IT Mediaの記事にあったのだが、AKB48のファンが最近犯罪者となるケースが増えているらしい。
AKB48というと、最近では知らない人もいないと思うが、実はもう4年も前から存在していたという事を知っている人は意外と少ないのかもしれない。
結成は2005年で、結成当時から秋葉原では当たり前のような存在であったが、名前が周知されてきたのはつい最近からというイメージが強い。
私は実の所結成当時からよく知っていて…というと誤解を招きそうだが(爆)、このAKB48の総合プロデューサーが秋元 康氏という事で、私の前々職やその関係者からはかなり注目されていた。というのは、やはり秋元 康氏は私から見ても目指すべき頂点に君臨するプロデューサーであり、その売り込み方は常に気になるところであったからに他ならない。
その秋元 康氏が手がけたアイドルグループという事で、どういった売り込み方をするのかというのが常に気になっていたのだが、その売り込み方はまさに秋葉原のアキバ系を狙ったかのような手法であり、逆に言えば我々が前々職に行っていた手法をアイドルという世界に持ち込んだものがその基本スタイルであった。
画像はIT Mediaの記事からの引用(草下健夫氏撮影)。
私が前々職だった頃、アキバでアキバ系のゲーム等を売る際にいろんな特典をつけて売っていた。それこそ店舗毎に特典を変えてみたり、使用するイラストを変えてみたり、場合によっては限定という事を前面に押し出し、パッケージに封入するイラストを店舗毎に変え、まるでコレクションするためには全ての店舗から製品を購入しなければならないかのような手法を使い、販売本数を稼ぐという事をした。
この手法、消費者サイドからすれば悪徳商法と言われかねないやり方だが、それでも趣味に投じるお金というのは凄まじいものがあり、批判されつつも売れるという、ある種麻薬めいた売れ方をするのが、アキバ系商品の凄さであった。
この手法の火付け役とも言える製品がトレーディングカードであり、コレクションするためには他者とトレード(交換)しなければなかなか集まらないというカードがその大きな参考となった。
AKB48は、まさにこの手法に目を付けたといっていい。
AKB48はその結成当初から約48人存在しているが、この全てのアイドル達の特典物を1種類しかCD等に封入しなければ、最低でも48枚必要になる。
もしそれが無作為な1種類であるとするならば、48枚購入しても全てを揃える事は不可能であり、いわゆる大人買いで100枚、200枚購入し、余った特典物をオークションなどで売買するという方法を使ったり、あるいは本当に知人とトレードしたり…といった方法でないと集められない。
こうした本来とはかけ離れた売り方によって拡大化しはじめたAKB48であるから、そこに財力に限界が来たファンの中から、犯罪へと走る者が現れる結果となったようである。
詳しい事件等は該当記事を参照してもらいたいが、詐欺罪や窃盗罪、そしてこれはAKB48に限らないがストーカー問題など、現代ネット社会が生み出したとも言えるような犯罪が起きやすい状態を作り出している。
AKB48はその当初から身近にいるアイドルというテーマがあり、秋葉原の専用劇場でほぼ毎日公演が行われている為、会いに行けるアイドルという側面が強い。
我々がかつて行ってきた商売戦略が二次元のキャラクターを相手にしている間は特に問題にならなかったハズが、リアルな存在を対象とした結果、それが重大な犯罪の温情を作り出してしまっている。
秋元 康氏の目の付け所は確かに間違っていなかったと思うし、私がもしアイドルプロデュースをしたならば、その商品展開を同じように行っていただろう事を考えると、やはりコアなファンを掴む方法そのものが、現代ネット社会において問題を引き起こしてしまう可能性を孕んだものと言わざるを得ないように思う。
よく社会現象的に二次元キャラクター愛好家を危険視する発言があるが、実の所、二次元キャラクターは現実に行われる犯罪を押しとどめている効果の方が高いように私は感じている。抑止力とまでは言わないが、二次元で事が済んでいる間は問題が過大にならない。
しかし、これがリアル(三次元)へと展開した先には、今回の件のように、そこには一人しかいない対象に群がる犯罪予備軍と行きすぎた偶像(アイドル)崇拝によって取り返しの付かない犯罪へと突き進んでしまうのではないかと私は考えている。
一部の偉い人にはその辺りに気づいて欲しいものである。
何はともあれ、今回に限って言えば、我が永遠の師匠である秋元 康氏の商法の原点が我々のかつての行動にあったという事に、私は多少なりの優越感を感じていたりする。
我々の売り方は儲かる売り方だった。
まさにそれを証明しているに他ならないのだから。