電動アシスト自転車がかなり便利になったという事は、このBlogでも前に書いた。
いろんな方式のものがあるが、有名なYAMAHAのPASSシリーズをはじめとした殆どの電動アシスト自転車は、本来人力が動作させる後輪を電動アシストする後輪駆動自転車だが、三洋電機のeneloop bikeシリーズは前輪にモーターを仕組み、前輪をモーター、後輪を人力と、両輪駆動方式の珍しい電動アシスト自転車を世に送り出している。
個人的にこの前輪駆動というのには非常に興味があり、ある意味自転車の常識を打ち破るモノと見ている。
というのは、駆動力がもっとも無駄なく発揮されるのは前輪駆動だと思っているからだ。これは車のFF車とFR車を比較すればわかりやすい。
FR車はステアリングコントロールに長けているが、駆動力は明らかにFF車が上回る。雪道の進み具合を考えるとそう結論づけて間違いない、と私は思っている。
だから電動アシスト自転車でも前輪駆動の方がより駆動力をダイレクトに伝えてくれるのではないか、と思っている。…私がそう思っているだけで根拠はないが。
で、その期待のeneloop bikeに新しい2車種が加わった。
1つはスポーツタイプの“CY-SPK227”で、ボディはカーボンコンポジットフレームで重量が20kgを切る19.5kgとなっている。
もう1つは折りたたみ方式を導入した“CY-SPJ220”でコンパクトに折りたためるのが特徴である。
この2車種に加え、シティサイクルの“CY-SPA226”を加え、3車種がeneloop bikeシリーズとなる。
どのシリーズでも前輪駆動モーター+リチウムイオン充電池仕様というのは変わらない。
シティサイクルはリチウムイオン充電池でなく、水素ニッケル充電池を使用したタイプが存在する。コスト的に安くないと…という人はそちらも候補に挙がるだろう。
eneloop bikeは前述の前輪駆動モーターによる両輪駆動と回生ブレーキで充電できる事をウリとしている。
この回生ブレーキは他メーカーでも既に導入していると思うが、eneloop bikeはより回生ブレーキで充電する事に有利だと考えられる。
バイクに乗っている人はよくわかると思うが、基本的に前輪のブレーキと後輪のブレーキでは前輪ブレーキの方がよく効いているように感じる。
また、動作安定度で言えば、後輪ブレーキの方がハンドルコントロールしやすい。これはコーナーを曲がっている時にブレーキをかけてみればよくわかる。というか二輪車でコーナーを曲がっている時に前輪ブレーキをかけたらハンドルが一気にブレるはずだ。事故の元なので試してもらっては困るのだが、実際そうなる。
なので自転車も含め二輪車は後輪ブレーキをかける頻度が高い。前輪ブレーキは本当に制動力が必要な時に使用する事が多いハズである。
つまり、ブレーキをかけている時に充電する回生ブレーキは、その充電する車輪にブレーキ圧力がかかっていない方が有利と思われる。
後輪にモーターを仕組んでいるタイプは、後輪ブレーキをかけながら回生ブレーキを使用する事になるが、eneloop bikeでは後輪でブレーキ、前輪で回生ブレーキという理想的な形になる、というワケである。
この違いは些細な事かもしれないが、回生ブレーキという現存エネルギーをシビアになってでも有効に使おうという行為に対してかなり有効ではないかと考えられる。
今回発表されたスポーツタイプの“CY-SPK227”は受注生産という事で店頭販売はない。価格もカーボンコンポジットフレーム採用という事で60万円ほどになるため、一般的とは言えない。
ただし、それだけにeneloop bike初の内装8段というギヤ段数の多さは魅力的であり、また使われているパーツも一流どころの有名パーツばかりだ。
使われているパーツや構成を見れば価格も妥当だとは思うが、絶対価格として60万円というのは生活品としてかなり高い。
ここまでの高級パーツを使わなくてもいいので、廉価バージョンが欲しいところである。
また、折りたたみの“CY-SPJ220”は価格的にも水素ニッケル充電池採用のものと拮抗する為、購入しやすいレベルではないかと思う。
ギヤは内装3段とこれも従来機種と同じで、違うのは折りたためる事と車輪が20インチという事。
この20インチというサイズ、結構クセがあるため、折りたたみ自転車に乗り慣れてない人は最初戸惑うかもしれない。
私はBD-1という折りたたみスポーツを持っているが、初めて乗った時、購入店から当時住んでいた板橋まで帰るのに結構苦労した。
新宿東口にあったその店から靖国通りに出て、そのまま明治通りを左折、北上したのだが、慣れない道というのもあったが、小径タイヤでハンドルを取られる事が多く、かなり苦労した記憶がある。
まぁ、それも乗っていれば慣れるため、それがデメリットになる事はないが、普通の感覚でいるとハンドルを取られるため注意が必要だ。
この折りたたみのeneloop bikeだが、私はバリエーションとして折りたたみスポーツがあってもいいように思う。内装6段くらいのギヤを持たせるだけで、運用性はぐっと上がるハズだ。
何にしても、今回の2車種が出た事でeneloop bikeの幅は確実に広がった。
あとはこの2車種のそれぞれの派生タイプが出てくる事を祈る限り。
できれば、スポーツタイプの廉価版が欲しいところ。
発売されたら私も車をやめてそっちに乗り換えてもいいかもしれない。
いや、まぢで…