ニンテンドー3DSが発売された直後ではあるが、あえてココでニンテンドーDSiのソフトを一つ書いておきたい。
DSiと言ったのはソフトがDSiウェアだから。
つまり、動作させられるのはニンテンドーDSiとDSiLLである(今のところ。後には3DSにも対応する)。
価格は800DSiポイント(800円相当)で、値段的にはお手頃ではあるのだが、このソフトはゲームではない。
いや、正確に言えばゲームにもなるのだがそれだけではない、といった方が適切かも。
というのも、このソフトはBasic言語を記述して走らせる事ができるソフトだからである。
(上下画面を2つ左右に合わせている。真ん中の緑のラインでわかれている)
プチコンと名付けられたこのソフトは、DSi上でBasic言語を記述して走らせる事のできる、インタプリタ型環境ソフトで、DSi上でプログラム言語のBasicを記述して、それを1行ずつ実行していく(これをインタプリタという)。
最近のWindowsでの開発はほとんどがC言語(C+やC++系だろうけど)がベースで、これらはコンパイル(インタプリタと違い、すべてをまとめた形でプログラム言語をマシン語に変換する)する事でプログラムを実行形態にするが、Basic言語はそんなコンパイルという作業をせずに、記述されたプログラムを1行ずつ変換して実行していく。
だから実行速度は当然のことながらC言語系の方がずっと速い。しかし、Basicは扱いが簡単で、人間にとても理解しやすい形にできている(これを高級言語という)。
コンピュータ言語というのは、人間に理解しやすいほど高級言語と言われ、PCが実行できる形になるほど低級と言われる。だが、実際には低級の方が実行速度は速い。
最近では日本語で記述できる言語も開発されているが、Basicは基本が英語で記述されていて、OSを搭載しないパソコンが流行った頃にはどのパソコンにもBasic言語の環境は付属してきていた(N88-Basicとか)。
このプチコンは、DSi上にそんなBasic言語の環境がそのまま再現されている。
あらかじめグラフィックスやBGMなどのプリセットデータが用意されていて、機能サンプルプログラムが7種類、ゲーム3種類、そしてキャラクター画像作成ツールと背景用マップエディター、そしてグラフィックツールの13種のプログラムを同梱している。
それらを使ってプログラムをゼロから作ってもいいのだが、その他にも付属プログラムが用意されており、そのプログラム自体もBASICで記述されているため、ユーザーが自由にプログラムの改造や機能の追加をする事もできる。
また、プチコンで作ったプログラムやデータを、通信機能を使って他のプチコンユーザーに送信することもできるため、ユーザー同士のデータのやりとりで複雑なプログラムを多人数で作り合う事もできるのではないかと思う。
結構前には、こういう自作プログラムのコミュニティというのはたくさんあった。当時はコミュニティなどという言葉もない時代だったし、Basic言語も今のようにネットで送り合うなんて事もできない時代だった。
そんな時代に普及したのが、プログラムをまとめて本にした雑誌で、電波新聞社のマイコンBASICマガジン(既に休刊)などはプログラマーの卵を育成するのには随分と活躍したのではないかと思う。
そんな時代から今や25年くらい経過した今の世の中は、インターネットがごく当たり前になっていて、高々数キロバイトのプログラムなどはメールで転送できてしまう時代。しかし今から25年前は1枚の5インチフロッピーディスクの最大容量が320KB(両面倍密度。2Dと言われる規格)や、640KB(両面倍密度倍トラック。2DDと言われる規格)の時代で、今もわずかに残っている2HD(両面高密度)が一般的になるのはもうちょっと後の事である。ちなみに3.5インチが爆発的に普及したのはMSXという低価格コンピュータ規格が普及してからの話。…ま、昔の話だが、要するに、昔は数キロバイトのデータをやりとりするのもネットでちょいちょいとは行かなかったという話である。
何はともあれ、PCレスで手軽にBASIC言語やってみようかな…とか思う人には良いアプリではないかと思う。まぁPC上で開発できるツールの方がずっと手軽で簡単だと思うが、あえてそこをDSiでやる事で広がる新たなコミュティもあるかもしれない。
一つの方向性として面白いんじゃないかと思う。