本日、新型FITが登場したが、同時にハイブリッドのFITも公開となった。
一足先にパリのショーで公開されてはいたものの、ようやく国内での発表で、その実力はというと、燃費にして30km/LというINSIGHTと互角の数値であった。
INSIGHTは燃費を良くする為、そして空力を活かすためにあのボディ形状だったわけだが、今度のFITは従来の形状で同等の燃費を達成したという事は、すなわちただIMAユニットを搭載しハイブリッド化しただけという事ではないという事である。
おそらくそれだけの燃費を獲得できた最大の理由は、その車重ではないかと思われる。
今度の新型は、無装備状態の素の重量が1tを下回っている。ほぼフル装備のHYBRIDナビプレミアムセレクションでも1,150kgというから、この時点で一部の軽自動車より軽い事になる。
それに加え、もともと燃費特性の高いFITのエンジンが組み合わさっているのだから、HYBRIDでなくてももともと燃費は良いと言える。
そう、FITはもともと燃費が悪くない。だからこのHYBRIDの存在意義が問題ではないかと思ったりする。
今回の新型FITの価格を見ると、HYBRIDの存在意義がどの程度なのかが見えてくる。
もっとも価格的にお買い得感が高い13GスマートセレクションのFF(CVT)車が135万円で、素の状態のHYBRIDが159万円。その差は24万円である。
ではガソリン代で24万円を埋めるにはどれぐらいかかるのか?
この答えをどう捉えるかで、存在意義があるかどうかが変わってくる。
私的には24万円の差でもHYBRIDバンザイと言うのだが、人によってはその価格差ならガソリン車でもいいという人がいるはずだ。
実際、私の知っている京都の鍛造会社(実はFITの部品を作っている)の人は「もともと燃費がいいのでHYBRIDの意味があるのかねぇ…」と否定的。
たしかに、ウチの会社の社用車にも1.3LのFITがあるのだが、私が乗ると平均して19km/Lの実走燃費。
HYBRIDで走るとどれぐらいになるのか分からないが、それでも25km/Lくらい出れば意味はあるだろうが、それぐらいが実走燃費として出せるかはかなり微妙な気がしている。
仮に25km/L出たとして、それでも19km/Lとの差は6km/Lである。それで24万円の価格差をガソリン代で埋めようとすれば…一体何年かかるのか? という事に。
つまり、HYBRIDだからといって劇的な燃費差が生まれるかというのは、かなり難しい話と言える。
それに、燃費というのは乗り方一つで大きく変わる。
同じ車でも乗る人によって3~4km/Lは変わる事など稀な話ではない。
であるならば、高燃費な走り方で通常のFITに乗るという選択肢の方が得と考える人がいても不思議ではない。
これはHYBRID車全般に言える事で、乗り方一つで燃費がかなり変わる。
トヨタのPriusも同じと言われている。
HYBRIDの存在意義は存在そのもの…なんて言い方は良くないかもしれないが、燃費に存在意義があるなんていうのは意外と妄想でしかない。
おそらく、HYBRID車よりも停車時にアイドリングストップする車の方が、価格的にも燃費的にも優れた車になるのではないかと思う。
私は今回の新型FITにアイドリングストップ機構がつかなかった事の方が実は疑問に思っていたりする。
…まぁ、それを搭載してしまうと、HYBRIDの存在意義がホントに無くなるのかもしれないが。
それでもHYBRID車というコストのかかる車を159万円で提供してきたHONDAはスゴイというのは変わらない。
来年、トヨタのヴィッツがHYBRID車として発売されるという話らしいが、それがどんなスタイルのHYBRID車になるのかが気になるところ。
おそらく、FIT HYBRIDを正当に評価できるのは、そのHYBRIDなヴィッツが出てきてからではないかと思う。