100万と10憶の違い

　日本語で書くと、あまりの違いで絶対に間違えないだろうなとは思う。
　100万と10憶。
　だが、もしこれがアラビア数字だけで書かれていたなら…
　1,000,000と1,000,000,000。
　3桁区切りの桁がまるまる違うから、やはり間違えないだろう。
　だが、これがもし英語だったら…。
　5月6日、ニューヨーク株式市場でNYダウ工業株が暴落する事件が起きた。
　原因などいろいろな話があるだろうが、一つの噂がある。
　その噂というのが株の発注単位の入力ミス。
　“million”(100万)の「m」を間違え、“billion”(10億)として入力してしまったのが原因ではないかと噂されたのである。確かに日本語では間違え様のない単位だが、英語だとアルファベット1文字の間違いが1,000倍の間違いになってしまう。
　この間違った取引はCitigroupによって行われ、間違って売られてしまったのは米Procter＆Gamble(P＆G)だとCNBCの記事が報じた。実際P＆Gの株価は6日午後に不自然な急落を見せている。

　ニューヨーク証券取引所は特定の条件下で行われた取引については取り消す方針の様子。だが、それで済むような問題ではないため波紋を呼んでいる。
　これを端に大きな金融問題が起こる可能性もある。正直、今この時期に再びサブプライムローン問題のような金融危機に陥る事を望んでいる人はいないだろう。
　電子化された証券取引には、まさに指先一つで世界金融がダウンする恐怖が潜んでいる。
　日本でもこうした電子化による発注ミスや受注ミスで人生を大きく変えた人もいるのは記憶に新しい。
　電子化によって利便化する事で情報の即時対応が可能になる反面、チェック機関がなくなるという問題は、何か大きな、抜本的な見直しが必要なのではないかと思う。
　規模はもっと小さくなるが、ポチッとな、で買い物が出来てしまうネット通販にも同じことが言える。
　世界も、そして個人も、電子化によるミスの拡大過剰化は、ぜひ見直すべき問題だと思う。