私は使った事がないのだが、最近何かと耳にするのが「ポータブルアンプ」という言葉。
要するに、持ち運ぶ(運べる)アンプである。
その特性からバッテリー駆動であるため、駆動電源としてはよりノイズの少ないものになるのだが、主流は乾電池で動作するものが多いように思われる。
このポータブルアンプが普及している背景には、スマートフォンの爆発的な普及というのがあるワケだが、ポータブルアンプが普及する前は、そうした音に拘る人の多くはSonyのWalkmanなどを持ち運べる音楽再生機として使用していたのではないかと思う。iPodはデザインこそ良いが音が良いかと言われれば「?」と言わざるを得ない。だからちょっとでも良い音が欲しい人は、そもそもiPodは使っていないケースが多いし、今はケータイと音楽再生機を別々に持つというケースも少なくなっている。バッテリーの事を考えればその方が利便性があるのかもしれないが、長時間移動の時だけポータブルアンプを接続し、日中ちょっとした移動の時はスマートフォンだけ…そんなハイブリッドな使い方が出来る道が、普及し始めたのかも知れない。
ま、Walkman単体よりポータブルアンプの方が良い音が聴ける、というのが本当のところの理由かもしれないが。
そんな中、イーケイジャパンから“TU-HP01”というポータブルアンプが発売した。
本当は5月に開催された「春のヘッドフォン祭2013」にイーケイジャパンから出品されていたものなので、もっと前に紹介しようと思っていたのだが、発売したタイミングで紹介しようと思っていたら、すっかり忘れていた… orz
“TU-HP01”は真空管とオペアンプを組み合わせたハイブリッドポータブルアンプで、電池4本で駆動する。価格は直販で19,950円(税込)と安い、という程ではないが、コイツの魅力は真空管を搭載しているという事と、オペアンプが交換可能だという所にある。
真空管は電池管と呼ばれるサイズのものを搭載している。基板より浮かせる事で、ショックを与えたときに出るキーンというノイズを押さえている所がポイント。また真空管は熱が出るもの…というイメージがあるが、コイツはそうでもない。ケースに開けられている放熱穴を塞いでも特に問題はない熱量となっている。
オペアンプが交換できる事で、自分の好みの音にカスタマイズできるという所もポイントである。標準搭載されているのがJRCのMUSES8820なのだが、これはこれで真空管の良さが伝わるまずまずの音を出してくるがもっとソリッド感ある音が欲しいと思ったなら、まず“TU-HP01”に同梱されてくるBurr BrownのOPA2604に交換してみよう。これでフォーカス感ある音に変化する。
もちろん交換できるオペアンプはこれだけではない。
この“TU-HP01”に付いてくるマニュアルに、いくつか動作確認が取れているオペアンプが紹介されているので、パーツ販売店でオペアンプを購入して交換してみるといいだろう。こういう使用可能なオペアンプを紹介しているという所は、アンプなどの電子工作キットをエレキットブランドで販売しているイーケイジャパンらしいところである。
ちなみに…こうした交換可能なオペアンプの話でちょくちょく出てくる高音質オペアンプ「MUSES01」だが、この“TU-HP01”では駆動電圧の関係で使用する事ができない、とマニュアルに書かれている。が、ネットで調べて見ると使用した人もいるようだ。全く不可能ではないのだろうが、一応イーケイジャパンでは使用できないとしているので、その辺りは自己責任で。ま、私が思うにFET入力のMUSES01がダメならバイポーラのMUSES02をお薦めしたい。マニュアルにもMUSES02は使用可能と書かれているので、そちらをセレクトするのが良いのではないかと思う。
単4形乾電池4本で駆動時間は10時間、単4形Ni-MH充電池でも駆動可能というから、eneloopでも使用できる。毎日使用したいポータブルアンプとしてはeneloopなどを使う方が経済的かもしれない。
大きさも横幅78x縦幅16x奥行117mm(ツマミ側から見たサイズ)と、iPhoneよりは大きいがそれでも重ねて問題のあるサイズではない。持ち運ぶに困る大きさではないため、そうした大きさの真空管アンプ(正確にはハイブリッドだが…)として十二分魅力的ではないかと思う。
気になる人は、チェックしてみて欲しい。