今年の初め頃だっただろうか、昨年末だったろうか?
私は一つの予測をしていた。
それは今のPCに搭載されているHDDの主流が2.5インチになるのではないか? というもの。
残念ながら、私のその予測は外れ、そして多分来年も外れる事になるかもしれない。
ただ、この予測に近づいていく事は間違いないと思っている。
ここ最近のHDDの大容量化は止まるところを知らず、民生品でも3TBの3.5インチHDDが販売されるに至った。2.5インチHDDでも、9.5mm厚ではまだだが1TBのものが既に出回っている。
これは、1プラッタあたり500GBという製品が成熟期に入ったからであり、1プラッタあたりの容量は来年に入り1TBが成熟期に入るだろうと言われている。
そうなると1プラッタで1TB、2プラッタで2TBとなる事から、3.5インチでは4TB、2.5インチでも2TBの製品が可能となる。
そしてこれだけ大容量のものが出てくると、当然低容量のものは消えていく事になる。予測では来年は160GBのHDDが姿を消すのではないかと思わ、代わりに600GBや750GBのものがより増えるだろう。
HDDが大容量化をやめない最大の理由は製品競争力が大きく絡んでいるのではないかと思う。
今やSSDの価格も見る見る下がってきており、容量も徐々に増えつつある。
OSがSSDの読み書きに最適化してきている今、昔のように書込回数という弱点は徐々に克服されつつある。過去、東芝の技術者(だったと思う)は今やSSDの方が製品としての安定性は上だと言っていた記憶がある。そうなるとHDDの最大の利点はその容量という事になる。というか、それ以外に利点がない事になってしまう。
2.5インチで2TBの製品が恒常的になると、メインPCのHDDに2.5インチを使うという流れがより加速するのではないかと思っている。
私は1TBでそういう流れが来ると思っていたのだが、残念ながら1TBのHDDへの移行が思ったほど速くなく、今年にその流れが来るという予測を外してしまった。
9.5mm厚で1TBが登場し、それが当たり前になる頃、私はメインPCのHDDに2.5インチを据えてくるメーカーPCが増えるのではないかと思っている。その方が省電力だし静音化できるからだ。静音化できるというのは、低発熱になる事で空冷ファンの動作を小さくできるからだ。
実際、今2.5インチHDDで自作PCを作る事は難しい事ではない。自作PCではその選択肢はメーカーPCとは比較にならないくらい幅広いため、プラットフォームが何であっても2.5インチHDDを使用する事に問題はない。
メーカー製PCでも一部はノートPCのプラットフォームを利用しているものがあり、そういう製品では2.5インチHDDを使う事もある。こうする事で低消費電力・低発熱化が可能になり、用途によってはそういうニーズがあるからだ。
世はエコ時代。徐々に低消費電力・低発熱化が求められている事を考えれば、HDDも2.5インチで十二分な容量が実現できれば、そちらにシフトしていく流れは出てくるだろう。
…という予測を1年前にしたのだ。
だが、前述の通りそれは外れてしまった。
なら来年はどうなのか?
多分その流れにはなるだろう。だが、移行は遅く、多分来年末も同じような事を書くことになる。
それは世の中の動画への移行が加速しているから。
以前はこんなに動画が世の中に溢れていなかったが、今年1年でその流れはより加速した。となると、HDDの容量は今よりさらに大きくならないといけない。
3.5インチHDDで4TBが当たり前になり、2.5インチHDDでそれぐらいの要望を満たす事ができるような頃に、ようやく2.5インチHDDへの移行が進むような気がする。
一部のユーザーだけが大容量を求める事に違いはないだろうが、世の中の流れが大容量化にある間は、どうあっても3.5インチHDDが主力の座を明け渡す事はない。2.5インチHDDでは3.5インチHDDの容量に物理的に勝てないからだ。
もし2.5インチの大きさに収まるSSDに、4TBの容量を持ち3.5インチHDDと価格勝負しても勝てるという製品が出てくれば、世の中の流れは一気に2.5インチに動くだろう。だが、そんな事は夢また夢の話である。
かつて、5インチFDが3.5インチFDに駆逐された時代があったが、それと同じ流れになる事は考えにくい。
だが、過去はそうした小さなデバイスが大きなデバイスを駆逐する時代があった事は紛れもない事実であり、もう一度、そういう時代が来ることを、どこかで私は期待しているのかもしれない。