本日…と言っても現地時間だろうから、日本では明日になると思うが、Windows 8.1の大型アップデートとなる。
それでもWindows 8.2にはならないのね…。
Windows 8.1 Update
大前提として、今回のアップデートはバージョンを上げるものにはならないと言われている。
今回のアップデート後もバージョンはWindows 8.1を継続し、Version 6.3.9600となる。
今回のアップデートの実体は、Windows用更新プログラム1つと、3つの「Feature Pack」と、Windows用修正プログラム1つで構成される。
だからメジャーアップデートというよりは、マイナーアップデートという位置付けにしているのかもしれない。
更新プログラム本体は、64bit版で約700MBになり、これまでの更新アップデートの全てが内包されているという。なので内容的にはService Pack 2のような感じになる。
そういうアップデートなので、Windows 8から8.1の時のような、Windowsストアからのアップデートのみならず、デスクトップ環境下でのアップデートで提供されるという。もちろん以前と同じくWindowsストアからのアップデートも可能なようだが、どちらにしても一つ言える事は、多くのユーザーが意識しないウチにアップデートを適用してしまう事になるだろう、という事だ。
変化点の一つは、今回のアップデートで、すべてのWindowsは1GBのメモリと16GBのストレージで稼働するようになる、という事だ。
今までは64bit版に限り、2GBのメモリと20GBのストレージが必要だったが、これが統一され、より低スペックでも動作するように改良される。
この事により、低スペックPCの活用幅がより広がったという言い方もできるが、そうやってハードルを下げる事で、より多くの人がWindows 8.1への移行をカンタンに行える環境を作っているのだと思われる。
また、先日9インチ以下のタブレットのWindowsを無償化するという方針を打ち出したが、そうした動きから見て、Microsoftは大胆に、しかして繊細にWindowsというOSを拡大させる事を画策していると思われる。
実際、POSシステムをより簡易的に実現可能にしたmPOSシステムは、Windowsの独壇場と言ってしまっても良いぐらい定着していて、そのmPOSは確実にタブレットシステム化が、しかも急速に進んでいるという。
今回の稼働要件の見直しと無償化で、一気にその方面でWindowsシステムを定着化させるつもりなのではないかと思う。
ちなみにWindowsの無償化といっても、一般ユーザーに対しての処置ではなく、あくまでもPCベンダーやタブレットベンダーへの措置であり、従来支払っていた製品搭載OSのライセンス料が9インチ以下のモニタ搭載モデルに限って無償化する、という事である。
何が変わる?
Windows 8.1 Updateで、何が変わるのか? という事に関しては、使ってみれば一番解ると思うのだが、簡単に自分の備忘録としてメモしていく。
まず一番目立つ違いは、モダンUIのアカウントの右に、パワーボタンマークと検索マークが現れるようになる。もちろん現れるだけでなく機能する。
特にパワーボタンの表示は有り難い話で、モダンUIの時にはチャームを呼び出してからシャットダウンもしくはスリープ、再起動を選択するようになっていた。慣れればこれでも問題はないのだが、厄介なのはタッチパネルでない場合。マウス操作だけで動作させている時は、チャームの表示も面倒である事から、モダンUIを使おうという気にすらならない。
今回の機能改善でよりモダンUIが使いやすい状態になれば、タッチパネル非搭載型を使っていても、Windowsストアアプリの利用が推進するかもしれない。
また、ストアアプリを開いた際、上部にタイトルバー、下部にクラシックデスクトップのタスクバーが表示されるようになる。また、タイトルバーの右端には閉じるボタンと最小化ボタンが表示されるようになる。この2点の改善は確実にストアアプリを使いやすくする…というかわかりやすくする内容と言える。
モダンUIを嫌う人の大部分は、その意味が分からないという事だ。アプリを開くのは簡単だが、どうやってアプリを開き、どうやってアプリを切り替え、どうやって処理をするのか? といった事が、今一つ解らないのである。
今回のクラシックデスクトップライクな見た目変更で、一気に使いやすくなる事を期待したい。
第三勢力
iOS端末が圧倒的優位に立っていた時代は終焉を迎えようとしている。
現在ではAndroid端末が非常に大きなシェアを持つに至っていて、欧米ではAndroid端末を避けて通れないぐらいタブレットのOSとして定着している。
Windowsタブレットのシェアはそれらに比べてまだまだ低いと言わざるを得ないが、前述したように、一部組み込み系OSとしてWindowsシステムは絶対的な地位を築いているケースがあり、そうした端末のAndroid流失が少なからず起きている現状がある。
なぜ流出しているか、というと、単にWindowsタブレットの力が弱いからであり、普及率が低いからだ。
そこでMicrosoftが打ち出した打開策が9インチ以下のスマートフォンおよびタブレットのOS無償化であり、IoT(Internet of Things…インターネットに接続され制御される機器)への「Windows for IoT」の無償提供である。
これで対応端末の価格を抑え、普及に拍車をかけようという算段だろう。
これらの施策に加え、従来型のWindowsとの連携を強化する事で、いかなる状況下でも同じプラットフォームで操作できる、というユーザー体験の為に、今回のWindows 8.1 Updateが施されるのではないかと私は考える。
以前このBlogでも書いたが、Windowsタブレットが急激に普及しているのは、実の所日本だけの話である。
艦これが一つの火付け役である事に間違いはないと思うが、そもそもiPadが普及しはじめた時点で、Windowsファイルが普通に扱える事を望んでいた人は多かったのではないかと思う。もちろん私もその一人だ。
だが、当時はまだタブレット端末でWindowsを動作させられるだけのパワーとバッテリー持続時間を併せ持つ製品はなく、パワーを搭載したとしても稼働時間の短さからとても実用という領域ではなかった。
ここにきてIntelの省電力プロセッサが実用に耐えられるだけの性能と省電力性を実現したため、Windowsタブレットはまさにこれからの製品と言えるように思える。
その為の布石がWindows 8.1 Updateと言えるだろう。