これに慣れると戻れない。
16年ぶりに刷新
東プレ株式会社が、静電容量式キーボード“Realforce”ブランドの第2世代製品「R2」シリーズを、4モデル合計8種類発表した。発売は10月6日からで順次発売するとしている。
Realforceは初代登場から今まで16年間、刷新される事なく販売が続けられていたが、ようやく新モデルが登場した形になる。そもそも、静電容量式のキーボードとは何なのか? という事がわからない人もいるかもしれない。
キーボードは、基本的にはキーを押し込んだ時にどこかのポイントでスイッチに信号が入力されて、PC等にその情報を入力データとして送信するのだが、このスイッチに信号を入力する仕組みとして、機械式スイッチだとメカニカルスイッチだったり、メンブレン方式だったりするのだが、これらは物理的にスイッチを押し込んだりする事で反応する。
静電容量式は、このスイッチに信号を入力する仕組みがキー内部のスプリングが変形することで変化する静電容量を、非接触で感知して押下を認識する方式で、別名「静電容量無接点方式」という。
無接点なので、軽いタッチで入力できるところがポイントで、非常に疲れにくいという特徴がある。
よく使われているのは、コンビニなどにあるATMのテンキーに使われているキーで、あの押し心地のキーボードと思えばわかりやすい。ちなみにセブンイレブンに置かれているATMは全店舗で東プレ製のキーを採用しているそうなので、手軽に感触を知りたい人は試してみるといい。
私は、この東プレ製のキーボード“Realforce”を愛用していて、自宅でも会社でも使っている。
価格は約2万円程度するが、それに見合う使い心地が得られるキーボードである。
4モデル8製品
今回発表された新型Realforceは、基本的に「標準モデル」と「静音モデル」、「APCモデル」、「APC静音モデル」の4種に分けられ、それぞれアイボリーとブラックの2色が存在する。
カラーリングの違いでは、キーに刻印されている文字としてアイボリーは「かなあり」となっていて、ブラックは「かななし」とされている。キー刻印の印刷方式も「標準モデル」と「静音モデル」のブラックはレーザー印刷となっているが、その他はすべて昇華印刷という設定。
静音モデル(APC静音モデル含む)は標準モデルに対して約30%の静音化が見込めるとしている。
目玉なのはAPCモデルで、これらはキースイッチの反応位置をキーを押し込んだポイントで1.5mm、2.2mm、3mmの3段階で切り替えられる仕組みを持っている。反応位置を短くする事で最大25%高速入力する事ができるとしているが、そうすると当然タイプミスも出てくる為、入力ミスが起きやすいキーだけを個別に反応位置を変更するといった事も可能になっている。物理的な設定では全キーの設定しかできないが、独自ユーティリティの使用で個別設定が可能なので、キーのカスタマイズをしたい人はユーティリティは必須になる。
第2世代となった事で、こうした付加価値がついたモデルが追加されたワケだが、静電容量式キーボードとしての基本は変わらず、堅牢なキーボードである事に違いは無い。
その他変更点
その他は微妙なデザインの変更がある。
第1世代型は角に丸みのあるデザインだが、第2世代型はソリッドなイメージになった。
また、キーピッチは19mmと同じだが、新型は奥行きが短くなり、16%小型化した。
他にも各キーの大きさを見直していて、スペースキーは47mmから80mmへと拡大し、より打ちやすく変更されている(その分他キーが微妙に小さくなっているようだ)。
また、これが地味に良い変更点なのだが、キーボードのUSBケーブルを取り回す際、従来は左右からしかケーブルを出せなかったのが、新型は中央上からも出せるようになった。細かい変更だがこれは便利である。
また、これは基本機能とも言えるのだが、キーの入力耐久性が3,000万回から5,000万回に向上している。これは何かを変えた為とかではなく、従来品と同じものを使用しているのだが、動作試験を継続した結果、従来の耐久性の上限を超えた事が確認出来た為、入力耐久性の向上を公式設定としたという事のようである。
また、キーはすべてNキーロールオーバーをサポートしており、すべてのキーの同時入力が可能になっている。
基本という基本を確実に押さえ、かつ耐久力により大きな信頼が得られたRealforceは、入力を生業としている人からすると、絶対神話のようなデバイスではないかと思う。
今後はバリエーションが増える?
Realforceと言えばフルキーボードというくらい、テンキー付の108キーキーボードという印象があるが、たまにテンキーレスモデルが出たりはしていた。
今後は、この新型モデルでもテンキーレス、英語配列、Macレイアウトモデル、無線キーボードも展開予定があるらしく、よりキーボードメーカーとしてバリエーションを増やしていくようである。
個人的にはBluetoothモデルを出して欲しいと思っているのだが、期待してよいのだろうか。
たかがキーボード…と思っている人が多数いる事はわかっている。
最近ではキー入力そのものをあまりしないという世代も多いので、そういう思われ方をする人が増えている事もわかっているが、私はPC含めたデジタルガジェットで文字入力するデバイスとして、キーボードを上回るデバイスを知らない。
文字入力=キーボードと言っても過言ではないと思っているので、この文字入力を頻繁に行う人にとってのキーボードは、よりよい環境を成立させる為の絶対的アイテムだと思っている。
ペン入力が当たり前になったとしても、おそらくペン入力よりもキーボード入力の方が文字入力速度は速いだろうし、適確だと思う。
PCがスマホにとって変わってきているという話も聞くが、業務運用で考えればPCは未だ健在で、スマホに取って代わる事はないだろう。タブレットに移行できるという人もいるだろうが、そういう人であっても外付けのキーボードを使用しているケースがほとんどだし、結局利用する見た目のスタイルは、キーボードありきのものが多い。
結局、キーボードというデバイスから脱却できないのが現状であり、その脱却できない中での快適性を求めた頂点に、このRealforceがある、と私は思っている。
今は、従来型のRealforceを私は使用しているが、それが故障した、なんて事になれば、やはり私は今回発表された第2世代型Realforceを使う事になるだろう。
大げさな…と思っている人は、ぜひセブンイレブンのATMでその感触を改めて知ってもらいたい。それこそがプロ品質である。