防水仕様といっても水没はある程度まで。
IPX8対応のKindle
電子書籍に対しての興味が薄れて1年近く経過したが、別段欲しくないというワケではなく、本当はあれば便利だな、とは思っている。
というのも、自分の中で本を読むという行為が最近はほとんど無くなってしまっている事実があり、せめて話題に上がる本くらいは目を通しておいた方がいいだろうな、と気持ち的に感じているのである。
なので、本当は書店に行って本を買って読む…という行為をすればいいのだが、最近はなかなか良い書店が近隣になく、そうなると結果としてネット通販に頼ったりする事になるわけだが、本というものは物理的にもなかなかにしてかさばったりもするので、結果、電子書籍が良いな、と考えていて、あれば便利と思っているわけである。
なので、一時期はKindle VOYAGEの導入を真剣に考えた事もあるのだが、どうも価格的に乗り気になれなかったりして、いつしか興味が薄れていった、という状況である。
もし、Kindle VOYAGEにもっと有効な性能が付加されていたならば、気持ちも変わったかも知れないが、ストレージメモリ8GBというだけでは、運用上も使い勝手がよくないわけで、それでは食指も動かない。
ところが、Amazon.co.jpが新たにKindle Oasisの新型を投入してきた。今度は防水としてIPX8に対応し、ある程度の水没に耐える仕様になった。しかもストレージメモリも8GBだけでなく、32GBのモデルも存在する。
さらにスペックとしてCarta電子ペーパー技術採用の7型ディスプレイを搭載し、バックライトLEDも12個に増えている為、より均一な明るさを実現しているというからさらに良い。
問題はページ切替の速度次第だが、もともと電子ペーパーは切替が液晶パネルよりずっと遅いので、そこを覚悟して使う事を前提にすれば、十分納得のスペックになったのではないかと思う。
一体となったバッテリ
以前、Kindle Oasisが発表された時は、専用カバーにもバッテリーが内蔵されていて、そのカバーと一緒の運用で数週間の稼働を実現していた。本体だけでは、バッテリ容量は半減以下になっていたところがあり、カバーもKindle Oasisの一部のような扱いだったが、今度の新型は本体のみで数週間の稼働が可能なように改良された。
この部分は私としても歓迎に尽きる改良である。折角身軽に使える電子書籍なのに、バッテリー内蔵の重いカバーが常に必要というのは、いかがなものかと思っていた。今回の新型のように本体のみにバッテリーが集約されると、重量バランスも取りやすいわけで、素直に今回の仕様の方が一般的に受け入れられやすいと言える。
また、今度の新型はディスプレイが7型に拡大した事もあって、本体が159×141×3.4~8.3mmと一回り大きくなった。依然として筐体には薄い部分と厚い部分が存在する為、下位機種のようなフラットな感じはないのだが、重量が194gなので、見た目より軽く感じるかもしれない。
問題は価格で、流石は上位機種という事もあり、一番ロープライスのメモリ8GB Wi-Fi版(キャンペーン情報付き)で33,980円、最上位のメモリ32GB 3G+Wi-Fi版(キャンペーン情報なし)で44,980円とかなりなコスト設定になっている。
これを受け入れる事ができるなら、品質的には中々の電子書籍リーダーになると言える。
これを買うなら…
新型Kindle Oasisの性能と価格を考えると、私的にはあえてこの端末を購入する意味があるのか? と思う。
iPadの普及版は同程度の価格で提供されている(実際はもっと安い)し、Android搭載のタブレットにしても、もっとリーズナブルな機種がある。ただ、バッテリーの保ちに決定的な違いがあるというのと、本体重量がKindleの方が軽いという違いはあるが、使い勝手やできる事とコストを天秤に掛けたとき、あえてKindleを選択する意味があるのか? と考えてしまう。
たしかに200gもないKindle端末は軽いが、電子書籍リーダーはあくまでも基本は単機能なので、用途的にできる事に幅がない。
単機能ゆえの使いやすさはあるものの、コストとして見た時物足りなさを感じるのは言うまでもない。
私なら、この価格だったらKindle Oasisは買わないだろうし、私と同じ考えの人も多いのではないかと思う。
Amazonは何故このコストでこの機種をラインナップに加えたのだろうか?
ある意味、謎なラインナップである。
とりあえず、電子書籍リーダーで最高品質のものが欲しい、という人は新型Kindle Oasisは選択肢の一つとなるだろう。