現時点でのNVIDIA最高峰のビデオカードが登場した。
Fermi世代では初のDual GPUモデルのGeForce GTX 590は、GF110を2基、1枚の基板上に装備し、8ピンのPCI Express補助電源を2つ必要とする、大消費電力型ビデオカードである。
ヒートシンクを外した画像を見てみると、非常にギッシリと詰まった感じのするビデオカードになっている。
ビデオメモリも3GB搭載し、1枚のビデオカードで3台のディスプレイに3D Visionを行なう3D Vision Surroundに対応しているという、実に豪勢な機能を持ってい。また、2基のGPUをそれぞれグラフィック用とPhysX(物理演算)用に分けて使用する事も出来る。
ちなみにGTX 590の消費電力公称値は365wになる。PCI Expressスロットから供給される電力が75w、PCI Express補助電源は1個で150wの電力を供給する事ができる。つまり、供給可能な電力が375wに対して消費電力が365wという、実にギリギリの設計である。
また、このGeForce GTX 590はQuad SLIに対応しており、2枚のGTX 590使用時には、1枚時の約180%の性能を発揮するという。
しかしながら、前述した消費電力を考えると、Quad SLI時の消費電力は365w×2と、敷居は相当高いものと言える。
実はこのGTX 590の動作クロックはかなり低く抑えられている。
1GPUの動作クロックだけを見ても607MHzという、CUDA coreの数を制限しているGTX 570(732MHz)よりも低い。低い理由はその発熱量と消費電力の大きさにある事は言うまでもない話だが、GTX 570と同じ動作クロックにしてしまうと供給可能な電力をオーバーしてしまうため、その供給可能な電力に合わせた形で、GTX 590の動作クロックが決められたのではないかと考えられる。
GF110の選別品を使えば、もう少し動作クロックは引き上げられたかもしれないが、そうなると価格が異常に高騰してしまうのため、それを避けたのではないかと考えられる。
で、これだけの大消費電力ビデオカードのその性能だが…
詳しい検証はコチラを参照してもらうとして、結論だけ書くと、GTX 570のSLIよりも総じて性能は低いという事と、Radeon HD 6990(こちらもDual GPU)よりも若干性能は上かもしれいなが驚くほどの差がないという事、そしてGTX 570のSLIよりも50~60w消費電力が低く、HD 6990よりも消費電力が40~50wほど高いという事である。
ある意味、実に中途半端な性能とも言えるが、GTX 580のSLIよりも110w近く消費電力が低いため、ハイエンドでも消費電力を気にするという人にはそれなりに評価されるかもしれない。ただ、その場合だとRadeon HD 6990との消費電力差で軍配はHD 6990に上がるかもしれないが。
今回のGTX 590はNVIDIAからすると“らしくない”製品だと思える。
許される事かどうかは別として、8ピンのPCI Express補助電源を3つ必要とする、とか8ピン2つにさらに6ピンの補助電源を必要とするとか、さらなる消費電力を増大させても、最高峰の性能をもってくる方が、よほどNVIDIAらしいと思えてならない。
そもそも、NVIDIA製品のハイエンドを使用する人(特に民生品。Quadroは別)たちは、消費電力や発熱量を気にするよりも、どれだけの性能を出せるかの方を気にする傾向がある。
今回のGTX 590は、そうした一部のハイエンド志向の人たちから見れば魅力的には映らないだろう。
前回のGTX 550 Tiに続いてGTX 590もイマイチな製品だったワケだが、そう考えるとGTX 560 TiはNVIDIA製品の中ではワットパフォーマンスの高い製品だったと言える。
これはその前身であるGTX 460も同じワケだが、使用されているGF104、そしてその改良型であるGF114の設計の方が現時点での使用方法に向いていたという事かもしれない。
で、そのGF114を使用したGeForce GTX 560 Tiを使用した、私の注文しているGIGABYTEのGV-N560SO-1GIだが…以前として入荷する動きは見えない様子。
海外サイトで在庫を持っているところがあるようだが、国内には流入していないように見える。
注文してもうすぐ2ヶ月になろうとしているが、それほどまでに選別品が出てこないものなのだろうか?
それとも世界的に多量の注文だったという事なのだろうか?
もし選別品が採れないという事であれば、廃版という道もあるわけだが、GIGABYTEはまだ廃版としていない。
どちらにしても待つしかない身としては、白黒ハッキリさせたいところではある。