アニメ、ゲームコンテンツに関わる仕事をしていた者として、実は今のこれら業界の動きはちょっとした悲しい事実でしかない。
期が変わって新アニメが始まるとなると、その始まるタイトルの大部分がライトノベルやエロゲー原作のアニメばかり。別にラノベやエロゲがいけないとは言わないが、コンテンツの発掘がそこにしかないのかと悲しくなる。
ゲームにしても同じ。気がつけばソーシャルゲームと称した似たようなカードシステムを使ったクリックゲームばかりになっていて、その勢いに従来の重厚なゲームがほぼ駆逐されている有様。それもプレイヤーの嗜好の流れだから仕方が無いと言われればそれまでだが、重厚なシナリオに包まれたがっちり系ゲームが少なくなってきている状況は、実に嘆かわしい。
時代だ、時代がそうさせたんだ。
言ってしまえばそれまでである。だが、本当にそうなのか?
RPGという役割を演じるゲームをコンピュータ化したのは、最初はアメリカかもしれないが、それを大きく発展させたのは間違いなく日本だ。逆に元祖RPGとも言えるTRPGが依然として確立しているのもアメリカだが、日本はその元祖のテイストを可能な限りコンピュータ化して面白さを凝縮してきたし、その表現力に挑戦してきた。
だが、そうした流れが今や影も形もなくなりつつある。エンターテイメントとして一時代を築いたはずが、半世紀経たずして崩壊しているのである。
日本のクリエイターが悪いとは言わない。多分、これはアメリカンなビジネスが日本のクリエイターを狭き世界に閉じ込めた結果ではないかと私は思っている。
だが、優秀なクリエイターが世に出やすくなるかどうかは、そこにかけられる予算が大きな意味を持つ。突破口は切り開けても、そこから完全に突破しきってしまうには、結局予算が必要なのである。
そういう意味で、そのねじ曲がった脱出口だったのがソーシャルゲームだったように思える。だから今、そのソーシャルゲームを運営している企業がただただ勝ち組になっているのである。この姿、是正しなければ日本のゲーム文化は完全に廃れきってしまうかもしれない。ある種、危機である。
その危機たる状況に一石を投じるものと期待され登場したのがFinal Fantasy XIVというMMORPGだった。だが、ここにも予算の波が押し寄せ、海外メーカーに発注したシステムはとても満足できるものではなく、結局3年近い時間をムダにする事となってしまった。
一時は私もFF14に失望した。新生して再登場するという話を聞いた後でも、それは決して上手くいくように思えなかった。
だが、一歩ずつ新生FF14は歩み続けた。まだ完成の域には達していないものの、そこに現れた姿は、以前のFF14とはかけ離れたMMORPGだった。
現在、FF14はクローズドβテストのフェーズ2を行っている。
4月28日まででフェーズ2が終了し、そこから得られたユーザーの声から再び修正が入り、今年度中にはサービスインが予定されている。ゲーム関係のサイトではそのフェーズ2までのレポートが公開されているが、そこから見える姿は、実に変化した、それでいて実に日本のRPGらしいスタイルであった。
派手過ぎるエフェクトはFFらしく、登場するキャラクター達は欧米タイトルと違い無骨ではなく、実に洗練されたデザインである。
これなら期待できる。少なくと私はそう思えてならない。これなら待ってプレイしたいと思える程である。ようやくここまできたのである。
そして作れるキャラクターも増えた。
私が一番期待していたのがハイランダーの女性。高原で生活する人間でありながら、今迄男性しか選べなかったという実に理不尽な状況が改善された。
ちょっと無骨な感じがするが、おそらくメイキング次第でその印象も変わるだろう。
ララフェルの男性は…多分女性ウケするんだろうな、きっと…。
ま、ララフェルの女性は男性ウケするんだが(爆)
そして個人的にコレはイイと思ったのがルガティンの女性。
アスリートかと思ってしまうその出で立ちは実に良い感じだ。
こういう世界のキャラクターを欧米のソフトで実現すると、ルガティンの女性は明らかに女性プロレスラーとかそういうイメージの筋骨隆々のキャラクターしか出てこないのだが、さすがそこは日本製である。日本人の好みをよく分かってる(当たり前か)。
レポートによると、以前の姿とは全く異なる良作が展開している事がわかる。ただ、まだまだ調整が必要な部分もありそうだし、戦闘システムにも一部問題もあるようだが、それでも今迄のFF14から比べれば随分とマシなもののようだ。
詳しくは下記のレポートを参照してほしいが、読めばプレイしたくなる人もいるだろう。
impress Game Watch
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20130426_597517.html
4Gamers
http://www.4gamer.net/games/199/G019924/20130423065/
で、この新生FF14だが、ニコニコ超会議2にて夏頃の“発売”という情報が出たようだ。
ん? 発売?
…以前のFF14のクライアントを購入した人はもう一度買い直しなのか?
FF14の唯一の心配な点は、まさにその一点に集約される事になる。
マジかよ…。