiPadの新型よりも、今回のAppleの新製品発表の大本命といえるのは、HomePodと呼ばれるものではないかと思う。
巷ではiPad Proの10.5インチが大本命という人もいるようだが、デバイスとして新しい事を提案してきているのは、HomePodだと思う。
HomePodは、簡単に言えばワイヤレス接続のシンプルなアクティブスピーカーではあるが、ノイズキャンセリング機能のついたマイクを6つ内蔵し、音楽を鳴らしている時でも声を確実に聞き取り、電子アシスタントのSiriを通じたさまざまなサービスを利用可能とするデバイスである。
近い製品として、AmazonのEcho DotやGoogleのGoogle Homeがあるが、HomePodにはA8というiPhone6シリーズに搭載されたARMカスタムコアが搭載され、コストとしては確かに高い製品ではあるものの、そのインテリジェンスな働きは他にはないものがある。
本当の実力が発揮されるのは12月ごろになると言われている(12月に発売されるため)がこの本体の処理能力を活かした、既存アプリと同じように動作するアプリケーションによって、スピーカーの枠を超えた体験をリビングにもたらすと考えられる。
また本体内にはビーム型ドライバユニットが搭載されていて、強い指向性が与えられていると考えられる。アップル上席副社長のフィル・シラー氏が「ホームオーディオのシステムを再発明した」というぐらいの自信作という所を見ても、Appleとしての大本命はHomePodと言えるだろう。
但し、これが日本でも大本命になるかはわからない。
残念ながら、日本でのリビングにおけるスピーカーの存在と、米国でのリビングにおけるスピーカーの存在では、その価値が全く異なる。
日本では、その住環境からスピーカーが好まれない可能性もあり、結果として10.5インチのiPad Proの方が好まれる可能性もある。
なので、今の所Appleとしての大本命はHomePodではあるものの、国内需要は分からないというのが実情である。
タブレットの本領発揮
と言うわけで、私としてはHomePodがAppleのおける大本命だろうと思いながらも、個人的にはiPad Proの方が気になる存在である。
従来のiOSは、どちらかというとiPhone主体に作られていたが、この冬に公開されるというiOS 11は、iPadの為にチューニングされていると言っても過言ではない機能が目白押しである。
マルチタスク処理を前提に、各所に高速化のチューンが施され、さらにApple Pencilを使用した書き味は、遅延が20msという高速応答によって今回のiPad Proの120Hz表示と合わせて実に滑らかに表示される。
また、両手での操作に対応するため、複数のファイルでのdrag-and-dropが可能になっていたりと、従来の使い勝手とは大きく異なる進化を遂げている。
タブレットの使い方や使われ方さえ変わる可能性を秘めた大きなステップアップが用意されているのがiOS 11である。
こうなると、期待するなという方が無理だと思うし、タブレットの用法革命が起きても無理のない話ではないかと思う。
というわけで、今回のAppleの新製品発表は、挑戦的な製品の投入ありで、今後が楽しみなものが多い。
どういった市場変化が起きるのか、私自身も楽しみなものがあり、今後の動きには注視していきたいと思う。