先日、Intel Smart Response Technology(以下ISRTと略)について書いたが、その後いろいろ調べて見た。
Revo Drive Hybridと全く同じ事ができるのであれば、これほど安価に構成できる事はないのだが、世の中そんなに甘くないハズ。きっとISRTにも問題はあるに違いない…そう思ったワケである。
で、私が考えていた事が出来るのかどうかをまず調べて見た。
私が考えていた事というのは、起動ドライブをISRTによって高速化するのは当たり前として、他のストレージ、つまり別ドライブもISRTによってSSDをキャッシュとして利用したい、というものである。
起動ドライブはシステム用として高速化が望まれるのは当たり前だが、昨今のアプリケーションで使用するデータも読み書きが高速化する事でレスポンスアップする事は間違いない話で、データドライブとして使用する別ドライブも、ISRTによって高速化する事ができるなら、2台目のSSDを使用してデータドライブも高速化してしまいたい…そう思ったのである。
だが、これは特定の条件で可能ではあるものの、本当の意味では不可能という事が分かった。
なんだかよく分からない言い回しだが、ISRTを利用出来るのは物理ドライブとしては1対しかないという事である。つまり、HDD1台とSSD1台のみをISRT化する事はできるが、HDD2台とSSD2台をISRT化する事はできない。
だが、1台のHDDのパーティションを区切り論理的にドライブを2台以上にした場合、その対となったSSDは、パーティションに区切られた全てのドライブをISRT化する事ができる、という事である。
だから、特定の条件で可能、というワケである。私が考えていた事とは若干違うが、とりあえずパーティションによる手法で複数ドライブのISRT化はできるようだ。
次に、ISRTで使用するSSDの容量だが、できれば大容量なものでキャッシュしたいところ。何しろ昨今のHDDはテラ単位の容量である。キャッシュも大きければ大きいほど良いというものである。
ところがコレには制限がある。
今の所ISRTで利用出来るSSD容量は64GBに制限されている。理由はよく分からないが64GB以上のSSDを使用すると、残りの容量はストライピングという訳ではないが、通常の容量として使用する事になる。
また、利用出来るSSDでも低速なSSDは利用する事ができない。どうもISRTを利用するにあたり、アプリケーションが低速なSSDをHDDと誤認するらしい。この辺り、6GbpsタイプのSSDであれば問題はないだろうが、手持ちに古いSSDがあるからといって、それが利用できるとは限らない事に注意が必要のようだ。
また、ISRTの設定でも、拡張モードと最速モードによって利用状況が異なる。
拡張モードは書き込み時はHDDへの書き込みを確実に行う為、ランダムアクセス時の書き込みでは速度が思った程でない。しかし最速モードではHDDへの書き込みをシステムのアイドル時に行うため、いきなりSSDにトラブルが起きると書き込むべきデータを失うワケだが、ランダムアクセス時の書き込み速度はほぼSSDのソレと同等になる。この辺り、どちらを採るかは個人の好みの問題になる。
こういう状況で私ならどう使うか? という事を考えてみた。
3TBのHDDを1TBと2TBの容量でパーティションを区切り、それに64GBのSSDとISRT化する。1TBのパーティションでシステムをインストールし、2TB分はデータ領域として使用すれば…とりあえずはデータ領域も高速化する事ができる。
理想的ではあるのだが…やはり3TB分のキャッシュ容量として64GBというのは、あまりにも少ないような気がしてならない。
であるならば、やはり物理ドライブとしてパーティションを切る事なくシステムのみをISRT化する事に注力し、最速モードに設定した方が良いのかもしれない。
これでトラブルが起きたならシステムのみ再インストールという手順でいけるはずだ。
そもそも、バックアップを取っていればシステムの復旧もそんなに苦しくはないだろう。
というわけで、実際にやってみなければ分からない事だらけではあるものの、概ねISRTで可能な事と不可能な事が見えてきた。
依然、Revo Drive Hybridは魅力的な製品に違いないが、コストを考えればそうそう導入もできない。安価にパフォーマンスを出していくなら、ISRTを上手く活用し適切な環境を構築する必要がある。
それが出来れば、ISRTは魅力的な機能だと言えるだろう。