1990年、家庭用ゲーム機でありながら、ゲームセンターと遜色ないゲームをプレイする事のできるゲーム機“NEOGEO”が発売された。
このNEOGEOはSNKが販売していたが、開発したのはアルファ電子(後にADK)だった。
元々家庭用ゲーム機として開発されていたものだが、後に業務用にも流用されたという経緯を持つ、非常に特異な存在だが、登場そのものは業務用であるMVS(Multi Video System)が先で、NEOGEOは家庭用として発売された時の名称である。
当時の業務用基盤は交換も大変で流通などのコストも莫大になりつつあったため、小さなゲームセンターでは容易に新ゲームに入れ替えという事が難しくなっていた。そこでSNKが出した答えがこのMVSで、家庭用ゲーム機のようにカートリッジでソフトウェアを供給し、新ゲームへの入れ替えを容易にしたスタイルを採った。
MVSの名前の通り、1枚のMVS基盤に複数のカートリッジを装着でき、1台のゲーム筐体で複数タイトルを提供する事が出来る事から、ホントに小さなゲームセンターなど、設置面積に困るような環境で大きな効果が見られた。
NEOGEOはそのMVS基板の1スロット版のような存在で、ハードウェアスペックのそのほとんどはMVSと全く同じだった。違うのは、コントローラー部分などであり、そこら辺は家庭用に利用出来るように筐体化されたものである。
このNEOGEOの最大の魅力は、ゲームセンターと全く同じ品質のゲームを家庭で遊ぶことが出来る事にある。ソフトウェアの中身は、MVSもNEOGEOも全く同じなのである。このゲームセンターと全く同じ品質である事の最大の弊害は、そのカートリッジソフトの価格にあった。何しろカートリッジ1本が3万円前後という価格で、当時の他コンシューマ機ソフトの5000円前後という価格から考えても、その価格の高さは群を抜いていた。
その後、このソフトを安価にするために、1994年にNEOGEO CDなるものが発売されたが、搭載されていたCD-ROMドライブが等倍速だった事や、ソフトウェアそのものが最適化されていなかった事で、そのゲームローディングの長さがあまりにも長く、不評だった。1996年に搭載CD-ROMを2倍速にし、筐体を小型化したNEOGEO CD-Zが発売されたが、それでもローディング時間の劇的な改善は見られず、結果としてはこのCD-ROM版NEOGEOはカートリッジ版のNEOGEOよりも先の1999年にソフト供給が停止された。
本家カートリッジ版のNEOGEOは2004年までソフトは供給されたが、基となったMVS含め、ソフトの海賊版やコピーといった問題と戦う事が困難となり、生産を中止した。
しかし、14年間という長きにわたって業務用および家庭用にソフトを供給し続ける事ができた事は実にスゴイ事で、これはハードウェアの基本スペックやシステムが秀逸だった事を物語るものではないかと私は思っている。
そのNEOGEOだが、海外のAnalogue Interactiveというメーカーから、筐体にクルミ材を使用した木製NEOGEO“Neo Geo Consolized MVS”が発売される事となった。
何で今頃? と思うかもしれない。
私もそう思ったが、Analogue Interactive(アナログ インタラクティブ)という名称から考えて「ああ、アナログって感じね」と感覚的に理解した。
NEOGEOは確かにデジタルゲームではあるが、その存在は今のゲーム機とちょっと違った趣があり、どこか昔っぽさ=アナログを感じさせる部分がある(と私は思っている)。考えてみれば、モニターは当時液晶などというものもなかった。その面では確かにアナログだったのである。
紹介サイトを見ると、かなりの部分をクルミ材にしているようで、一部の電源スイッチ部やコネクタ端子部を除いてほぼ木製化している。
価格は649ドルで海外発送も可能。コレクターズアイテムかもしれないが、未だNEOGEOの評価は高いので、欲しいと思う人は多いのではないかと思う。私もその一人である。
ただ、本体がここまで作り込まれていると、コントローラーもクルミ材で…と言いたくなる。
レバースイッチやボタンスイッチは日本製のものを使って、筐体をクルミ材でぜひ作ってもらえないだろうか?
木製NEOGEOに木製コントローラー。
ホントの意味でコレクターズアイテムだろうが、ぜひ揃えて欲しいものである。