先日も記事にしたが、今あえてもう一度話題にしたいのがPS3用地デジ視聴ユニット“torne”である。
このtorneの登場でPS3に本来求められていた汎用機としての可能性はより現実的なものになったと私は思っている。
SCEを去った久夛良木氏がPS3に求めていた真価は、PS3がホームエンターテイメントのコアとなる姿だったと思う。
ホームエンターテイメントという事は当然その主役はテレビがまず最初にくるわけだが、発売当初のPS3はあくまでもテレビに接続するハードウェアという位置づけでしかなかった。
だが、torneの登場でこの状況は一変するかもしれない。
torneを接続したPS3にテレビを接続する。つまり、主従が逆転するかもしれないのである。
というのは、torneの利便性の高さからくる。
torneは当然PS3の処理能力を利用しているわけだが、そのEPGの処理の速さはテレビとは比較にならないほど高速で、またネットワークを随所に利用する事を想定したインターフェースが用意されている。
impress AV Watch
PS3用地デジチューナ「torne」を体験してみた
動画が公開されている上記リンクで確認してもらえばわかるが、torneの画面処理の速さはハンパではない。
おそらく既存の地デジチューナー搭載テレビとは比較にならないほどの軽快さではないかと思う。
これはPS3の処理能力が実現させたものだが、Cell B.E.というコアの性能をもってすればコレぐらいの事が可能だという事である(東芝のCELL REGZAの凄さもCell B.E.あっての話である)。
極端な事を言えば、これらの機能が29,800円のPS3と9,980円のtorneだけで実現してしまう(250GB HDD搭載のPS3とのセットは42,800円だが)。
もしこれに、低価格のHDMI端子搭載液晶モニター(フルHD)を組み合わせれば、個人向けの液晶テレビとしてはかなり高機能な地デジ環境が整うと言える。
そして個人向けという部分で据え置きテレビが必要ない、というのなら、PSPで番組を見ることもできる。
画像はEPG番組表だが、普通に視聴もできる。
これはPS3のリモート機能を使っている。リモート機能だから無線LAN(IEEE802.11b)が届く位置なら場所は問わない。布団の中だろうがトイレの中だろうがお構いなしである。
私が思うに、久夛良木氏はPS3がタダのゲーム機に成り下がる事を避けたかったのではないかと思う。
だからPS3は発売当初からゲーム機と言わなかったし、価格設定もゲーム機のソレとは全く異なっていた。ただ、周囲の人々がPS3をそうしたコア構想の中にあるものと、言葉では理解していても存在として理解していなかったが故に「値段が高い」とか「必要性がわからない」とかコメントされたのではないかと思う。
もし、最初からtorneのようなユニットと一緒に公開されていたならば、多分PS3はもっと違った目で見られたに違いない。
久夛良木氏が見ていた未来を理解するのに世間は3年かかった。多分、そういう事ではないかと思う。
とここまで考えてふと思った。
torne内蔵PS3が登場してもおかしくないのではないだろうか?
かつてPSXというPS2とHDDレコーダーが一緒になった製品が存在していたが、torne内蔵PS3は普通のPS3よりずっと魅力的に映るに違いない。
現PS3のウィークポイントの一つと私は感じているが、今のPS3はUSB端子が2個しかない。torneはその内1つを占有してしまう。
一応USB増設ハブでHDDなどを追加する事はできるが、あまりスマートな方法とは言いにくいのも事実だ。
この利便性をより高いものにする必要性があるのなら、SCEはそう遠くない内にマイナーチェンジをするのではないかと思ったりする。
…まぁ、私が勝手に思ったりしているだけの事だが、torne内蔵のUSB端子増設型PS3が出たならば、それは今よりもずっと訴求力の高いPS3になるのではないかと思う。
SCEにはぜひ検討して欲しいところである。