Radeon RX Vega64のベンチマーク。
しばらくは入手難と予測
AMDのRadeon RX Vega64が国内でも8月21日から発売になる。
やはり数が相当少ないようで、扱う店舗が限られているという情報が出回っている。
中国がマイニング目的で大量に確保したが故に数が少ないのかは分からないが、入手が簡単ではない事は言う迄も無い。
少なくともメーカーリファレンスのカードが中核となる今の時期は、世界的に数が少ない時期でもあると考えるべきである。
そんな期待大きなRadeon RX Vega64のベンチマーク情報が各所で出回り始めた。
impress PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/review/1075646.html
4gamer
http://www.4gamer.net/games/337/G033714/20170814053/
具体的な性能評価は上記記事に任せるとして、私なりに感じた性能を書き留めてみたい。
性能は未知数
前述サイトのレビューを見て思えるのは、性能的にはGeForce GTX 1080並ではあるものの、全体的にはそれを超える事はなく、消費電力では圧倒的に負けている、という感じである。ただ、DirectX12での動作で言えば全体的にパフォーマンスが向上するのも見えていて、このあたりがDirectX12がAMDのMantleの流れを組んでいるという事がありありと見えてくる。
つまり、PCゲームもDirectX12へと移行していくと自ずとVegaでは性能が上がっていくと考えられる。
ただ、DirectX11以前のタイトルは今後のAMDのドライバ次第で性能が左右される。現時点ではNVIDIA系に大きく負けている事になるが、改良が進めばまだまだ伸びる可能性があるのがVegaと言えるかもしれない。
もっとも、AMDがそのドライバの最適化をどこまでやるかにもよるし、各メーカーもVegaに最適化させてくるかどうかでも変わる話だが、少なくとも最適化される前の段階で今のベンチマーク結果を見ると、Vegaの性能は決して悪いものではない事がわかる。
依然高い消費電力
Vegaの最大の問題は、以前より予測されていた消費電力である。
前述サイトのレビューにもあるとおり、GeForce GTX 1080と比較して飛び抜けて消費電力が高いことが分かる。
しかも動作クロックを上げれば上げるほど電力を消費する事になる為、空冷での運用であれば電力プロファイルをバランスモードもしくはパワーセーブモードでしか運用したくなくなるレベルである。
ここで考えたいのは、現時点でのベンチマーク結果は、この消費電力の高さの中での結果だという事である。
つまり、ワットパフォーマンスは依然としてGeForce GTX 1080と比較にならないぐらい悪いという事である。
実際にワットチェッカーを使っての結果であるため、TDPの考え方がNVIDIAとAMDで違うといっても現実の結果がVegaの消費電力の大きさを実証している。
ゲーム関係で省電力かつ高パフォーマンスを追い求める人なら、迷う事なくGeForce GTX 1080系を導入した方が無難である。
厄介なのは、GPGPUとして使用する時である。
おそらく、この使い方だとワットパフォーマンスとしてVegaが活きてくる可能性がある。これこそが、中国でAMD系GPUが求められる原因でもある。
ベンダー製Vega
8月21日より発売されるのはメーカーリファレンスのカードであり、各ベンダーオリジナルのカードは9月末頃から登場するだろうと言われている。
オリジナルクーラー搭載や、より高クロックな選別品など、各メーカー独自仕様のカードが登場するのはそのタイミングであり、今慌ててVegaを導入しなければならない、という人出ない限りは、来月末まで待ってみるのも手である。
ただ、その状況になっても全体的な性能の向上の為には、ソフトウェア側の対応が不可欠で、メーカー独自のハードウェア的な対応だけでは、今の状況がひっくり返る事はないだろう。
そういう意味では、AMDはもっと開発側にVegaをアプローチしていく必要はあるだろうし、その為にドライバの改良を続けていく必要はある。
今はそれを期待して、来月末のベンダー製Vegaの登場を待つのが吉ではないかと私は思う。