最近、いろんな所で目にする。
イマドキのマイニング
先日、impressのAKIBA PC Hotlineで「ビットコインって怪しいの?仮想通貨をマイニングしているユーザーに最近の事情を聞いてみた」という記事を見た。
その前あたりから、Radeon系のビデオカードがやたらと品不足になり、にわかに仮想通貨のマイニングが流行っている事を知ったワケだが、この記事を読むと一昔前から比べて随分と手軽にマイニングが出来る時代になっている事を知った。
仮想通貨にもいろんな種類があるが、ひときわ有名になったのは「ビットコイン」で、これは社会現象にもなった仮想通貨。ただ、どの仮想通貨にも言える事だが、そもそも金融という目で見たとき、どこまで信用してよいのかが判断できない面もあり、昔はなかなか手が出にくかったワケだが、最近ではビットコインでの支払いが可能なAKIBA系の店舗も現れ、随分と使いやすい環境が整ってきた。
おそらく、今のこの流行りはそうした安心感が生み出したものだろうとは思うが、それに合わせ、随分と簡単なパーツ群でマイニングが可能になるという記事が、同じAKIBA Hotlineで紹介された。
マイニングをはじめてみたい人向けのPCを組む、仮想通貨に向いたPCパーツの選び方
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/column/pcmining/1074798.html
この記事を見ると、重要なのは長時間運用を行えるPCを組む事であり、電力効率の高い電源と常時運用可能なビデオカード、高耐久なマザーボードが揃っていれば、あとは安めのパーツでも問題がない、という。
また、インストールするソフトウェアも、自動でPCに最適な仮想通貨をセレクトし、その支払いをビットコイン化してくれるものがある事がわかる。
これなら、予備知識が少ない人でも確かに入り込みやすいと言える。
常時稼働
だが、個人的には手軽に始められる環境が目の前にあったとしても、にわかにそれに手を出すのも問題かな、とも思う。
というのは、いくら高耐久なパーツで肝心なパーツを固めたとしても、常に電気を消費し、PCを稼働させ続けるワケだから、実生活においていろいろ弊害も出る。
まず一番気にしなければならないのは、火災である。
電気製品を常に使い続ける事でコンセントから出火なんて事は、火事における原因の中でも上位にくる問題である。
また、搭載したビデオカードなどを常に稼働させつづけるワケだから、その劣化も通常要理はずっと早いと言える。
また、ちょっと本腰を入れようと考えるなら、専用PC化してしまう必要があると私は考える。
仮に専用PCとした場合、果たしてその専用PCの元を取るためにどれだけの稼働をしなければならないか?
前述の記事中で組み上げたPCの総額は約12万円だが、それを24時間稼働させてその時の得た利益(電気代を差し引いた後の金額)は、1日あたり103~176円である。
これで12万円を回収しようとしたら、最長1,166日係る事になる。最短であっても、682日かかるわけで、常時稼働で年単位でマイニングしてようやく元を取る事ができるレベルである。
これは稼げると明確に言える話ではないと言える。
専用機ではない使い方
ではもっとも稼げるスタイルはどういうものかというと、例えば日中仕事をしている時に、自宅のPCは使わないといった人が、日中マイニングをする、というケースである。
自宅に戻ってきてからはマイニングは中止し、それ以外の時間でマイニングする、というやり方である。
これなら、副業という感覚で稼ぐ事ができる。
但し、前述したように常時稼働のような状態になるので、部品の劣化は結構早いものと考える必要はある。
私のようにメインPCを長期に渡って使用する事を想定している場合は、この運用方法は部品耐久性の観点から不向きかもしれない。
となると…私は自ずとマイニングは不向きという事になるのかもしれない。
もっと気軽に…と考える向きなら、兼用PCでマイニングというのもアリなのかもしれない。
日本はそもそも不向き
このマイニングだが、そもそも日本国内で行うのは不向きと言われている。
というのは、電気料金が高い為である。
中国などは電気料金は日本よりずっと安いと言われていて、マイニングはやりやすいと言われている。
しかも中国マネーでビル1棟をまるまるマイニング工場化して、多数のビデオカードを運用し、もっと大きな額でマイニングしている、という企業も既に存在している。
そもそも日本国内の流れとは全く異なる風潮である。
こうなると日本という土地柄で言えばマイニングは無理…と思うかも知れないが、考え方次第ではマイニングをもっとやりやすく出来る道もある。
それが電力供給を自前でやってしまうというヤツである。
例えば、最近は売電という行為は儲からない方向に向かっている。
電気の買い取り価格が下がってきたため、太陽光パネルの元が取りにくいという状況が出てきたワケだが、この太陽光発電で得た電気をマイニングに使うという方向に持っていくと、場合によっては売電よりはずっと稼ぎが出る可能性がある。
発電した電気を売るのではなく、自分で使う電気として発電し、電気量ゼロ(もしくは格安な電気量)でマイニングというワケである。
具体的にはどれぐらいの効率になるのかなどは未知数だが、儲けが出ない売電だけのセレクトから比べれば道は開けそうな気がする。
仮想通貨の危うさ
ただ、もっと根幹にある問題として考えると、そもそも仮想通貨に安心を求められるのか? という問題もある。
先日、ビットコインが分裂騒ぎとなった。あまり大きな影響がでない程度の話に落ち着いたようだが、こういった話が今後他でも出てこないとも言い切れない。
そもそも、安全性を担保する為にいろんなシステムが動いているが、何もないところから生み出される通貨なだけに、何をもって信用するのか? というのが非常に曖昧である。
通貨を保証するのが国家だから安心安全とも言えないが、無から生み出されるものに対しての信用をどこまで信じていいのか?
これを危ういと言わずして何と言おうか?
システムで担保できるから安心、と言い切ってしまえばソレまでではあるが、無制限に信じてしまう事のリスクに、私が耐えられるかどうか…。
そう思えば、マイニングは実に私に不向きな行為と言わざるを得ない。
何か…時代に乗り遅れてるなぁ。