昨日のSandy Bridgeのblog記事について、異論とか反対とかのコメントがつくかなぁ…とちょっとは期待していたのだが、反応は静かなものである。
個人的にSandy Bridgeは待ちかなぁと思ってはいるものの、実の所その性能はスゴイものだと思ってもいる。だから今こそ換え時では? と思う人も多いと思う。
私としてチップセットに変わり映えがない事がSandy Bridgeに乗り換えない理由だとするならば、それこそ本末転倒じゃないかと言われても反論できない。
なぜなら、チップセットはチップセットでしかなく、実際に処理指令を出すのはSandy Bridgeなワケで、そのSandy Bridgeが高性能であるならば、乗り換える事で大幅な性能アップが見込めるのは自明の理だからだ。
なので、私みたいな考え方はあまり良くないだろう。素直にSandy Bridgeはスゴイので、乗り換えられるなら乗り換えてもいいと思う。
さて今日の本題。
Microsoftが、2011 International CESにて、Windowsの次期バージョンでARMアーキテクチャをサポートすると発表した。
(画像はMicrosoft CEOのSteve Ballmer氏)
実は昨年の7月23日に、ARMはMicrosoftとアーキテクチャライセンスを締結したと発表している。
この時、その理由は明かされていなかったため、ネット上でも様々な憶測が飛んだ。
私はライセンス等に関してはかなり無知であるため、単純にMicrosoftがARMアーキテクチャという世界に普及している技術の上でWindowsもしくはそれから派生する技術を展開するのではないか? と考えていたのだが、ARMアーキテクチャ上でのOSの実装はアーキテクチャライセンスがなくても可能なんだそうだ。
なので私の予測は外れていたのだが、今回の発表は、その憶測を少なくとも大きく外す内容ではなかった事を示している。
では、WindowsがARMアーキテクチャ上で動作するようになると、どうなるのか?
ARMアーキテクチャ搭載のデバイスは実に幅広いものがある。
最近ではケータイ(スマートフォン)などがそうだし、ニンテンドーDSもARMで動作している。
主としてモバイル端末にARMアーキテクチャが多数搭載されているのだが、それは省電力で動作するという意味でもある。
つまり、今までx86の上(あるいはx86をエミュレートした上)でしか動作しなかったWindowsが、ARMの上で動作するとなると、メモリなどの問題がクリアされればケータイの上でWindowsが動作する事になる。
いや、ほんとに多数のメモリさえ搭載できればニンテンドーDSの上でも動作するかもしれない。
それぐらいの事が次期Windowsで実現できてしまうのである。
もっとも、現段階ではどれぐらいのパフォーマンスが出るのかまではわからない為、全てが無問題とは思わないが、今までの状況がガラリと変わる事は間違いなさそうである。
そしてもう一つ。
この次期WindowsがARMアーキテクチャをサポートするという話に並行して、NVIDIAがGPU統合型ARMベースCPUである“Project Denver”の開発を表明した。
これはNVIDIA自身が自社でゼロから独自設計した高性能なARMベースCPUを開発するという意味であり、それにWindowsが搭載可能という意味でもある。
今までx86コアでしか動かなかったWindowsシステムが、IntelやAMDとほぼ同じ立場でNVIDIAのコアでも動作するという事を意味している。
まぁ、だからといって、今のハイエンドWindowsシステムをNVIDIAが実現可能か? と言われればそこには疑問が残る。
しかし、NVIDIA社長兼最高経営責任者(CEO)であるジェン・スン・フアン氏は、今回開発するARMコアはハイエンドコンピューティングに向けたものである事と表明した。仕様などは一切公表されてはいないが、そのセグメントがハイエンドにある以上、IntelやAMDと真っ向から勝負するつもりがあるのかもしれない。
ただ、NVIDIAが得意としているGPGPU的コアとARMを組み合わせた時のパフォーマンスは、現在のWindowsシステムと同じ土俵で性能を発揮するものではないかもしれない。もっとマルチメディア分野に特化した形で性能を発揮するコアになる可能性は高いのではないかと思う。
それでもってNVIDIAがハイエンドコンピューティングに向けて動いていると断言できる理由があるとすれば、世間の流れがGPGPUに向かっているという事に起因しているのかもしれない。
まぁ、私の憶測でしかないので、実際のところはわからないが、WindowsがARMアーキテクチャをサポートした事とNVIDIAがARMコアを独自開発する事に何かしらの因果関係があっても、誰も疑わないのではないかと思う。
これから数年後、一体どんな市場が形成されているのか、今からとても楽しみである。