日本の家庭にどれだけホームサーバが必要なのか?
と突然切り出したが、そもそもホームサーバって何?という話もある。
今、PC業界や家電業界は、ホームサーバと名の付くものを次々と発売している。表面にホームサーバと謳っていなくても、機能的にはホームサーバになる製品も多い。
そして8月30日、遂にWindows Home Server日本語版が発売される。
このホームサーバというものは一体何をするものなのかという事は多分説明もいらない話だと思うが、ちょっと触れてみたい。
ホームサーバといってもいろいろな解釈がある。
おそらく家電製品で言うところのホームサーバというのは、撮り貯めたビデオムービーをいろいろなテレビなどで閲覧するためのデータストレージを指す事が多い。
一台のストレージからネットワークを介して各所のテレビで観る。これが家電業界の指すところの意味だ。
その家電業界でもちょっと違った解釈をしているのがPS3になる。
同じSonyでもVAIOとPS3とスゴ録(Blu-ray対応版はBDZと別モノになった)はそもそも解釈が違う。
VAIOとPS3は似たような側面を持つが、VAIOはあくまでもWindowsベースであるため完全にPC業界と同一と考えていいだろう。
スゴ録(BDZ)は完全に家電業界と同じ感覚だが、それは社内対抗馬として当時はPSXがあったため、より家電的な解釈へと傾倒したのではないかと思う。
で、そのPSXの流れを汲むのがPS3で、PC業界に近いがもっと家電的という非常にマルチな立ち位置にある。
このホームサーバという考え方が、実は家電業界で今まで別だったものを統一化する方向を牽引した…と私は見ている。
一つが液晶(プラズマ等含む。以後液晶テレビに統一)テレビとレコーダの合体である。
最近のHDDレコーダは基本的に電子番組表(iEPGやEPG)を利用するため、ネット接続が普通になっている。それはまぁいいとして、問題はその機能を液晶テレビの中に入れてしまうケースが今や普通になってきているという事だ。
もちろん価格帯にもよるが、ちょっとした液晶テレビはほとんどが録画機能を内蔵するようになった。東芝のREGZAなどは市販の外付けHDDを接続する事すら可能になっている(もちろん内蔵HDDもある)。
要するに、液晶テレビをLAN接続すると電子番組表を利用してそのまま録画が出来るという仕組みである。
そしてその録画した映像をPCや他端末で利用するというのがサーバ的役割となる。
これが家電業界的なホームサーバである。
一方、PC業界的なホームサーバ解釈はもっと先を行く。
特に日本では、今日のPCは既にインターネットに接続する事を前提として考えられている。
そもそも最新OSであるWindows Vistaはネットワークにつながっている事を前提としている。
だからインターネットから各種コンテンツをダウンロードしたり、ストリーミングで動画を見たりすることは当たり前の話。
問題はそこにホームサーバという解釈が加わった時、何が変化するのかという事である。
Windowsをベースとしたホームサーバ、つまりWindows Home Serverは、ファイル共有、自動バックアップ、セキュリティ管理、簡単なHDD増設、リモートアクセス、アドインと6つの機能が主力になる。
ファイル共有は、言うまでもなくLAN接続された機器同士でデータを共有する、つまりサーバ的な使われ方で、ホームサーバとしての主力機能になる。ただ、このファイル共有も普通の共有ではなく、プライベートに配慮したアクセス権設定機能がサポートされている。要するに、見せて良いものとそうでないものを各機器毎、もしくはログイン毎に設定が可能なワケである。
また、ネットワークに接続している各PCのアンチウイルスソフトウェアの状態やファイアウォールの状態などを把握するセキュリティ管理機能も、家電とは大きく違うところだ。そもそも、簡単に書き換え可能なOSの上で動いているものであるため、そうしたセキュリティはかなり重要なポイントとなる。
それとHDD増設も最初から機能として組み込まれているが、ドライブエクステンダ機能というものもある。これは複数の異なる種類のディスクを一つのストレージに見せる機能で、余ったHDDなどを大量に接続し、それらを一つのドライブとして認識させる事が可能だ。
また、アドインによる機能拡張で外出先からもWindows Home Server内のビデオを閲覧できる機能や、外出先からのリモートアクセス行う機能なんてのもWindows Home Serverならではの機能と言える(もちろん家電でも携帯電話等でできなくはない機能とは思うが)。
これらの機能を専用のハードウェアを必要とせずに利用できるのがWindows Home Serverの特徴である。要するにWindowsが動作する環境でこれらの事が出来てしまうという事。
ソフトとハードが全く別という、PC業界ならではのホームサーバである。
ちなみにインターネットAQUOSの位置づけは多分このWindows Home Serverとかなり似ている。出来る機能は限定されてはいるが。
最後にPS3だが、これは発展途上と言わざるを得ない。
既に動画をダウンロードしてそれを閲覧できるサービスが発表され、オリジナルのコンテンツの展開も始まっている。
ゲームにしても同じだ。ネットワークプレイなど当たり前になっている。
すべてがネットワークに対応し、映像、音楽、ゲーム、Web閲覧、ネットショップ等々考え得る殆どの行為が一台で完結し、またそれらを別端末で利用可能になっている。
またPS3はファームウェア書き換えによって機能が追加される事もある。
これらの基本概念はすでにPSXの時に構築されたものだが、PS3はそれらをより高次元で達成する事が可能になった。
特にPSPとの連携は強力で、PS3のコンテンツをPSP上で再生し操作するという事も後々には可能になる(ゲームではまだできなかったと思う)。
唯一の問題は、PS3のHDD容量である。
確かにHDD交換がメーカーでも可能なように作ってあるが、本体価格を上げられない関係上、容量が小さい状態で発売されてしまっている。
イマドキ40GBの容量ではまともなホームサーバ運用など出来るわけがない。
しかしながら、出来る事そのものはPC業界の考えているホームサーバにかなり近い事は間違いない。
PC業界が解釈するホームサーバをより家電的にしたもの…それがPS3のポジションと言えると思う。
と、業界的な違いはあるにせよ、一つの機器を真ん中に据えてそれをサーバとして運用する…それがホームサーバという考え方と見て間違いない。
問題は、日本の家庭にどこまでそれが必要なのか?という事だ。
騒がれてはいるものの、本当に必要なのかという事については疑問も多いと思う。
実際、そんな使い方する家庭があるのかすら分からないが、とある声優さん(※)の自宅では録画した映像をリモートで別端末に送信、その場でチェックとかしてたりするらしい。
使われ方はいろいろあるとは思うが、使ってる人も実際にはいるわけで、そうした端末の使い方そのものを提示していく必要はあるだろう。
そういう流れからホームサーバというものを浸透させていく…しばらくはそんな感じではないだろうか。
ま、ウチは狭いからそもそも別端末で見る、なんて事すらない。
サーバ=再生環境という位置づけだ。
多分、そんな人も多いのではないかと思うが…。
※「ガンダム、いきまーす」の声優さん。
この人はかなりのヲタ…いやハイテクです(爆)