Appleは16日、第3世代新型iPadを発売4日間で300万台販売したと発表した。
数字だけで言えば、iPad2の3倍のペースで売れていることになる。
現在10ヶ国で販売されている新型iPadは23日からは新たにイタリア、スペイン、メキシコなど24ヶ国でも発売される予定。全世界を市場にしているだけに、広まるのも早い。
ちなみにiPadはアップルの2011年の売上高の20%を占めているらしく、ある意味、非常に重要な製品らしい。
これらiPadやiPhone、その他の製品がヒットした事で、現在Appleは時価総額5400億ドル(約45兆円)の世界最大の企業となったが、キャッシュ(現金)でも976億ドル(約8.1兆円)を所有している。
この8.1兆円という金額は、東証一部上場企業だとトヨタ以外なんでも買えるほどであり、国内企業のほとんどがAppleによって買収できてしまう額に相当する。
つまり、Appleがその気になれば、どこかの日本自動車メーカーを買収し、iCarとかいうIT系電気自動車を作る事も可能なのである。
…それはそれで見てみたい気もするが(爆)
で、この8.1兆円もの現金を持つAppleに対し、株主含む内外の人間から「何かに使えよ」とか「還元しろよ」とかいう事を言われるのは、もはや当然というべき事であり、そうした声に応える為か、日本時間で19日の午後10時からカンファレンスコールを実施し、その余剰資金の使い方を発表した。
その発表によると、株主への配当の再開と自社株買いを通じて今後3年間で450億ドル(約3兆7500億円)を株主に還元すると発表した。
昨年10月に死去したスティーブ・ジョブズ前最高経営責任者(CEO)の復帰後は無配を続けてきたが、株主への配当は実に17年ぶりとなる。
2012年7~9月期に1株当たり2.65ドルの四半期配当を実施し、100億ドルの自社株買い入れ枠も設定する。自社株買いは今年10月から3年間を予定しており、会見では研究開発、企業買収、店舗展開などにも現在投資しているが、なお十分な資金があるとティム・クック現CEOは指摘している。
かつて、ジョン・スカリー氏がCEOだった頃からは想像も付かない企業へと変貌したAppleだが、このAppleを立て直したのは、やはりスティーブ・ジョブズ前CEOだ。
画期的なアイディアで、人々が欲しいと思った製品を作り上げていく。
言葉にしてしまえば簡単な事だが、これがどれほどに難しいものなのかは、ものづくりに携わった事のあるものならわかる話だ。
それは企画という部分もそうであり、実際に製造する部分でも同じ。
かつて、SonyがWalkmanを作った時もそうだったが、理想とするものを作るのが難しいと分かっていてそれに挑戦し、そして現実のものとした者のみが成功者になる。
ナンバー1でなく、オンリー1になる。
ものづくりを目指す者にとって、この言葉ほど難しく、そして目指すべき言葉はない。
少なくともスティーブ・ジョブズは、いやAppleはそれを現実のものとした。
そして多くの人の心を掴み、今も手放すことなく次の製品を作り続ける。
果たしてスティーブ・ジョブズ亡き後のAppleは、いつまでその体制を維持できるだろうか?
少なくとも今は世界を手にしているが、それが恒久的なものでない事は、多分Appleが一番よく分かっているのではないかと思う。