2011年10月13日(米国時間)、MicrosoftのSkype買収が完了した。
同年5月10日(米国時間)に、現金85億ドルで買収するとMicrosoftから発表があったワケだが、ついにSkype陣営はMicrosoftの新たな事業部の一つとなったワケである。
だが、ここで思うのはMicrosoftは既にSkypeに非常に良く似た“Windows Live Messenger”を持っているという事である。
それを持っていてもなお、Skypeを買収したという事は、単にライバルの方が出来がよくてそれを吸収した方が早いと踏んだのか、Skype陣営が今後進む道そのものをMicrosoftがコントロールしようと考えたのか、いろいろな憶測ができるが定かではない。或いはそのどちらも、かもしれない。
Skypeは今の時点で全世界に数億人に利用されている製品である。私もPCを起動すればいつでもオンライン、という状態になっている。
しかも最近ではスマートフォン含めたあらゆるデバイスがSkypeを利用している。面白いのは家電のテレビですらSkypeに接続し、テレビ電話が可能になるというサービスを提供している。
こうした利用デバイスに捕らわれない形でSkypeのサービスが提供されている事が、Windows Live Messengerとの大きな差になっていった事は間違いないだろうが、Microsoftほどの大企業が自社でWindows Live Messengerのクライアントを多デバイスに提供できなかったとは考えにくい。何が、この両者の決定的な差を生んだのかは、実にわかりにくい。
私はWindows Live Writerを使ってみたくてLive Messengerをインストールした事があり、それで今も惰性でLive Messengerが常駐している。しかし、かつてMSN Messengerを利用していた知人たちはほぼ全て、Skypeへと移行してしまった。
移行した理由は人それぞれだろうが、多分わたしのもっとも近しい知人たちの最大の移行理由は「Microsoftが嫌いだから」というものだろう。
私自身はMicrosoftをそこまで毛嫌いしている訳ではないが、何故か近しい知人達はMicrosoftを嫌っている。大嫌い…という事ではないだろうが、WindowsというOSに悩まされる事の多い職業だからこそ嫌っているのではないかと思う。
私はそうした知人達に引きずられる形でSkypeがメインのMessengerとなった。
たしかに使い勝手は良いし、音声チャットも実現するのが楽である。
しかも、短いテキストチャットの場合でも、相手側がオンラインであるとかないとか無関係で使える。これはこれで便利だが、この機能に唯一問題があるとすれば相手側がSkypeクライアントを起動してからでないと、メッセージが送られないという事だ。
その点、テキストメッセージという意味で最近重宝されているのがTwitterではないかと思う。
Twitterのダイレクトメールの場合は、登録されているメールアドレスにダイレクトメールがあった事を通知してくる機能がある。
つまり、日常的に受け取っているメールの中にTwitterのダイレクトメールの内容が書かれているため、Twitterクライアントを常時起動させておく必要が無い。その点でSkypeよりはメッセージの伝達性は高い。
MicrosoftはSkypeを買収した時点で、このSkypeの利用性を改善していくのかどうかをまず迫られるのではないだろうか?
Twitterにしても、Skypeにしても、日常的に利用するという意味での目指している情報伝達性は、そんなに大きく変わらないハズだ。Twitterは140字という制限があるが、それでも大きく変わらないハズ。
であるならば、MicrosoftはSkypeをこのTwitterと比較してどのような違いを持たせていくつもりなのだろうか?
TwitterにあってSkypeにないものを補完し、Twitterに迫っていくのか?
それともあくまでも棲み分けていくために、TwitterにあってSkypeにないものはそのままにし、Skypeとしての独自路線をさらに昇華させていくのだろうか?
やっている事は情報伝達という事に違いがないのだから、おそらくこの二択になるだろう。
果たしてこの先、Skypeはどこに向かおうとしているのだろうか?
そしてWindows Live Messengerはこのまま消えていくのだろうか?
もう、分からない事だらけである。