ニンテンドー3DSが8月11日より1万円プライスダウンで15,000円となる。
今年2月に発売したばかりの、ある意味ニューハードを任天堂が1年経たずしてこんなにプライスダウンする事は今までになかった事だ。
25,000円に対して10,000円という事は、実に40%の減額だ。一体もともとの原価率は何%だったのかと疑ってしまうほどの下落ぶりと言えよう。
ここまでプライスダウンとなると、納得できないのは25,000円で購入した人達だろう。
確かに、先行して手に入れているというアドバンテージはあったものの、震災の影響もあって、ソフトは思ったほど供給されなかったし、ものによっては長い間延期されていた。
そういう状況下で、今プライスダウンとなると、素直に納得できないのも仕方のない話だ。そういう人達に対しての救済策もあるにはある。
その救済策が、8月10日までにニンテンドー3DSを購入したユーザーに“アンバサダー・プログラム”という、ダウンロードソフトを無償配信するというもの。
このプログラムは、8月10日23時59分までにニンテン
ドー3DSをインターネットに接続して「ニンテンドーeショップ」に1度アクセスすることで、参加したとみなされるようになっている。つまり、安い価格で手に入れたニンテンドー3DSではプログラムには参加できない仕組み。
このプログラムで配信されるのは“ファミコン・バーチャルコンソールタイトル”として10タイトル、そして“ゲームボーイアドバンス・バーチャルコンソール”タイトルとして10タイトルが予定されている。
“ファミコン・バーチャルコンソールタイトル”としては“スーパーマリオブラザーズ”“ドンキーコングJR.”“バルーンファイト”“アイスクライマー”“ゼルダの伝説”の5タイトル含めた全10タイトルが配信される。9月1日より先行版として配信されるが、年末に正式版が有償配信され、プログラム参加者は正式版へと無償アップデートが可能となる。
そして“ゲームボーイアドバンス・バーチャルコンソール”としては“スーパーマリオアドバンス3”“マリオカートアドバンス”“メトロイドフュージョン”“メイドインワリオ”“マリオvs.ドンキーコング”の5タイトルを含めた全10タイトルが無償配信される。この“ゲームボーイアドバンス・バーチャルコンソール”は“アンバサダー・プログラム”参加者のみの配信となり、有償での配信は行われない。ある意味、レアソフトとなるだろう。
だが、この“アンバサダー・プログラム”にも問題はある。
それは“ゲームボーイアドバンス・バーチャルコンソール”の10タイトルは、電子説明書は非搭載となり、配信機能および周辺機器には未対応。HOMEボタンを押すと簡易メニューが表示され、直接HOMEメニューに戻れない。また「まるごとバックアップ機能」と「VC中断機能」には未対応であり、ゲームプレイ中はスリープモードにならない、といった問題である。さらに「いつの間に通信」や「すれちがい通信」がゲームプレイ中に発生しないといった制限もあり、ここからが一番厄介なのだが「ソフトとデータの引っ越し」機能による、「他のニンテンドー3DSに引っ越し」はできないといった問題があるのである。
ちなみに“ファミコン・バーチャルコンソールタイトル”は正式版が配信となった際に電子説明書も付いてくれば、中断機能もあり、さらに問題の「ソフトとデータの引っ越し」も可能になるため、大きな問題にはならないだろう。
個人的には“ゲームボーイアドバンス・バーチャルコンソール”の「ソフトとデータの引っ越し」ができない事に大きな問題を感じる。
というのは、ニンテンドー3DSと言えど壊れるわけで、そうした際のソフト移動ができないのは問題だと感じるのである。もっとも、任天堂の事だから修理に出してくれれば問題なく直す、と言い切るのだろうが、実際問題そうならない事もあるわけで、もし引っ越しができなければ、サービス配信されたソフトはそのまま戻らない事になってしまう。
できるなら、何かしらの方法を使って新しいハードウェアへと移動できる仕組みを用意して欲しいものである。
何はともあれ、個人的にはこの10,000円下落は仕方がない事と思っている。
今のままではニンテンドー3DSは普及する前にPS Vitaに駆逐されてしまうのは間違いない。ならば今は少しでも多くのユーザーを獲得し、良質のソフトでハードウェアを安定化させるしかない。今回のプライスダウンは苦肉の策だろうと思っている。
本音を言えば、心情穏やかならず、ではあるものの、今よりもっと良くなるためにプライスダウンを決行した事は任天堂として英断だった、と思いたい。
あとはソフトとデータの引っ越し問題だけである。
何とかクリアする方法を示して欲しいものである。