最近のPCはハイエンドとローエンドの差が著しく激しい。
Atomコアなどがネットブックという分野を開拓した頃から、ローエンド性能はAtomコアが基準になっているが、一方ハイエンドはIntelで言えばCore 2 QuadからCore i7へと移行し、より新しい方向へと進んだが、それがハイエンドとローエンドの差をさらに広げたように思えてならない。
性能の差が開きつつある中、PCそのものの大きさもかなり変わってきていて、今まで標準だったATXからmicroATXが当たり前の市民権を得、そしてさらに小さいMini-ITXが台頭してきた。
もちろん、当初のMini-ITXボードはその面積の狭さと搭載できるパーツの問題から性能的にAtom系のコアを載せざるを得ないような製品が多かったが、最近のMini-ITXはそうした制約も徐々に少なくなってきて、こんな製品も投入されるようになった。
LGA1156ソケットを搭載したMini-ITXマザーボードで、チップセットはP55という、まさにハイエンドに位置するチップセットを持つマザーボードである。
価格的には2万円弱と安くはないが、性能もメモリスロットとPCI Expressスロットが少ないというだけで他性能はATXマザーと分からない。だから価格的にP55チップセットのATXマザーと比較してもそんなに高いわけではない。
当然だがビデオ機能は内蔵されていない。そのあたりもATXマザーと同じだ。
Intel系製品ばかりではない。
AMD系はIntel系よりもずっと前から高性能なMini-ITXマザーボードが作られてきているが、この度とうとうAMD785Gチップセットを搭載したMini-ITXマザーボードが発売された。
メモリがDDR2のみ対応という事で、ソケットはAM2+対応となっているが、TDP 65WまでのPhenom II X4やAthlon II X4も搭載できる。
785Gチップセットは、Intelより優れたビデオ機能を搭載している統合チップセットだが、そのビデオ性能はRadeon HD 4200シリーズの性能であり、DirectX10.1に対応しているばかりか、チップセットでフルHDビデオの再生支援機能を持っている。
価格はIntel系よりも安く17,000円弱。それでいてビデオ機能も搭載ているのだからお買い得だと言える。
ただ、この製品は私的にイマイチと言える。せめてメモリがDDR3なら…そこが残念でならない。
と、Mini-ITXの世界も随分と様変わりしてきた。
今までは性能を犠牲にして小さなPCを作るしかなかったが、それも過去の話。
ミドルレンジ以上の性能を持つ事ができるマザーボードの登場で、より自分にあったスタイルの小型PCが作れるようになったのは喜ばしい事である。
問題は…これらMini-ITXマザーボードを搭載するケースにあまり自由度がない事。
ケースメーカーも全てに対応するのは難しいかもしれないが、小型PCというジャンルは昔から根強い人気があるため、そういう分野に商品を投下してもいいように思える。
エコを重視するこれからの時代、おそらくMini-ITXという区分はもっとスタンダードになっていくのではないかと思う。ケースメーカーはそのあたりを考慮して商品開発してもらいたいものである。