ショッキングな出来事が2件あった。
一つは米Silicon Graphics(SGI)が破産申請し、米Rackable Systemsに買収されるというニュース。
SGIといえば、Indy、Indigoといったグラフィッカーなら知らないハズのない名機を生み出したメーカーであり、また創業者James Clark氏がSGIを離れ、Netscapeを起業した事でも話題となったメーカーである。
つまり、SGIは常にIT業界のほぼ中心にいたメーカーだ。
そのSGIがとうとう破産申請という所まできたという事実は、時代が明らかに変わったという事の現れでもある。
もう一つの出来事は、あのJustsystemがキーエンス傘下になるというニュース。
Justsystemは2009年3月期連結業績予想を下方修正し、前回予想の9100万円の黒字としていた営業損益を11億3500万円の赤字とした。
内訳として7億円の赤字としていた最終損益が19億円の赤字に悪化する見通しとなり、結局は運転資金不足となった形。
金融機関からの借り入れも難しいと判断し、新株を発行、その新株をキーエンスが取得し、結果的にキーエンスが44%の株を取得、筆頭株主として、ジャストはキーエンスの持分法適用会社となる。
Justsystemといえば、私が大絶賛している日本語変換プロセッサ“ATOK”の開発元であり、また日本語をベースとしたワープロとしては最も優秀と私が思っている“一太郎”の開発元でもある。
押し寄せるMicrosoft Officeの波には結局勝てなかったという事かもしれないが、少なくともATOKは日本語を扱う意味で世界最高峰と言える。
別にJustsystemが無くなったわけではないし、キーエンス傘下として生き残っていく以上、開発が止まるワケではないため、助かったと言えば助かったという事だが、今まで導入しやすかったATOKのライセンシーが変更にならないか気になるところではある。
Justsystemの話では、キーエンス側から提携の打診があったという事で今回の運びになったらしい。
キーエンスという会社を知らない人も多分いるだろう。
私も今の製造業に勤めるまではキーエンスというメーカーを知らなかったぐらいである。だが、知ってしまった今、私はキーエンスという会社の真の恐ろしさを知っている。
キーエンスは民生品を作っているメーカーではなく、どちらかと言えば業務用機器のメーカー。画像処理装置からタッチパネル、バーコードなどの2次元コード機器などを販売しているメーカーで、従業員の年収は日本一なのではないかというぐらいの業績を持つ。
5年勤めれば家が建つ…と言われるぐらい高給取りが沢山いる会社なのだが、その理由は外部委託部品の徹底したコスト管理にある。
営業が日本全国、あるいは世界に出かけて最も安く生産できる工場を探し当て、品質とコストのもっともバランスの取れた企業(もちろんコストが比較的優先される事は言うまでもない)に部品を委託生産させ、自社製品を高付加価値製品として販売しているのである。
こう書き連ねるとキーエンスが鬼のような悪徳企業のように感じるかもしれないが、キーエンスのスゴイところは、一度決まった生産に関して、フォーキャスト(生産計画)は絶対に守るというポリシーがある。
なので一度契約が決まったなら、約束された生産数はすべて買い取るため、契約工場側からすれば安心して計画生産できるという安心感がある。
ここ最近は資金的に苦しいのか、計画通りの買い取りにはなっていないようだが、それはあくまでも日程的な問題であり、発行された分の生産数は買い取ってもらえるハズである。
ウチの会社でもいくつかの部品をキーエンスに収めているが、その単価の安さも驚くが、流れる生産数にも驚かされる。
ま、私もこの業界に来るまではキーエンスは知らなかったわけで、知らない人はそういう会社だと思ってくれればいいと思う。
とまぁ、私が知っている2つの企業が結果的に他企業に吸収されたり提携したりしてしまう事となった。
もちろん、こういう話は今回だけの事ではない。
あらゆる企業が合併や提携をし、気がつけば一つになったなんて事が多い。
コニカとMINOLTAのコニカミノルタもそうだった(さらにその後αはSONYと合併)し、エニックスとスクウェアが合併しスクウェアエニックスとなったり…と数えればそのこそキリがないくらいである。
有名所がそうなのだから、小さいところはもっと多いハズ。いろいろな分野で、いろいろな規模で統一に向かっている。
と、ここで私は過去に読んだ本の事を思い出している。
前に、占いの本か何かで読んだのだが、20世紀は爆発の世紀で、あらゆるものが乱立して生み出されていく時代であり、21世紀はあらゆるものが統一していく世紀なのだそうだ。
もっと占いっぽく言うと、20世紀まではキリストの白魚宮の時代で、21世紀からは宝瓶宮の時代に移り変わるそうである。
つまり、キリストの時代の終わりを告げている…という事らしいが、それがどういう意味なのかは知らない。
ただ、少なくともその占いの本に書かれていた通り、今時代は統一されていく方向に向かっている。
それが宝瓶宮の時代という事を言っているのだろうが、これがキリストの時代でなければ何の時代だというのだろうか。
何はともあれ、歴史に名を刻んだ偉大なるSGI社が無くなるのは忍びないが、これも時代の流れと受け止め、新しい宝瓶宮の時代をどう生き抜いていくのかをこれから考えなければならない。
それは、企業の大小を問わず、あらゆる所に関連してくることだろう。
私も今のままで居続ける事はできないのかもしれない。
給料も安いし orz