昨日までの話は、決着は付いていないものの結論が出ない話なので、ココまで。…いや、結論はもう決まっている。私の弱さなのだから。
なので、いつも通りの話に戻そうと思う。
新型iPadのコアは、今更説明するまでもなくARMベースのA5Xというコアが使われている。
これは基本的にはA5と同じくデュアルコアではあるものの、内包するGPUがクァッドコアとなっている。クァッドコア化で、2048×1536ドットの広大な解像度処理をしているワケだが、今の所、もたついたりする処理落ち等を確認した人はいないようである。
つまりそれだけ高性能なGPUユニットという事になるわけだが、そのGPUユニットは、どうも“PowerVR SGX 543MP4”らしい。
“PowerVR SGX 543MP4”といえば、PS VITAが搭載しているGPUは“PowerVR SGX 543MP4+”であり、最後に“+”が付いているのはカスタマイズされているから、と言われている。
どのようなカスタマイズかはハッキリとはわからないが、どうもSCEが共同開発している部分があり、それを意味して“+”がつけられているようである。
SCEが絡む部分…となると、従来のSCEハードの中身を考えると、何となくだがメモリまわりの要素でないかと予測したりしてみるが、標準仕様の“PowerVR SGX 543MP4”の性能がその事で大幅に変わる事は考えにくい。APIレベルでかなり拡張されていたとしても、それで性能が2倍、3倍になったりはしないだろう。だとするならば、事実上新型iPadとPS VITAのGPUはほぼ同じものが搭載されている、と言っても過言ではないように思う。
ちなみにCPUは両者ともARM Cortex-A9で、それを2基搭載しているのか、それとも4基搭載しているかの違いがある。iPadが2基でPS VITAが4基だ。
つまり、PS VITAは事実上発売後3ヶ月程度でGPUとしてはアドバンテージを失った、と言える。もちろん、GPUだけで判断できるものではないのだが、iPadはメモリも1GBと多く搭載しているし、何よりRetinaディスプレイの超高解像度があるため、見た目のインパクトだけで言えばiPadの方が上を行く。
ただ、PS VITAと同程度のGPUにして2048×1536という解像度を処理しなければならない関係から、映像処理としてのマージンはPS VITAに余裕があると言える。より動きに特化したPS VITAと静止画を中心とした美しさに特化したiPad…ゲームなら、こうした区分けになるのではないかと思う。
つまり、アクションなどはPS VITAで、アドベンチャーやノベルゲームではiPadが得意という事になるが、この分け方で考えると、客層をまるっきり分断する事になる。つまり、PS VITAは今の時点で一定の層を失う可能性があるワケである。
私は以前にもPS VITAにはラブプラスのような作品が向いている、と言っていたが、本音を言うならiPadにこそ、ラブプラスのようなゲームは向いているのである。
ましてRetinaディスプレイでラブプラスとなると、ユーザーは飛びつくのではないかと思う。PS VITAの場合、背面トラックパッドが利点にはなるのだが、もともと3DSなどにも背面トラックパッドはないわけで、iPadでは3DSと全くと言っていいほど同じ事が出来てしまう。
それに、ゲームという部分から離れてもiPadはPS VITAよりずっと優れている。
iOSというプラットフォームはビジネスからコンシューマまで幅広い対応が可能だし、またそれだけのアプリケーション資産を持っている。
PS VITAはゲーム機である事を前面に押し出しているが故に、そうした一般的アプリケーションの幅は狭いと言わざるを得ない。まして今の段階だとゲームという部分においても資産は少ない状態だ。
唯一、PS VITAが優位だと言える部分は価格だけ。ゲーム機だから、という割り切り価格と言える。
おそらく、今年の年末から来年頭にかけて、iPadは次の新型が用意されるのではないかと私は見ている。
次はCPUをARM Cortex-A15ベースにし、クアッドコア化してくるだろう。万が一GPU関係は既存と同じだったとしても、処理に問題が出る事は考えにくいが、おそらく次に搭載してくるGPUはPowerVR series6になるのではないかと思う。つまり、CPU、GPUの両面でPS VITAを超えてくる事になる。
しかしPS VITAは今のプラットフォームでまだまだ戦い続けなければならない。
ハード的な優位点はなく、ソフトで勝負するしかない。従来のSCEハードのような展開はできないのである。
この問題にSCEはどういう答えを出していくのだろうか?
個人的にはPS VITAというハードウェアの多彩なインターフェースに期待する所は大きく、またiPadとは違った方向性を見せて欲しいと思っている。
果たしてこの先どういう旋回を描いてくれるのか?
不安を感じつつ、期待したい所である。