ゲームブックという存在そのものを知らない人がいても不思議ではないぐらい、既に時代は21世紀となり、平成も23年が過ぎた。
だが其の昔、まだコンピュータゲームが高嶺の花であり、またファミコンのゲームもまばらだった頃(モノによってはファミコンより前)にゲームブックという本のゲームが存在していた。
ゲームブックは本でありゲームである。
つまり、ゲームを進める為には本が必要であり、読んでいるだけではゲームにならないものである。
しかし、このゲーム的要素を取り込んだ本“ゲームブック”は、電源は不必要で場所を選ばない(もちろん全くそうではないのだが…)。必要な物はその本と筆記用具とメモぐらい。ものによってはサイコロを使う場合もあるが、そのサイコロすら鉛筆で代用できるかもしれないのである。
まぁ、私が全てを説明するよりも、もっと簡単でわかりやすく説明しているサイトがあるので、そちらを紹介しておく。
ゲームブック 古き良き作品を囲む夕べ
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Akiko/9720/gamebook.html
この上記サイトにも紹介されているが、私は数あるゲームブックの中で傑作を挙げろと言われた場合、この3作を挙げる。
一つが「ソーサリー」シリーズの4部作。東京創元社から1985年に刊行されたもので、巨匠スティーブ・ジャクソンの名を一躍有名にした作品である。ちなみにスティーブ・ジャクソンという名のゲームデザイナーは2人いるが、こちらは英国人である(もう一人は米国人でTRPGガープスの作者である)。
二つ目が国産ゲームブックの「魔法使いディノン」シリーズ2篇。早川書房から発売された全2巻で、作者は門倉直人。ちなみに門倉氏は国産TRPGのローズ・トゥ・ロードの生みの親でもある。この作品の美しさの前には、他の作品はすべて色褪せて見える…とすら私は思っている名作中の名作である。
そして三つ目が、私をゲームブックの深みにハメた「ドルアーガの塔」シリーズ3部作である。この「ドルアーガの塔」という名前は聞いたことがある人も多いと思う。ナムコの傑作ビデオゲームがオリジナルで、アーケードゲームから始まり、ファミコン、PlayStationなどいろんなコンシューマ機にも移植された(PS版はナムコミュージアムvol.2に収録)。1986年刊行のゲームブック版ドルアーガの塔の作者は鈴木直人というのだが、なんとこのドルアーガの塔がデビュー作という事になっているらしい。だが、とてもデビュー作とは思えない作りで、塔60階を完全にマッピング出来る作りは今考えてみても凄いとしか言いようがない。またその文章も構成も非常に面白く、読み手を飽きさせない作りは脱帽ものである。
で、今日の本題。
このゲームブックのドルアーガの塔シリーズのように、ゲームブックにはマッピングが出来るものが少なくなかった。もちろん方眼紙に書き込むようなマッピングができない作品もあるのだが、ドルアーガの塔シリーズはきっかり10マス×10マスでマッピングできる作品だった。
そこでコレの登場である。
3DダンジョンRPG向け方眼紙マッピングツール「Mapic」
http://blog.livedoor.jp/jzunkodj4y/archives/52029332.html
方眼紙に作成した地図を3Dプレビュー可能なソフト。
これでゲーム開発したりできるワケではないが、ゲームブックのマッピングやウィザードリィのようなゲームのマッピングに向いているかもしれない。
このソフトがゲームブックのドルアーガの塔が発売された頃にあったなら、かなり便利に使えたのではないかと思えてならない。
まぁ、あの時代はコンピュータ黎明期だったため、そもそもこのツールが存在できる環境ではなかったワケだが。
ただ、このソフトは案外サウンドノベルを作る際には役立つかもしれない。
名作「かまいたちの夜」のようなノベルゲームで、ゲームブックのような作りにする事はそんなに難しい話ではないし、そこでダンジョンを登場させた場合、そのダンジョンを確認する為にこのツールを使うというのは便利に使える話だと思われる。
文字と簡単な絵だけでダンジョンの状況を説明するというのは、かなり難しい話。このツールで確認しながら位置関係を明確にすれば、あとは文章構成能力次第で名作が生まれるかもしれない。
私は…とりあえずゲームブックのドルアーガの塔でも引っ張り出してみようかな、と思案中。久しぶりにやってみるのも面白いかもしれない。