Amazon.co.jpの商品ページが大炎上するとは思わなかった。
それほどにファンの憤りが激しかったという事なのかもしれない。
アイドルものというのは、たとえ現実(リアル)であっても、仮想(ァーチャル)であっても、そのファンの勢いというのは周囲を豹変させる程の熱量を帯びているという事なのだろう。
私は基本的にプレイしないので、発表された時はさほど思わなかった。
ただ、ちょっとした違和感と「お金のニオイ」がした。
お金のニオイというのは…まぁ、こうすれば儲かってウハウハでしょ? という、どこかエゲツない感覚であり、それをアイマスというコンテンツに背負わせてしまった所に変な違和感を感じたに過ぎない。
だが、やはりファンは燃え上がった。萌え、でなく燃えたのである。
イケメンユニットを登場させ、今までの人気キャラであった水瀬伊織、三浦あずさ、双海亜美、秋月律子の4人を育成できないような内容であれば、それはファンが暴徒化するのも仕方のない話かもしれない。
考えてもみるといい。
例えば、ラブプラスで寧々、愛花、凛子が登場するだけでなく、自分のライバルの男キャラが出てきて、颯爽とターゲットを奪っていく姿を想像してみるといい。世の中の彼氏のどれだけか発狂することか…。
今度のアイマス2は、実際にそういうイベントが用意されていないとはいえ、登場人物としてイケメンアイドルが同じフィールドにいるのである。可能性を用意されてしまえば、そういうネタは同人の格好のネタになってしまう。
これは、何もないからいいじゃない、という話ではないのである。
…まぁ、ファンからすれば、の話ではあるが。
その流れがAmazon.co.jpの商品ページを大炎上させた。
その時の画像がコレである。
もう、評価が低いのは当たり前として、商品写真ですらコラ画像になってしまっていた。
私個人からすると、男性ユニットの存在は時期的に見てもアリだと思った。
ただ、それは私が熱狂的なファンでないから出た言葉であって、これがもし熱狂的ファンだったならやはりアンチ的立場だったかもしれない。
こういう美少女を扱ったゲームが、流れ的に男性向けであるように、今の時代は徐々に女性向けへとシフトしていくのは時間の問題である。
それは、育成型美少女ゲームの大御所である“ときめきメモリアル(通称ときメモ)”を見ても分かる話だ。
だからときメモは女性向けタイトルである“ガールズサイド”を別タイトルとして発売している。
微妙に求めているものが異なるという事もあって、決して同じタイトルの中に男性向けと女性向けを混在させたりはしていない。
しかし、今回のアイマス2は、端的に見て男性向けの中に女性向けを混在させたような感じに受け止められても仕方がないように思えてならない。
しかも、かなり中途半端に、である。
メーカーであるバンダイナムコゲームスが、アイマス2に何を求めたのかは分からないが、女性向けという部分に多少なり注力し始めた結果が今回の流れだとするならば、多分それは大いに間違ったベクトルと言える。
逆にそんなつもりはないならば、今回のイケメンアイドルの存在はかなり毒素の強いフューチャーとしか思えない。危険な橋を渡るにも程があると言い換えてもいい。
キャラクター商売というのは、客をそのキャラクターにどれだけ傾倒させる事ができるか、で売れるかどうかが決まる。今までのアイマスは、その意味では大成功だったに違いない。
アイマス2は、その重大なファクターがズレ始めた作品と言える。
純粋なファンではない私が見ても、そう見えてくるタイトルである。
正直、今回のこの話題が売れ行きに対してどれだけの影響があるかはわからない。
ただ本数的には売れるのではないかと私は予測する。
だが、アイマスシリーズは本体が売れればそれで成功というタイトルではない。その後に配信される追加コンテンツの売れ行きが人気を支えるのであり、大きな収益源になっている。
今回の炎上は、その流れに大きな影を落とすものではないか? と思えてならない。
エンターテインメントは需要側に対して向けられるべきものであり、供給側はその事を忘れてしまってはいけないのではないかと思う。
とりあえず、今回の炎上を当のバンダイナムコゲームスは静観している。
メーカーとして正しい判断だと思うが、問題はこれからである。
どうイメージを転換していくか、そして狙っているポイントが他にあるならば、どうやってそこに目を向けさせるか。そのあたりを深く追求していかねばならないだろう。
根強いファンを多数持つ中での続編製作というのは、そういうバランスの難しい部分がついてまわる。
これは何もアイマスに限った話ではない。
故に、慎重な対応が必要だという事は、当のバンダイナムコゲームスも分かっているだろうと思う。