PCの電源に80PLUS認証電源を使うケースが増えてきたのは、節電意識からくる電力効率の見直しのニーズが高まったからだが、意外にも本体はそうした意識が働いても、その周辺機器に意思が働く事は稀である。
もっとも、周辺機器でもっとも電力を必要とするものの一つはモニターなワケだが、その液晶モニターも最近は液晶になったため、ブラウン管の頃から比べればその消費電力はぐっと小さくなっているのも事実。
しかし、ここ最近モニターの大型化・高解像度化が進んでいるため、ジリジリとではあるが消費電力の最大値が右肩上がりになりつつある。それでもバックライトをLED化したりと消費電力そのものは低下を続けていて、特に待機電力は以前とは比べものにならないくらい小さくなっている。
そんなだから余計にPC本体以外の電力効率を気にしている人がいないワケだが、さすがにWUXGA(1920×1200ドット)やフルHD(1920×1080ドット)を超えるモニターだと気になり出すのもまた事実。というか、実際表示面積が広くなり密度が高くなればなるほど、消費する電力は増大する。
そこで登場したのが、このHP製27インチ液晶モニター“ZR2740w”である。
この製品には80PLUS認証電源が搭載されており、電力効率が高い事をウリにしている。
解像度は2.560×1,440ドットの非光沢IPSパネルで、その表示品質は素直な色合い。
バックライトは白色LED、最大輝度は380cd/平方m、最小輝度は50cd/平方m、コントラスト比は1,000:1、応答速度は 12ms(GtG)という、スペックからすると特別スゴイ感じはしないが、やはり魅力は80PLUS認証電源を搭載した事による電力効率にあり、最大消費電力はこのサイズでありながら120wに抑えられている。
また価格も実売価格62,280円と、最近の激安モニターから比べれば高いかもしれないが、一昔前の27インチモニターとは比較にならない低価格。非常に魅力的な製品と言える。
日本HP公式 ZR2740w
http://h50146.www5.hp.com/products/workstations/monitors/zr2740w/
80PLUS認証の電源が何故良いのか?
そもそも電源というものを理解しないと、この意味が分からない。
誰もが手にしている電化製品の電源は、実は搭載されている電源の最大出力に対し、消費する電力は常にイコールではない。
たとえば…正確な表現ではないのだが、800wと消費するドライヤーならば、実際に消費されている電力は効率70%で1,143wという事になる(表記800wの場合は効率70%で560wの仕事量)。
これが80PLUS認証のスタンダード規格の効率80%だと、800w消費のドライヤーは1,000wという事になる(表記800wの場合は640wの仕事量)。
ではどうして記載されている通りの消費にならないか? というと、これは損失分がすべて熱量に変化しているのである。
どんな電気製品でも電源部分はこの効率と損失の戦いで損失分はすべて熱量になっているワケだから、この熱量に変換される分を抑える事ができれば、効率は上がるわけである。
そしてその効率を80%以上としているのが80PLUS認証電源であり、今はスタンダード、Bronze、Silver、Gold、Platinum、Titaniumの6種に分けられて認証されている(内、日本のような115v電源地域はPlatinumまで)。
これら80PLUS認証についてはコチラ(What is 80 Plus certifed power supply?をクリックすると表が出てくる)に詳しく書かれているが、115v環境ではPlatinumがもっとも効率が良く効率90%近くの電源に認証されている。
どんなに最大消費電力が小さくても、この効率が悪ければエコとは言えないワケで、最大消費電力が高くても効率が良ければ損失が少ないという部分でエコと言える。
エコと聞くと、ほとんどの人はその消費が少なければ少ないほどエコだという意識が働き、本来必要とする消費そのものを否定する人もいるが、その考え方でいくと必要なものまで削る…という発想になってしまう。
もちろん、削れるものは削った方が良いのだが、必要なものは必要として、そこから生まれる損失を少なくする事が、生活レベルを保った上でのエコというものである。
何はともあれ、今後は家電含めて電力を消費するものはこうした高効率電源の搭載が当たり前になっていくだろう。
テレビなどは待機電源0wという製品が登場するという話もある。今後はそうした無駄という部分を徹底排除する動きになってくるだろう。
そうした時、今のPC環境はもっとエコへと向かわねばならない。
HPのZR2740wは、そうした動きの中から生まれた、時代の先駆者的モニターと言えるのではないだろうか?