iPhoneシリーズとiPadシリーズの液晶パネルを製造しているのは、現時点では韓国のサムスンだが、この製造元が変更になるかもしれない。しかもその変更先はどうも日本のシャープになりそうだという。
この情報は、米投資銀行のジェフリーズが明らかにした情報で、この情報によるとAppleは既に5億~10億ドル相当の製造機械を購入し、シャープの施設をiPhone&iPad専用として押さえているという。
Appleが韓国サムスンからシャープへと移管するのは、偏にサムスンがAppleの強力なライバルになりつつあるからだ。言うまでも無く、サムスン製スマートフォンはAndroid端末として日本のみならず世界的に浸透しつつある。
さらにそのAndroid端末は、世界的に見ればiPhoneの牙城を崩しつつあり、Appleとしてはその土壌を気づいているのがiPhoneの部品製造による収益だとするならば、その根底を崩さない限り安泰という訳にはいかなくなったのではないかと思われる(勝手に私がそう思った)。
ジェフリーズのアナリストである、ピーター・マイセク氏によれば「巨額の資金を投じて生産能力拡大や施設買いそうを行う事になるため、シャープにとっては非常に大きな取引になる」とし、また「Appleは製造を管理下に置き安価な供給を確保するためのパートナーを得ることになる」とインタビューで説明している。
また、Appleは“iTV”というテレビを発売する予定のようだが、それらの情報をサムスンなどのテレビメーカーはしのぎを削って入手に動いているようだ。
Appleはこの“iTV”を2月には量産開始とする可能性が高いという。使用する液晶パネルはアモルファスTFTの応用型のようで、それらのパネルをシャープの堺工場で生産稼働させるつもりのようだ。
結局、国内メーカーの製品として生産量を拡大する事が難しくなっているのは事実としても、売れ線製品の稼働で国内が潤う手段もまたありではないかと思ったりする。
ここまで製造業が冷え込んでしまうと、何をするにしても再起が図れない。Appleの力を借りてでも景気を呼び込まねば、沈みきってた船は浮かばないのなら、この際手段は問えないだろう。
ただ、一方でiPhone4Sが国内携帯端末メーカーを叩きのめしているという事実もある。
iPhone4Sでソフトバンクのみならずauからも発売された事で、Appleが国内メーカーのシェアを奪い、首位に立つことはほぼ確実視されている。
iPhoneの魅力はデザインや豊富なアプリがあるというだけでなく、その料金体系にも理由がある。
ソフトバンクもauもiPhone専用の料金体系が用意されており、しかも16GBモデルであれば端末料金ゼロという設定が用意されている。このゼロを現実のものとしているのは、通信事業者からの多額な販売奨励金によるものだが、この販売奨励金が出ているのにも理由がある。
これらの理由は、すべてAppleとの契約時に、販売台数のノルマを課せられている為、とされている。つまり相当数の台数を捌く必要があるのである。
このノルマ達成の為には、とにかく消費者に買ってもらうしかない。人気もあるため、その販売台数を加速させないと、次機種に乗れなくなってしまうのである。
国内メーカーからしてみればAppleばかりが優遇されている、と不公平をあらわにする。当たり前とは言えるが、これが売れる製品を持つメーカーの強みである。
このまま続けば、国内の携帯端末メーカーは新機種を発売する事そのものが難しくなる。実勢がそれを物語っている。
はたして、Appleは日本を救う企業となるのか?
それとも駆逐する企業となるのか?
どちらにしても日本企業に大きな変化を求めている事に違いはない。
果たしてその変化に対応していく事ができるのか?
製造業に身を置く者として、無視できない出来事である。