もう人間より強いんじゃないのか?
20年の歴史
シルバースタージャパンが開発する囲碁ソフト「銀星囲碁」が日本棋院の八段免状取得試験に挑戦すると発表された。
市販のPCや囲碁ソフトが八段免状の取得に挑戦するのは世界で初めての事で、試験は本日午前10時より、日本棋院が運営するオンライン対局サービス“幽玄の間”で実施された。試験は幽玄の間会員(同棋力または一段差)とのレーティング対局50局以上を行ない、レーティングポイントが33000点を超えた時点で、八段免状取得となる。それぞれの対局は持ち時間20分で行われ、持ち時間を使い切るとその対局は負けだが、追加で1手30秒の秒読みが3回だけ認められるというルールになっている。
「銀星囲碁」は、開発から20年が経過する老舗の囲碁思考エンジンを搭載したソフトで、最新版の「銀星囲碁17」は、囲碁のトッププロを連破したGoogleの「AlphaGo」でも採用され話題になった“ディープラーニング(深層学習)”技術を取り入れおり、アマチュア七段相当の前バージョン「銀星囲碁16」との対局では勝率90%以上を叩き出すというソフトに仕上がっている。
果たして八段取得となるのか、気になる所である。
深層学習
もはや人間の思考よりも遙かに優れた所まで昇華していると考えられるAI技術だが、これはもうGPUの力によるところと言わざるを得ない。
人間の思考と決定的に違うのは、こうしたAIの思考は過去の記録や状況の組合せを判断して最終的な答えを導き出しているという所。なので記録を読み出す力に優れたコンピュータが人間の思考を超えてくるのは、もはや時間の問題だと言われてきた。
それでも人間の思考が長らくコンピュータに破れる事がなかったのは、その“ひらめき”と呼ばれる部分にあり、それ故にAIは人間を超えられずにいたのだが、深層学習という4層以上の訓練データの蓄積からなる超高速でのパターン解析等で、いつしか人間の思考を超え始めてきた。
まぁ…私も深層学習の事に詳しいワケではないので、正確に説明するにはもっと専門的な知識によらなければならないのだが、こうした深層学習を可能にしたのが、RISC型処理を高速に行うGPUを活用するようになったからであり、まさに並列処理がこうした技術を可能にしたと言える。
ここから先、さらにGPUの並列化が進むと、人間ではもう完全に立ち向かう事が出来なくなるのではないかと思われるが…まずはその一歩として「銀星囲碁」が八段の領域に挑戦する。
…こういう事を考えていると、あと10年もしたら、MATRIXが生まれるんじゃないかとか真剣に思ってしまう。一体どこまで進化していくんだろうか?