ATIがAMDに吸収されてしまった以上、NVIDIAとしてはチップセットをAMD向けに出すよりはIntel向けに出した方が無難…。
そう考えたかどうかは分からないが、少なくとも旧ATI系のチップセットはAMDに特化してくる事は目に見えて明かであり、現実問題としてそういう流れが見えてきた。
だから…かもしれないが、非常に強力なIntel向けグラフィック統合型チップセットがNVIDIAから発表された。
ハイスペック…というのとは違うが、低価格でありながらかなりの性能を持った統合型チップセット。
それが“GeForce 7 Series mGPUs for Intel”である。
“GeForce 7 Series mGPUs for Intel”は、GeForce7000系のグラフィック性能を持ったチップセット。
サウスブリッジとメモリコントローラーをも統合しているため、基本的に1チップで構成されている。
メモリはDDR2-800をサポートし、FSB1,333MHzに対応。さらにRAID機能も実装していたりするため、かなり汎用性の高いチップセットといえる。
ランクが3種あるため、すべてが同一の性能というワケではないが、3種ともIntel製のチップセットにはない“ある特殊な”性能を持っている。
その性能とは、デュアルチャネルメモリに非対応という事だ。
非対応なら性能よくないじゃんと思うかもしれないが、シングルチャネルでありながら、Windows VistaにおけるVista Premiumの要件を満たす性能を持っているのである。
ちなみにIntel製の統合型チップセットG33/35シリーズはシングルチャネルではVista Premiumの要件を満たせない。
“GeForce 7 Series mGPUs for Intel”はシングルチャネルであっても、メモリ帯域2GB/sec程度のアクセス速度を持っているという。
これなら、メモリを1枚単位で増やすこともできるわけで、低価格でありながら高性能という低価格PCを作る場合にはかなり便利といえる。
気になるビデオ性能だが、本格的なGeForce7000シリーズと同じ…というワケではない。
どちらかというと互換性などに特化しているらしく、性能は期待している程ではない。
とは言うものの、そこはGeForce7000シリーズである。Vistaを使用する上で問題が出るようなパフォーマンスではないのは間違いのない話である。
GeForce8000シリーズではないので独立型シェーダーユニットは持たないが、ピクセルシェーダ2基、バーテックスシェーダ1基を内蔵している。
AMD690系と似たようなパフォーマンスではないか…と思うが、動作クロックは最低でも500MHzなので、ひょっとしたらもっと性能は上を行くかもしれない。
そしてこのチップセットの発表と同時に、面白い機能が紹介された。
統合型チップセットと、そのマザーボードに追加搭載したビデオカードの組み合わせでSLIを構築するという“Hybrid SLI”という構想があるらしい。
パフォーマンスを必要としないときにはチップセットグラフィック機能を利用して消費電力を抑制、パフォーマンスが必要なときに追加搭載したビデオカードとチップセット両方のグラフィック機能を有効にし、ハイパフォーマンスを得るという機能のようだ。
たしかに2基のグラフィックコアを搭載できるのだから、そうした使い方もアリだとは思う。
問題はこのチップセットを搭載したマザーボードの価格だが…これは様子を見るしかないだろう。
おそらくターゲット層がハイパフォーマンスではないので高くても1万円半ばでの価格帯に落ち着くだろうとは思うが、狙って欲しいのは1万円以下のセグメントである。
AMD系の統合型チップセットは1万円を切るものがベースであるから、そのあたりをつついてくれる製品に期待したい。