以前からずっと不思議に思っていた事がある。
別に大した事ではないのだが、何故今の音楽業界は未だにパッケージをCDとして売り出しているんだろう?
最近では音楽もネット配信が盛んになり、楽曲をダウンロード購入できるようになっているのはわかるが、それが物理的販売になると媒体はCDになってしまう。
たしかにCDプレーヤーの普及率は非常に高いが、未だにCD専用のプレーヤーでCDを聞いている人というのは、どれくらいの比率なんだろうか?
普及価格帯のコンポなどがCDプレーヤーを搭載しているという事実は知っているが、ここ最近、iPodの登場でその音楽を再生する利用形態が大きく変わってきているように思う。
もし普及的な問題を論点とするならば、たしかに今以てCDにする意味はあるかもしれないが、もし音楽を聴くという媒体そのものに変化が起きているのならば、私は音楽業界が率先してCDより上位の規格へと押し上げていく必要があるのではないかと思っている。
PS3の発売時に初めて聞いたことがある人がいるくらい、Super Audio CD(SACD)は存在感が薄い。
SACDはCDと勘違いされそうだが、その記録形態はほとんどDVDのソレに似ている。2層をサポートし、1層をSACDデータ、もう一層をCD-DA(通常のCD)に使ったりしている事もあるが、2層ともSACDデータにして長時間ディスクにする事も可能。
その音質の高さは高級オーディオが趣味という人なら誰でも知っているワケだが、その理由はダイレクトストリームデジタル(Direct Stream Digital、DSDと略される)という方式で収録されているからだ。詳しくはココを参照してほしい。
CD-DAは1980年にソニーとフィリップスによって規格化されたものだが、既に28年も経過した今、同じ規格で音楽が発売されているという現状が正しいとは思えない。
iPodの登場により、圧縮音楽を持ち歩くという生活形態が当たり前になったが、オリジナルの音というものをもっと大切にすべきだと思うし、技術的には高音質化できる時代になっているにも関わらず、未だ28年前の仕様で音楽が発売されている。
最近の収録スタジオは、DVDの映像と音楽を収録したりする関係上、もっと高音質での収録が可能になっている。であれば、発売される音楽ももっと高音質な媒体で提供されても不思議はない。
高音質媒体で発売されない最大の理由は、その普及に問題がある。
高音質で再生できるプレーヤーが普及していなければ、媒体の発売はできないからだ。
だが、少なくともDVDという媒体は今の段階でかなり普及しているハズ。
であれば、なぜDVD-AUDIOという規格が普及しなかったのだろう?
SACDが一般化しないのであれば、DVD-AUDIOが普及しても良かったはずなのに、それが普及しなかった最大の理由は、そこにDVD-Videoとは違う技術が盛り込まれてしまい、専用プレーヤーが必要になったからに他ならない。
DVD-Videoが圧倒的シェアを勝ち取ったなら、音楽用フォーマットもDVD-Videoの規格に準じたものに変更し、高音質な音楽媒体を作ってしまえばよかったのではないかと思う。
つまり、普通のDVDプレーヤーで再生できる高音質音楽DVDというものが広まれば、今CDで発売されるという現状は無かったはずである。
普及という、ただそれだけを問題視するのであれば、狙っている音質が得られないにしても28年前の規格よりはずっと高音質の媒体を目指すべきではなかったのか?
ここに音楽業界の利権的問題があったとするならば、おそらく消費者はその利権によって被害を被った事になる。
Blu-rayが次世代DVDとして普及する事はほぼ間違いない。
映像ももちろん高画質化していくだろうが、デジタル音楽の世界もそちらに進むべきだろう。
…純粋に音楽のみのBD-AUDIOなんて規格は存在しないものなんだろうか?
今度はもっと汎用性に富んだ高音質音楽媒体が出来る事を切に願いたい。